政府が進めるコーポレートガバナンス改革では、取締役会で審議するアジェンダの絞り込みが大きなテーマの一つとなっている。重要性が低い事項まで取締役会で審議しなければならないとすると、機動的な業務執行の決定が難しくなるのみならず、必ずしも会社の事業内容に精通しているわけではない社外取締役の負担にもなるからだ(2017年4月27日 法務省、ガバナンスに関する会社法の見直しに着手 、2016年9月30日 取締役会の決議事項を減らす方法、2015年7月1日 「重要な財産=総資産の1%」という常識が変わる、2015年6月26日 政府の成長戦略で、取締役会への上程事項の範囲限定へ参照)。
ただ、取締役会のアジェンダを減らすことに対してはガバナンスの専門家の間でも慎重論がある。これは、「アジェンダの削減」という“錦の御旗”が隠れ蓑となり、本来は取締役会で議論すべきことが取締役会に上がって来なくなる恐れがあるため。実際、欧米企業を見ると、取締役会のアジェンダは日本企業よりも多い。それを可能にするのが、・・・
このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。