議決権行使助言の世界最大手ISSはこのほど(2014年10月16日)、2015年2月から施行される2015年版の各国のポリシー改定に関するオープンコメントを募集することを発表した。ISSはポリシー改定にあたって、各国の機関投資家や発行体(企業)、規制当局など幅広い市場関係者の意見を反映するため、毎年オープンコメントの募集を実施している。最終的な2015年版ポリシーは、11月7日を目処に発表されるという。
日本向けについては、次の3つの大きな変更が予定されている。
1.資本生産性(ROE)基準の導入
過去5年間でROE(自己資本利益率)が5%に1度も達していない企業の経営トップの選任議案に対して反対する。ISSは、5%のROEを「投資家が許容する最低限の資本生産性の水準」とする一方、企業が短期的な経営姿勢に走らず、「中長期的な成長に必要な投資を積極的に行える」ように、測定期間を5年にしたと説明している。2014年時点で約22%の日本企業がこの基準を満たしておらず、経営トップの選任議案反対の対象となることを、ISSは示唆している。
2.取締役会構成基準の厳格化
1年の猶予期間を置いて(すなわち2016年版ポリシーに反映)、取締役会に複数名の社外取締役がいない企業の経営トップの選任議案に反対する。ISSは2013年から社外取締役が1人もいない企業の経営トップの選任議案に反対しているが、すでに過半数の日本企業で社外取締役が導入されている状況を受けて、さらにハードルを上げることになる。ISSによると、現時点で複数の社外取締役を選任していない企業は、・・・
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