経済産業省に設置された「事業再編研究会」(以下、研究会)は、ノンコア事業の切り出し促進を目的とした「事業再編に関する実務指針(通称:事業再編ガイドライン)」(以下、ガイドライン)を近日中に公表する(これまでの経緯については2020年4月24日のニュース『事業再編に関する実務指針案公表 子会社上場を「切出し」の重要手法と位置付け』参照)。5月22日には、ガイドライン公表前最後となる第6回研究会が開催され、前回の研究会で示された「案」からの変更点などが議論された。
ノンコア事業 : 必ずしも事業そのものの収益力や成長性が低いというわけではないが、自社グループにとって競争優位性を有する分野でない等の理由で、自社グループ内にあっては十分なリソースが投入されにくいために、相対的に成長可能性が低くなっている事業のこと。
今年1月31日に第1回研究会が開催されてから4か月余り、この間にコロナ問題が表面化した。いまだ収束しないコロナ禍の中、これまで投資家の批判の対象となってきた「内部留保」の重要性を痛感している経営者も多いだろう。また、「ノンコア事業の切り出し」という本ガイドライン策定の目的とは逆行する「リスク分散のための多角化」を是とする声も上がる中、ガイドラインがこの点についてどのように整理するのか注目されるところだが、第6回研究会では「キャッシュ創出力は競争優位性に基づく事業ポートフォリオの構築により強化される」とし、あくまで「成長戦略を描けない多角化」は正当化しないとのスタンスを維持することが確認されている(第6回研究会に提出された資料「前回からの主な変更点」の冒頭③参照)。
また、ガイドライン公表時には併せて「事業再編研究会報告書」も示されるが、そこでは・・・
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