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英国企業における「取締役会議長」の重み

ウイリス・タワーズワトソン
組織人事部門シニアコンサルタント
高岡明日香

英国コーポレートガバナンス・コードをモデルに作成された日本のコーポレートガバナンス・コードだが、両者には一部著しい違いも見られる。その一つが、英国コードでは、日本のコードにはない「取締役会議長(Chairman)と最高経営責任者(CEO)の分離」が求められているという点だ(英国コード 各則A.2.1.)。英国コードが両者の分離を求めているのは、「何人も、制約の無い決定権限を持つべきではない」(A2.主要原則)という思想に基づいているだけに、取締役会議長はCEOを解任する権限さえ持つ。

それを象徴する出来事が、日本でも話題となった英バークレイズ銀行CEOの解任劇だ。2015年4月に英バークレイズ銀行会長兼取締役会議長となったジョン・マクファーレン氏は、就任からわずか3か月後の7月、最高経営責任者アントニー・ジェンキンス氏の解任に踏み切った。利益率を向上させるためにはリストラをさらに加速させる必要があるということが解任の背景にあると見られるが、業績次第で“石もて追われる”のが常であるロンドンの金融街 シティーのバンカーにも衝撃を与えるトップ交代だった。この人事について経営面から長期的な評価を下すにはまだしばらく時間が必要だが、ジェンキンス氏退任が公表された7月8日の同社株価は終値で2.04%高となり、市場はひとまず好感した。

この解任劇からも分かるように、・・・

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