野村総合研究所
上級研究員 三井千絵
先週木曜日(2018年2月15日)に開催された金融庁のスチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議では、「投資家と企業の対話ガイドライン(案)」とともに(2018年2月15日のニュース『対話の重点項目を5つに分類 「投資家と企業の対話ガイドライン」の詳細』参照 引用:上場会社役員ガバナンスフォーラム)、本ガイドラインを踏まえコーポレートガバナンス・コード本体を見直す場合の論点を整理した「投資家と企業の対話ガイドラインの策定に伴うコーポレートガバナンス・コードの改訂に係る論点」(以下、論点)が公表されるなど、日本もついにコーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)の改定に向けて動き出した。一方、日本がCGコード導入の際に手本とした英国のCGコードも、2010年に英国FRC(Financial Reporting Council)の管轄となり現在の形に整備されて以来(英国CGコード起源は1992年に遡る)、2年おきに改定を繰り返してきた。
FRC : 企業開示、コーポレートガバナンス、監査等を管轄するレギュレーター。日本でいえば金融庁企業開示課に近い役割を果たしている。
そして今年4回目の改定を迎える英国CGコードだが、今回の改定はこれまでとは少し異なるアプローチで進められてきた。2016年6月にBrixitを選択した英国を率いることになったテリーザ・メイ首相が政権発足当初からコーポレートガバナンス改革を政策の一つに掲げていたからだ。
具体的には、まず2016年の11月に、ガバナンス改革に向けた「Green Paper」と呼ばれる・・・
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