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報酬と指名の関係

2017年株主総会シーズンでは株式報酬を導入する企業が相次いだが、その一方で、株式報酬の導入を見送ったところもある。単に株主総会までに検討が間に合わず、来年に先送りしたというケースもあるが、ウイリス・タワーズワトソンのコーポレートガバナンス・アドバイザリーグループでリーダーを務める櫛笥隆亮 氏によると、“意思を持った不導入”を決めたところもあるという。

「現状でも株主が満足するだけのROE等を達成しているため、報酬制度を変える必要がない」「株式報酬は自社のカルチャーには合わない」など、株式報酬を導入しない理由は様々だが、こうした企業が、株式報酬を導入する代わりに力を入れているのが「指名」、すなわち、企業価値を上げられる人物を取締役に選ぶということだ。役員在任中に、業績等の良し悪しで金額を調整する手段が株式報酬を含む役員報酬だとすれば、そもそも業績等に貢献できなかったら降格、さらには退任もあり得るという「指名」は、役員の評価方法としては、報酬よりも厳しいものと言える(櫛笥氏)。

もっとも、両者は分断された関係にはない。報酬評価は結局指名の判断にもフィードバックされるからだ。指名はいわば報酬評価の“ダイナミック版”であり、逆に報酬は指名の“予備的な評価”という位置付けになる(櫛笥氏)。この点は、経済産業省の・・・

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