印刷する 印刷する

「経営問題」としての男女賃金格差

周知のとおり、2023年3月期の有価証券報告書から非財務情報の一部として「男女間の賃金格差」の開示が義務化される(2023年2月7日のニュース「改正開示府令対応におけるリスク」、2023年2月17日のニュース「常時雇用労働者101名~300名以下の企業の有報における女活法関係項目の開示義務」参照)。こうした中、各社では自社の数値の集計や開示の際の“補足説明”の書きぶりの検討が急ピッチで進んでいる。開示義務化を前にして、大手企業における見込み値のアンケート調査結果も新聞等で報じられている。大手人事コンサルティング会社のウイリス・タワーズワトソンの調査によれば、回答企業(東証プライム上場企業を中心とした160社)の平均値として、女性の平均賃金は男性の74%となっている。これは日本全体の値(77.5%)よりも低く、さらにOECD(経済協力開発機構)の平均(88.4%)や米国の平均(82.3%)とは大きな乖離がある(男女間賃金格差の国際比較はこちら)。業種別にみると、医薬品や素材・化学は相対的に男女間賃金差異が小さく、医薬品では86%、素材・化学では85%となっている一方、金融・不動産は62%と、最も男女間賃金差異が大きい業種となっている。

男女間の賃金差異は英語圏では「Gender Pay Gap(GPG)」と呼ばれ、役員・管理職への女性登用度がはっきりと表れやすい指標と言われている。すなわち、Gender Pay Gapは「報酬」の論点のように見えるが、報酬にとどまらず、採用、評価、・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は
ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから