「サステナビリティ(持続可能性)」は企業経営の重要な要素となっているが、サステナビリティを語る際にはESG、SDGsいずれかの用語が使われることが多い。ただ、両者は非常に似通った概念であり、上場会社の役員でさえも両者を混同して用いているケースが少なくない。
ESG : 「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を組み合わせたもので、近年、特にグローバル機関投資家の間で、企業の投資価値を測る評価項目としての地位を確立している。
SDGs : 「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、「エスディージーズ」と読む。「人間、地球及び繁栄」のための行動計画として国連が掲げる世界共通の目標であり、17の目標と169のターゲットからなる。2015年9月に開催された「国連持続可能な開発サミット」において150を超える加盟国首脳の参加のもとで採択され、2016年から2030年までの15年間での達成を目指している。
本来、両者は異なる趣旨の言葉であり、それらの言葉がもたらすニュアンスも異なる。さらに、両者を混同することが、単純な表記の誤りにとどまらず、サステナビリティを語る際のコミュニケーションの齟齬を生んでしまっているという問題が、実際に身近で起こっている。そこで、改めてESGとSDGsの違いを整理してみよう。
もっとも、ESGとSDGsには共通要素もある。いずれもサステナビリティ(持続可能性)を含意する用語であるということだ。特にリーマンショック以降、環境や社会の持続可能性への意識の高まりとともにこれら2つの言葉が生まれ、一般に広まってきた。
一方、両者の最も決定的な違いは、・・・
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