このところ一般株主との間で利益相反が生じやすい「上場子会社」のガバナンスに焦点が当たっているが(2019年5月7日のニュース「グループ・ガバナンス実務指針案、上場子会社の扱いに“特段の配慮”」参照)、当然ながら未上場の100%子会社にもガバナンス上のリスクがないわけではない。例えば100%子会社で不祥事が起きた場合、当該子会社の完全なる支配株主である親会社は、自社の株主をはじめとするステークホルダーから厳しく監督責任を問われることになるだろう。
一般株主: 「支配株主」以外の株主のこと。「支配株主」とは、議決権の50%超を有している者や議決権の40%以上を有している者で、かつ、取締役の過半数を派遣していたり重要な財務および事業の方針の決定を支配する契約書が存在していたりする者を指す(東証 有価証券上場規程施行規則3条の2)。上場会社の支配株主自体も上場しているケースを「親子上場」という。
利益相反: 例えば親会社の要請を受け、上場子会社のサービスを親会社にだけ一般価格よりも割安の価格で提供した場合、親会社はコストダウンを図ることができる一方で、子会社の収益機会はその分損なわれ、ひいては子会社の一般株主の配当減や株価下落につながることになる。
こうした事態を招かないようにするために親会社(以下、100%親会社のことを指す)が関与する必要があるのが、・・・
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