東証は(2020年)9月7日、「東証上場会社における独立社外取締役の選任状況及び指名委員会・報酬委員会の設置状況」を公表したが、この調査結果から想定されるのが、来春に実施される予定のコーポレートガバナンス・コードの改訂によりプライム市場上場会社に対して課される可能性がある「より高い水準」のガバナンス規制だ。
この調査結果は、8月14日時点におけるコーポレートガバナンス報告書の記載に基づき集計されたもので、ここでいう「独立社外取締役」とは上場会社が「独立役員」として東証に届けを出している社外取締役を指し、また「指名委員会・報酬委員会」には監査役設置会社および監査等委員会設置会社における任意の委員会が含まれている。
独立役員 : 一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役または社外監査役。東証は企業に対し、独立役員を独立役員届出書により届け出ることを求めている。
周知のとおり、コーポレーガバナンス・コード原則4-8では、独立社外取締役の選任について下記の“ハードル”を設けている。前半(2名以上)が“最低限”のコンプライ、後半(3分の1)がもう一段上のコンプライを求めていると言えよう。
独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与する様に役割•責務を果たすべきであり、上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべきである。 また、業種・規模・事業特性・機関設計・会社を取り巻く環境等を総合的に勘案して、少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社は、上記にかかわらず、十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである。 |
独立社外取締役を「2名以上」選任している東証一部上場会社は98.5%に達しており、ほぼ全社が最低限のラインを確保している。ちなみに、「ゼロ」も3社あった。東証のリリースでは社名は明らかにされていないが、・・・
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