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気候変動と同じ道を歩む「生物多様性」、今年後半に国際的な目標設定も

金融庁は気候変動開示の義務化に向け、年内に開示府令を改正し、TCFDで全ての企業が開示することが望ましいとされている「ガバナンス」と「リスク管理」の開示を2023年3月期に係る有価証券報告書から義務化する方向だが(2022年5月17日のニュース「男性の育休取得率、女性管理職比率も開示義務化へ 英文開示の義務化は見送り」参照)、企業には気候変動にも深く関連する新たな情報開示義務化の足音が迫りつつある。それが、投資家が“気候変動の次”として注目する「生物多様性」だ。

TCFD : 主要国の金融当局(中央銀行、金融監督当局、財務省)やIMF(国際通貨基金)、世界銀行、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)などで構成される国際的な金融システムの安定を目的とする組織である金融安定理事会(FSB)が設置した組織。TCFDとは「Task Force on Climate-related Financial Disclosures」の略である。TCFDが2017年6月に公表した最終提言は、気候変動リスクに関する情報開示のフレームワーク(枠組み)のグローバルスタンダードになりつつある。

自然資本等に関する企業のリスク管理と開示枠組みを構築する国際組織であり、いわば“生物多様性版TCFD”と言えるTNFD(Task Force for Nature-related Financial Disclosures=自然関連財務情報開示タスクフォース)は既に昨年(2021年)6月4日に発足している(2021年6月9日のニュース「TCFDを補完するTNFDがついに発足、“自然環境開示”への流れ加速」参照)。現在、開示フレームワークの草案が市中協議に付されており、2023年9月には同フレームワークが公表される予定だ。このフレームワークが固まれば、気候変動開示と同様、日本でも有価証券報告書での開示義務化という流れになる可能性は十分考えられる。

ESGの専門家でもない限り、気候変動に比べると、「生物多様性」と言われてもピンと来ないかも知れない。しかし、生物多様性の保全は、 ESG投資家にとって気候変動対応に続く「E(環境)」の課題として強く認識されており、・・・

ESG投資家 : 「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に優れた企業に投資する投資家のこと。

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