2015年5月に施行された改正会社法により上場会社等における社外取締役の選任が実質義務化(*1)された当時は、上場会社でさえ“とりあえず”1名の社外取締役を選任するだけで精一杯というところが少なくなかった。そのような状況で社外取締役を選任しても有効に活用できず、結局は“お飾り”として置いているに過ぎなかったというのが実態ではないだろうか。しかし、改正会社法施行から3年以上が経過し、また、2015年6月に施行されたコーポレートガバナンス・コードの原則4-8(独立社外取締役の有効な活用)が「2名以上」の独立社外取締役選任を求めたことで、今や社外取締役を複数選任することは一般的となった(*2)。そして、当時選任された社外取締役が任期満了を迎え、そのうちの大部分が再選される中で、投資家の社外取締役への期待値のハードルが上がり、社外取締役に求められる役割も大きく変化している。
*2 東京証券取引所の調査結果によると東証一部上場企業の94.6%で2名以上の社外取締役を選任している。
大会社 : 資本金5億円以上または負債総額200億円以上の株式会社
取締役会議長には社外取締役が就任すべきとする声もその一つと言える。取締役会議長と言えば、これまでは代表取締役社長・CEOの“指定席”だった。会長を擁する企業では会長が取締役会議長に就任するケースも見られるが、いずれにしろ社内取締役の序列のトップが取締役会の議長席に座るのが当然のように考えられていたと言える。そこには「コーポレートガバナンスの観点から誰を取締役協会議長にするべきか」という問題意識はなく、むしろ多くの上場会社が「社内取締役の序列トップが取締役会の議論をリードするのは当たり前」という固定観念の下、一種の思考停止状態に陥っていたものと思われる。しかし最近は、ガバナンス先進企業と言われる・・・
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