機関投資家に対する評判は機関投資家によって様々だが、良識的な株主行動で名高いのが、ノルウェー政府系ファンドの資産運用部門である「ノルゲスバンク・インベストメント・マネジメント」だ。同ファンドがある企業をポートフォリオから外すとその理由に注目が集まるなど、同ファンドは他の機関投資家に大きな影響力を持つ。また、同ファンドは投資先企業に対して積極的に関与することでも知られる。最近では、ゴールドマン・サックスやバーバリーの役員報酬議案や、JPモルガンのCEO兼取締役会議長の再任議案に反対票を投じ話題を呼んだ。
そのノルゲスバンク・インベストメント・マネジメントは、来年から投資先企業の個々の株主総会議案に対する議決権行使内容を事前に開示する方針を明らかにしている。当面は一部の投資先に限るが、将来的は全投資先を事前開示の対象にするという。議決権行使内容の事前開示は、同ファンド以外でも、既に全米1、2位の公的年金基金「Calpers(カリフォルニア州職員退職年金基金)」「Calstrs(米カリフォルニア州教職員退職年金基金)」が行っているが(ただし、株主総会直前の開示)、これには賛否両論がある。
事前開示といっても株主総会の直前のタイミングで開示するのではガバナンス効果は薄いとし、「行使内容が決定次第、すぐにそれを開示すべき」とするアグレッシブな意見もある一方で、議決権行使の内容は“株主総会直前”の状況で判断すべきであり、投資家としては、企業との対話などの結果によって行使内容を変更するオプションを自ら放棄すべきではないとする意見もある。
どちらの意見にも一理あると言えるが、1つの事実として、・・・
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