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大手運用機関、取締役の兼務社数は「自社を除き1社」との方針

社外役員(社外取締役および社外監査役 以下同)が他企業の役員等を兼任していることは少なくない。米国の調査会社Spencer Stuartによると、日経225社とTOPIX100社の社外役員のうち、他企業の役員を兼任している者は164人おり、そのうち事業会社出身者は68人で全体の41.5%と、最大の割合を占めている。さらに、事業会社出身者の68人のうちの73.5%が社長・会長・CEOとなっている(Spencer Stuartの調査結果の23ページ参照)。つまり、日経225社とTOPIX100社の社外役員のうち50人は他企業(本人にとっては自社)の社長・会長・CEO(のいずれか、もしくは複数の役職を兼任)ということになる。

現役の社長等が、(親会社の社長等との兼務ではなく)純粋な第三者として社外役員(特に社外取締役)に就任してくれれば、企業にとっては極めて有益だろう。現役社長等には、経営の知見はもとより、現在の経営環境も肌感覚で分かっている強みもある。実際、米国のS&P 500企業を対象に行った2018年の調査によると、45%のCEOが社外取締役に就いているという(Spencer Stuartの調査結果の8ページ CEO profile「 % of CEOs serving on one or more outside boards」参照)).

日本でもコーポレートガバナンス・コードが独立社外取締役の増員へのプレッシャーを高める中(2018年3月19日のニュース「CGコード改訂 独立社外取締役に関する記述の背景と今後」参照)、取締役会の実効性を高めたいという思いが強い企業ほど、社長等を独立社外取締役に迎えたいと考えたとしても不思議ではない。ただ、この場合にネックとなるのが「兼任」の上限問題だ。コーポレートガバナンス・コード補充原則4-11②では、「取締役・監査役が他の上場会社の役員を兼任する場合」について、「その数は合理的な範囲にとどめるべきであり、上場会社は、その兼任状況を毎年開示すべきである」とし、“多すぎる兼任”をけん制しているものの、それが何社なのかまでは明示していない。

こうした中、日本企業に最も影響力のある海外の大手パッシブ運用投資家の一つに数えられる米国の大手投資信託運用会社・・・

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