2015年5月1日に施行された改正会社法により、会計監査人の選任権限が取締役会から監査役会に移行(会社法344条1項、3項)して以来、もうすぐ2年が経過しようとしている。
この改正が行われる前から、監査役および監査役会には、会計監査人からその職務遂行の適正確保体制に関する事項の通知(会社計算規則131条)を受けたうえで、当該体制が十分なものかどうかを評価して監査報告書に記載すること(会社計算規則128条2項2号および127条4号)が求められているが、改正会社法の施行を機に、会計監査人の評価が場当たり的なものとならないよう、監査役会が「会計監査人の評価基準」を整備した上場企業は少なくない。改正会社法の施行後、上場企業はコーポレートガバナンス・コードでも「外部会計監査人候補を適切に選定し外部会計監査人を適切に評価するための基準の策定」を行うことを求められた(コードの補充原則3-2①(ⅰ))こともあり、本則市場の上場企業のほとんど(95.3%:「東証上場会社コーポレート・ガバナンス白書2017」57ページのコラム③を参照)で「会計監査人の評価基準」が策定されている状況だ。
監査役会が会計監査人を評価する際には、この評価基準に基づきつつ、上記の「職務遂行の適正確保体制に関する事項の通知」に加え、今後は「透明性報告書」も考慮することになる。透明性報告書とは、・・・
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