来年の株主総会に向け、社外取締役の人選に入っている企業も少なくないことだろう。
三菱UFJ信託銀行や三井住友トラスト・アセットマネジメントなどが今年(2020)年から原則として全ての企業に対して「取締役総数の1/3」の社外取締役の選任(以下、3分の1基準)を求めるなど、機関投資家の間では、議決権行使基準に3分の1基準を盛り込む流れが加速しつつあるほか(【2020年8月の課題】自社の株主総会における各議案の賛成率レビューの「役員選任議案」参照)、議決権行使助言会社最大手のISSは「2022年2月」から3分の1基準の適用を開始することとしている(2020年10月20日のニュース「ISSポリシー改定、“1/3基準”全面適用確実、政策保有は更なる厳格化も」参照)。東証が(2020年)9月7日に公表した「東証上場会社における独立社外取締役の選任状況及び指名委員会・報酬委員会の設置状況」によると、独立社外取締役を「3分の1以上」選任している東証一部上場企業は58.7%と6割に迫っているものの、2022年4月1日に新設される東証の「プライム市場」上場企業に対しては、3分の1以上の独立社外取締役の選任を求めるコーポレートガバナンス・コードが適用される可能性もあり(2020年9月14日のニュース『東証の調査結果から想定される「より高い水準」のガバナンス規制』参照)、社外取締役の選任ニーズは今後さらに高まっていくことが予想される。
ただ、今年7月には経済産業省のコーポレート・ガバナンス・システム研究会が「社外取締役の在り方に関する実務指針(社外取締役ガイドライン)」を公表したことが示すように(2020年8月6日のニュース「社外取締役にもサクセッション・プラン」参照)、投資家の関心は社外取締役の「数」からその「実効性」へと移りつつある。実際、投資家等からは社外取締役に関して様々な厳しい声が聞こえてくる。例えば以下のようなものだ。・・・
このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。