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役員報酬の減額という責任の取り方の相場観

業績目標が未達となったり不祥事が発覚したりすると、必ずと言ってよいほど取り沙汰されるのが「役員報酬の減額」だ。執行責任を「金銭」という目に見えやすいものに置き換えるというこの手法は、極めて日本的と評される(欧米企業における責任の取り方については2022年5月9日のニュース『吉野屋の「社長の報酬減額」に見る有事における欧米企業との対応の違い』参照)。特にここ数年は、コロナ禍によって業績が低迷している上場会社における取締役報酬の減額や自主返納が目に付く。コロナ禍という外部環境自体は会社にとってコントロール不能なものだが、外部環境の変化に伴う消費行動の変容にどう対応していくのかは経営陣の腕の見せ所であり、有効な一手を打てないまま業績がじり貧となる状態が続けば、「役員報酬の減額」は解任の“一つ前”のステップとして選択肢となり得るだろう。また、人員削減、賞与カット、経費削減などで不満を抱える従業員という身近なステークホルダーを情緒的に納得させるうえでも、役員報酬の減額は有効と言える。

ただし、「減額の幅」は各社の状況によって当然異なってくる。業績悪化を理由に役員報酬の減額を検討している上場会社にとって、どの程度の減額幅が妥当なのかは判断に迷うところだろう。そこで当フォーラムでは、2022年3月以降の3か月間において業績悪化を理由に役員報酬を減額した上場会社(不祥事発覚により報酬を減額した会社は除く)における減額幅を調査した(下表参照)。・・・

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