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賃上げ企業に問われる「賃上げの効果測定」

インフレ下での春闘がヤマ場を迎える中、各社で物価上昇率を上回る賃上げが実現するか否かに注目が集まっている。仮に賃上げ率が物価上昇率を下回れば、従業員の実質賃金は下がる。その結果、従業員エンゲージメントの低下や退社を招くのみならず、優秀な人材の獲得において採用競合の後塵を拝し、中長期的には従業員の質の劣化、ひいては企業価値の毀損につながりかねない。とはいえ、無策な賃上げは単なる人件費負担の増加に過ぎず、継続性にも疑問がある。経営陣としては、企業価値の向上という観点から、賃上げの効果を測定する必要がある。そのツールとして注目されるのが・・・

実質賃金 : 実際に受け取った給与である名目賃金から、消費者物価指数に基づく物価変動の影響を差し引いて算出した賃金のこと。労働者の実質的な購買力を示すため、その推移は個人消費の動向にも影響する。
従業員エンゲージメント : 「企業が目指す姿や方向性を、従業員が理解・共感し、その達成に向けて自発的に貢献しようという意識を持っていること」を指し、組織の目指すゴールに対する「自発的貢献意欲」とも言い換えることができる。従業員エンゲージメントは「従業員満足度」と混同されがちだが、実は両者は大きく異なっている。所属する組織、職場の状況、上司、自身の仕事などについて、「従業員が自身の物差し」で評価をするのが従業員満足度であるのに対して、「会社が目指す方向性や姿を物差し」として、それらについての自分自身の理解度、共感度、行動意欲を評価するのが従業員エンゲージメントとされる。
採用競合 : 新卒や転職者などが自社と同時に志望する他の企業(1社とは限らない)を指す。

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