インパクト投資の促進に向けた動きが官民で加速している。
インパクト投資 : 社会問題・環境問題を解決することを目的として投資すること。
インパクト投資、すなわち経済的リターンのみならず環境や社会へのポジティブなインパクト(影響)を求める投資は、ESG投資よりも進んだサステナブル・ファイナンスの発展形とも言われる(ESG投資とインパクト投資の違いについては2019年2月18日のニュース「インパクト投資とESG投資の違い」参照)。インパクト投資の概念自体は以前から存在していたが、ESG投資ブームを受け、改めてその意義が見直されている。
ESG投資 : 「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に優れた企業に投資すること。
サステナブル・ファイナンス : ESG投資やグリーンボンドの発行といった「持続可能な社会を実現するための金融」を意味する。
これはグローバルな動きでもあるが、日本においても、岸田政権が今年(2022年)6月7日に公表した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」では、社会課題を解決する経済社会システムを構築するための柱の一つとして「インパクト投資の推進」が位置付けられている(同計画の25ページ参照)。また、(2022年)8月末に公表された2022年度の「金融行政方針」でも、投資による社会・環境面での改善効果(インパクト)を的確に計測・評価することを意味する「インパクトの評価」という新たな項目を立て、多様な投資家をインパクト投資に呼び込むことや、適切なインパクトの計測・測定を通じて気候変動の分野で創業に取り組む企業(クライメートテック企業)への投資の円滑化を図る方針を打ち出している(同方針の19ページ参照。クライメートテック企業については2021年11月22日のニュース『フィンテックならぬ「クライメートテック」のユニコーン企業が日本進出』参照)。
金融行政方針 : 金融庁が、その事務年度の金融行政における重点課題および金融行政に取り組むうえでの方針をしめすもの。
このほか、「インパクト」の概念を投資ではなく、企業と投資家との対話や開示に活用する動きも広がっている。・・・
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