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人的資本経営は企業価値向上につながるか

企業の競争優位の源泉や持続的な企業価値向上の推進力が「無形資産」にあるとの認識が広がる中、人的資本への投資はその中核要素であり、企業価値向上に直結する戦略投資であるとの考え方が、企業のみならず投資家においても定着しつつある。とはいえ、人的資本への投資が本当に企業価値向上につながっているのかは、投資家のみならず、企業自身も明確な答えを持っていないのが現状だろう。実際、人的資本への投資は、棚卸資産や固定資産に含められるものを除き、会計上は「費用」として処理されることから、これまで短期的には利益を押し下げ、資本効率を低下させると考えられてきた。それゆえ、企業が資本効率向上を目指し足下の利益を確保するため、人的資本への投資は抑制されるか、後回しにされやすい傾向にあったと言える。

人的資本 : 人材が教育や研修、日々の業務等を通じて自己の能力や経験、意欲を向上・蓄積することを、企業の付加価値を創造する源泉である「資本」として捉えるもの。「資本」としての人材の価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方を「人的資本経営」という。

人的資本に投資したからといってもアウトカム(売上や利益等)につながらなければ、それは無駄な投資となる。こうした中、人的資本の投資の効果を測定する動きが出てきている。例えば・・・

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