印刷する 印刷する

人事考課における心理的傾向とその補正方法

壮大な事業計画も、詰まるところ、その達成は従業員一人ひとりの頑張りにかかっている部分が大きい。そして、従業員の頑張りを支える重要な要素が「人事考課」だ。人事考課が公平かつ透明なものでなければ従業員はやる気を失い、最悪の場合、会社を辞めてしまうことにもなりかねない。特に売手市場の昨今はそのリスクが高まっていると言える。また、経営陣のサクセッションプラン(後継者計画)も、そのベースとなるのは従業員時代の人事考課であり、ここで適正な評価が行わなければ、将来の後継者となり得る優秀な従業員の人材プールを作ることもできないだろう。

ただ、実際に各社で行われている人事考課は、考課者(一般的には直属の上司)の力量、端的に言えば心理や性格、思考パターンに大きく左右されることが多い。考課者が陥りやすい“問題のある人事考課”の傾向としては、以下のようなものがある。

(1) 寛大化傾向
 部下をひいき目に見て、全体的に評価が甘くなる。
 例:「自分の部下だから優秀なはずだ」
(2) 中心化傾向(中央値に集中した人事評価)
 部下を観察できていないため(または部下の反感を恐れて)無難な評価にしておく。
 例:「みんな真面目にやっている」
(3) 厳格化傾向
 部下を頼りない存在と見たり、自身の若い頃と比較したりして、厳しく評価する。
 例:「自分の若い頃はこのくらいやって当然だった」
(4) 対比誤差
 考課者自身・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから