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上場企業における人権方針と人権デュー・ディリジェンス対応の実態

2022年の北京冬季オリンピックを控え、西側先進諸国等による外交的ボイコットが現実味を増している。このような人権を錦の御旗にした対中包囲の動きは政治から経済に飛び火しがちだ。ユニクロや無印良品は中国の新疆ウイグル自治区における強制労働や人権侵害に関与している企業と取引があるとして非難を受けたが、北京冬季オリンピックの開催が近づくにつれ、中国でビジネスを展開する企業が突如として次のターゲットにされることもあり得ない話ではない。

そうなる前に打っておきたい「先手」が、人権方針の策定・公表と人権デュー・ディリジェンスの実施だ()。

 2011年に国連人権理事会が策定した「ビジネスと人権に関する指導原則」(以下、指導原則)では、企業に人権方針の策定・公表や人権デュー・ディリジェンスの実施を要請している。指導原則はⅡA15において「人権を尊重する責任を果たすために、企業は、その規模及び置かれている状況に適した方針及びプロセスを設けるべきである。」としたうえで、企業に対し具体的に下記のaからcを要請している。このうちaが「人権方針」であり、bが「人権デュー・ディリジェンス」に該当する。
a 人権を尊重する責任を果たすという方針によるコミットメント
b 人権への影響を特定し、防止し、軽減し、そしてどのように対処するかについて責任を持つという人権デュー・ディリジェンス・プロセス
c 企業が引き起こし、または助長する人権への負の影響からの是正を可能とするプロセス

では、現状、どれほどの日本企業が人権方針を策定し、人権デュー・ディリジェンスを実施しているのだろうか。・・・

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