米国株式市場の好調が続いているが、その理由として、企業業績の好調やFRB(Federal Reserve Board =米国の連邦準備制度理事会(米国の中央銀行))による金利政策を挙げる向きは多い。その一方で、業績や金利以上に株価を押し上げる要因になっているとの指摘があるのが、「自社株買い」だ。
米国における自社株買いはリーマンショック後に減少したものの、数年前から再び増加に転じ、2014年第1四半期(1~3月)におけるS&P500社*による自社株買いは、2007年以降で最高となる1,593億ドルに達した。その背景には、アクティビストによる“圧力”があるとみられている。
* アメリカの投資情報会社 スタンダード&プアーズが選定した、ニューヨーク証券取引所、NASDAQ、アメリカン証券取引所に上場する代表的な500社。
「モノ言う株主(投資家)」とも言われるアクティビストは、一定の株式保有を背景として、投資先企業の経営改善、透明性向上、説明責任の遂行などにおいて重要な役割を果たすこともある。一方で、アクティビストの活動は企業にとって必ずしも好ましいものとは限らず、アクティビストと距離を置きたいと考える企業もある。そうした活動の一例が、株式の買い戻しを迫る動きだ。最近では、米アップル社が、アクティビストであるカール・アイカーン氏やデビッド・アインホーン氏からの圧力を受け、180億ドルの自社株買いを実施した事例が発生している(2014年第1四半期(1~3月))。
この事例を見て、1980年代に問題となった「グリーンメール」を思い起こす向きもあろう。グリーンメールとは、・・・
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