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ACGAのCGランキング 日本は7位→5位も“漁夫の利”との声

香港を拠点とし、アジアに投資するグローバルな機関投資家の団体であるアジア・コーポレート・ガバナンス協会(The Asian Corporate Governance Association=ACGA)は(2021年)5月20日、隔年で実施しているアジア諸国の“コーポレートガバナンス・ランキング”を含むコーポレートガバナンスに関する調査(サーベイ)結果「CG Watch」の2020年版を公表した。今回で10回目となる。本サーベイはアジア太平洋地域の12か国を対象としており、前回の2018年版は「コーポレートガバナンスに関する(on corporate governance)」ものとされていたが、今回からは「ESGのパフォーマンスに関する(on environmental, social and governance (ESG) performance)」ものへと位置付けが変更されている。なお、本サーベイは香港の投資銀行であるCLSAと共同で実施された。

ESG : 「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を組み合わせたもので、近年、特にグローバル機関投資家の間で、企業の投資価値を測る評価項目としての地位を確立している。

冒頭で触れたとおり、「CG Watch」では毎回、調査対象国の“コーポレートガバナンス・ランキング”を公表している。下表は現在の調査対象としている12か国が揃った2016年以降のランキング推移である。日本(薄い青の太線グラフ)は前回の7位からマレーシアと並ぶ5位に順位を上げた。7つのカテゴリーを合計したスコア(「Market score」と呼ばれる)は前回の54から今回は59.3に上昇しており、この2年間における改善が認められた形となっている。
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もっともACGAによる寸評(Highlights)では「Ahead on climate change reporting, behind on company CG disclosure」、すなわち「気候変動レポートは進んでいるが、コーポレートガバナンス開示は遅れている」とされており、本サーベイの“核”と言えるコーポレートガバナンス分野への評価は必ずしも高いとは言えない。国別の各論では、日本のパートに” Fragmented reformer”とのタイトルが付けられている。要するに、改革が断片的であることを指摘しているものと思われる。

Fragmented : 断片的な、細分化された、切れ切れの
reformer : 改革者

実際、今回のランクアップはマレーシアとタイのスコアが伸びなかったことによる“漁夫の利”によるものとも言える。両国への寸評ではいずれも「政治的混乱(Political turmoil)」が「政府」カテゴリーのスコアを損なったと指摘、ACGAは両国のランクダウンは当然のこと(no surprise)と捉えている。ACGAの評価尺度では、日本のコーポレートガバナンスの実力は12か国中・・・

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