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買収後の「ガバナンスコスト」

周知のとおり、SBIホールディングス(以下、SBI)が新生銀行に対してTOB(株式公開買い付け)を仕掛けている。SBIは新生銀行株の約20%を保有したうえで、(2021年)9月10日から10月25日までTOBを実施すると発表、その後、12月8日まで期限を延長した。SBIは出資比率を48%まで引き上げ連結子会社化したい意向を持っており、TOBが成立すれば、証券会社が大手銀行を傘下に収める初の買収案件となる。一方、SBIによるTOBを事前に知らされていなかった新生銀行は買収防衛策の導入を決議し、全面対決の様相を呈している。このような状況を見ると、仮にSBIによるTOBが成功したとしても、グループガバナンス(親子会社間のガバナンス体制)の構築には時間を要する可能性もあろう。

特に敵対的TOBによる買収の場合、企業カルチャーが異なる買収子会社が親会社の経営理念や経営方針を受け入れるのは容易なことではない。さらに本件のように買収子会社(新生銀行)の方が規模が大きいとなると役職員の抵抗感は根強く、親会社から送られてきた役員が買収子会社の社風や事業内容を理解しないまま口を出しても反発を受けるだけに終わることも少なくない。こうした中、PMI(Post-Merger Integration)において避けられないのが「ガバナンスコスト」だ。

ガバナンスコストには主に以下の3つがある。・・・

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