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米国有力企業のCEOの報酬減額が相次いでいる背景と日本企業への示唆

最近、米国の有力企業のCEOの報酬減額が相次いでいる。アップルのティム・クックCEO、モルガン・スタンレーのジェームズ・ゴーマンCEO、ゴールドマン・サックスのデビッド・ソロモンCEOなど、著名CEOがいずれも減給の憂き目にあっている。減給の対象は主に次期のインセンティブ報酬や株式報酬で、なかには臨時のリテンション報酬を不支給とするケースもある。また、インテルはパット・ゲルシンガーCEOを含む幹部層以上の基本給を5~25%削減することを公表するなど、日本企業の“得意技”でもある「報酬自主返上」に似た動きも見られる。いずれも株価の下落によって報酬の支給額が減少する「結果論」としての報酬の減少ではなく、次期以降の報酬パッケージ、つまり「報酬を獲得する機会」そのものを減らす動きとなっている。

リテンション : 役職員を引き留めること

これらの動きは新たなトレンドと言える。米国企業ではこれまで、有能なリーダーのアトラクション、リテンションという大義名分の下、対象者に提示する報酬水準は年を追うごとに競り上がっていく一方だった。例外として、リーマンショック時およびCOVID-19のパンデミック初期の混乱の最中には、自社の存続のためにキャッシュをセーブする観点から、一時的に経営陣の報酬を削減するケースはあったが、これらを除けば、次期以降の報酬水準そのものを引き下げるという事例はほとんど見られなかった。

アトラクション : 惹きつけること

では、なぜこうした動きが一斉に見られるようになったのだろか。・・・

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