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他社の経営者トップである社外取締役に対するグローバル投資家の意見

上場会社に「社外取締役がいるか?」ということが論点になっていた時期は既に過去のものとなりつつある。東証「コーポレートガバナンス白書2017」(74ページ)によると、2016年3月末時点で、東証上場会社のうち96%が社外取締役を、89%が独立社外取締役を選任している(独立社外取締役の定義は2014年12月26日のニュース『「社外取締役」と「独立社外取締役」の違い、明確に説明できますか?』参照)。また、2名以上の独立社外取締役を選任している東証上場会社は60%と、複数選任もだいぶ進展してきている。その背景には、「独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべき」とするコーポレートガバナンス・コード原則4-8に対応するため社外取締役を選任した会社、あるいは監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行して従来の社外監査役を社外取締役に横滑りさせた会社が相当数あったということがある。

こうした中、資本市場の関心は「社外取締役がいるかどうか」ではなく「何人(何割)いるのか?」、さらには「誰なのか?」へと移っている。東証のコーポレートガバナンス白書2017(80ページ)で独立社外取締役の属性を見ると、もっとも多いのは「他の会社の出身者」で、全体の59%と大部分を占めている。これに続く弁護士は16%、公認会計士は9%に過ぎない(下表参照)。ここでいう「他の会社の出身者」は「現在及び過去に他の会社に一度でも勤務経験がある場合をいう」と定義されているが、この中には他社の経営トップ経験者が相当数含まれる。実際、多くの上場会社では、他社の経営トップ経験者が社外取締役の人選におけるファーストチョイスになっている。

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もっとも、他社の経営トップ経験者というだけで社外取締役としての資質を満たすとは限らないだろう。この点について、あるグローバル投資家は次のように指摘する。

○日本企業の経営者が社外取締役に適任かは疑問。経営手腕は優れているが(well management)、財務手腕(balance-sheet management)に欠けている。・・・

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