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米企業、リタイア女性15名の採用枠に500人の応募も

 東京都議会における女性議員に対するヤジが大きな社会問題になっているが、批判の声は日本国内にとどまらず、早くから女性の社会進出に取り組んできた欧米からも上がっている。今回の一件が日本社会に対するイメージダウンにつながったのは間違いないだろう。

 女性の社会進出を加速させるための大きな課題の1つが、育児をしながら働く環境の整備だ。米国のワーキング・マザー誌は、毎年「100 Best Companies for Working Mothers(母親にとって働きやすい100社)」を選出しているが、トップ100社には、9週間の有給休暇を含む最長26週間の産休を認めたうえで、出産後の段階的な職場復帰や在宅勤務を選択できるようにしたり、米国では困難な週20時間勤務での医療保険への加入資格の付与、保育施設の優待利用や割引利用といった取組みを行う企業がランクインしている。トップ100企業の選出に当たっては、こうした育児休暇や育児サポート体制の充実度等のみならず、全従業員・上級管理職に占める女性比率、女性の昇進を促す制度の有無も評価対象になっている。

 また、少子高齢化社会の中で十分な労働力を確保するためには、結婚や育児、介護等のために仕事をリタイアした女性の社会復帰も重要な課題となるが、この点についても米国では先進的な取組みが見られる。例えばゴールドマン・サックスでは、過去に第一線で活躍しながらリタイアした女性を管理職として採用するプログラムを2008年から実施しており、既に120名超が正社員として復帰している。同様の取り組みは、モルガン・スタンレー、クレディ・スイス、JPモルガン・チェースなど他の大手金融機関にも広がっている。

 一方、女性側においても社会復帰への関心は高く、例えばモルガン・スタンレーのケースでは、15名の採用枠に対して500名超の応募者が集まったという。日本でも、かつて第一線で活躍した女性における社会復帰へのニーズは決して小さくないと思われ、同様の取組みを日本企業が実施すれば一定数の応募が集まり、優秀な人材が獲得できる可能性は十分にあろう。

 もっとも、ITやグローバル化の進展によりビジネスの変化が激しい時代においては、わずか数年間のブランクであっても埋めるのは容易なことではない。リタイアした女性の中に優秀な人材がいるのは事実だが、採用する場合には、・・・

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