2019年5月21日のニュース「女性役員ゼロのTOPIX100構成企業の半数が原則4-11をコンプライ」でお伝えしたとおり、取締役会に「ジェンダーおよび国際性の面を含む多様性」を求めるコーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)原則4-11を、女性役員がゼロでも「コンプライ」としている上場企業は少なからずある。強制法規ではない“ソフト・ロー”では起こりえることとはいえ、今後も引き続きこのような事例が見受けられるようであれば、日本企業の取締役会におけるジェンダーダイバーシティは、欧米企業等にさらに後れをとることになる恐れがある。
MSCIの調査(2017年12月公表)によると(*)、株価インデックス構成企業の取締役会に占める女性比率は、ノルウェーの42.2%、フランスの40.8%を筆頭に、軒並み20~30%台となっているのに対し、日本はわずか5.3%にとどまっている(MSCI「WOMEN ON BOARDS PROGRESS REPORT 2017」15ページ参照)。フランス、ノルウェーをはじめ、女性取締役比率の高い国の多くで導入されているのが「クオータ制」だ(同20ページ参照。「Mandatory」とあるのが、一定の女性取締役比率が義務化されている国)。
MSCI:株価指数の開発などを行う米国企業。、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のESG指数にも同社の「MSCI ジャパン ESG セレクト・リーダーズ指数」「MSCI 日本株 女性活躍指数(WIN)」が採用されている。ちなみに、MSCIとは元々は「モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル」の略であるが、米モルガン・スタンレーは保有していたMSCIの株式を2009年に全て売却している(売却代金は約5億9600万ドル。それに伴い、現在は「MSCI」が正式名称になっている。
クオータ制:一定の比率を強制すること。クオータ(Quota)とは、「割り当て」などを意味し、「4分の1」を意味するクォーター(quarter)とは異なる。
クオータ制を導入している国の一つがドイツだが、最近の調査結果では、クオータ制の凄まじい効果が確認されている。・・・
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