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マイナス金利解除による資本コストへの影響

ついに日銀がマイナス金利を解除し、金利が正常化に向かう。上場企業の経営陣にとって、これが企業経営および株価にどのような影響を与えるのかは大きな関心事であろう。金利の正常化はマクロ環境等に様々な変化を与えるのは間違いないが、もう一つ考えられるのが「資本コスト」への影響だ。


資本コスト : 「資金提供者(債権者+株主)に対するリターン」のこと(なお、株主に対するリターンには、配当のほかキャピタルゲインも含まれる)。資金提供者に対するリターンが適切にできなければ、債権者は会社に資金の返還を求め、株主は株式を売却(=株価が下落する)せざるを得ない。したがって、会社にとって資本コストは「資金提供者に対するリターンの目標値」と言える。

金利がつくことによって、企業では現金預金等の受取利息が増加するとともに、借入金等の支払利息も増加する。通常、企業の借入金等の有利子負債は現金預金よりも大きいため、ネットでは当期利益の減少につながる。また、資本コストも上昇する。資本コストは、株主資本コストと債権者資本コストに分けられるが、金利の上昇によって、このうち債権者資本コストが上昇するからだ。その結果、株主資本コストと債権者資本コストの加重平均である加重平均資本コストも上昇し、企業価値および株価は下落することになる。

以上を踏まえると、今回のマイナス金利解除は上場企業にとってマイナスに働くように見えるが、実はそうとも言えない。特に資本コストの上昇は、大きなプラス効果もあると考えられる。

周知のとおり、東証や投資家から上場企業に対して、資本コストを意識した経営が求められているが、経営者が本当に資本コストを意識しているのか疑念を抱く投資家は少なくない。そもそも株主資本コストは・・・

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