年明けの3月から本格化する新卒採用のための会社説明会に向け準備を進めている企業も少なくないことだろう。学生は労働条件をはじめ様々な角度から企業を分析するが、注目される指標の一つが平均勤続年数だ。平均勤続年数が長いことは、学生にとって安心材料となる。また近年、投資家はIT投資、研究開発以上に「人材投資」を重視しているという調査結果も出ている(生命保険協会「企業価値向上に向けた取り組みに関するアンケート 集計結果(2020年度版)」18ページ参照)。海外に目を向ければ、米国証券取引委員会(SEC)は2020年8月に非財務情報に関する規則を改正し、新たに人的資本についての開示を義務付けており(2020年11月から適用開始)、改正規則では「人材の維持」に対応するための取り組みも開示対象となっている。日本でも非財務開示の充実に向けた検討において、人的資本に関する開示はテーマの一つとなっているが(2021年9月2日開催 第1回 金融審議会ディスクロジャーワーキング・グループ 事務局資料32ページ参照)、人的資本への注目度の高まりとともに、今後改めて平均勤続年数に注目が集まる可能性もある。・・・
CSR : 「Corporate Social Responsibility」の略で、「企業の社会的責任」と訳される。企業を「社会の構成員」として位置付けることで、企業は取引先・消費者・株主・従業員・地域社会などのステークホルダーに対し責任ある行動を行い、社会的課題に応え、ステークホルダーとの間で信頼関係を築いていくべきという考え方。
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