世界経済におけるアジアの存在感は高まる一方であり、アジア地域が世界のGDPに占める割合は3割に迫るとともに、世界の製造業におけるシェアも5割近くに上っている。ただ、だからと言ってアジア企業が「グローバル化」を果たしているかというと、そうとは言えない。これは、世界の外国直接投資残高におけるアジア企業の割合は依然として2割に届かず(17%程度)、世界の製造業におけるシェアに比べると大きく見劣りしていることからもうかがえる。要するに、日本企業を含むアジア企業の多くは、アジア地域における安価な労働力の活用や政府の保護を背景に、国内を中心に成長を遂げてきたと言えるだろう。実際、アジアの大企業の3分の2は国営企業と財閥系企業(その多くが同族会社)が占めており、真のグローバル企業と言えるアジア企業はトヨタやサムスンなど一部に限られる。
ただ、アジア企業の成長を支えてきた「安価な労働力」は中国を筆頭に失われつつあるうえ、欧米企業のアジア進出により企業間競争も激化している。こうした中、アジア企業はいま、経営モデルの転換を迫られていると言える。具体的には、国営や同族経営という柔軟性を欠く経営モデルから脱却してガバナンスの効いた「欧米企業型」の経営モデルを構築し、より多くのイノベーションを生み出すとともに、グローバル化の道に進むことが求められている。その好例が、・・・
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