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女性社内取締役を確保するための人的資本戦略

議決権行使助言会社や運用機関が設定している取締役選任議案に関する議決権行使(助言)基準では、女性(もしくは多様なジェンダー。以下同)の取締役を求めることは今や当然となっている。下表に示した例のとおり、取締役会に占める女性取締役の閾値は1~2名や10%、対象は取締役または監査役を含む役員、基準の適用範囲はプライム市場から全市場まで様々だが、早晩、「全上場企業」について女性取締役が「複数」または「10%」という基準に収斂することが予想される。

議決権行使助言会社/運用機関
議決権行使(助言)基準
ISS 下記のいずれかに該当する場合、原則として反対を推奨する。
・株主総会後の取締役会に女性取締役が1人もいない場合
グラスルイス プライム市場上場企業の取締役会には、最低でも10%以上の多様な性別の取締役を求める。プライム市場以外に上場している企業については、取締役会と監査役会を合わせて、多様な性別の役員を最低1名求める。
ブラックロック TOPIX100を構成する企業については、女性の取締役もしくは監査役2名以上、TOPIX Mid400 を構成する企業については、女性の取締役もしくは監査役1名以上の選任を求める。
野村アセットマネジメント 以下のいずれかに該当する場合、会長・社長等の取締役再任に原則として反対する。
・女性の取締役がいない場合。
三井住友トラストアセットマネジメント 女性取締役が不在の場合、取締役選任に反対(対象はプライム市場上場企業)

さらに上場企業には、グローバル水準である「女性取締役が30%」まで視野に入れるべき時期が迫っている。取締役会の平均的な規模が10人強であることを勘案すると、人数としては4人の女性取締役が必要という計算になる。また、現状、多くの企業の女性取締役は社外からの選任が中心だが、女性取締役が4人となれば社内からの登用が伴わなければ、30%という水準の達成は難しくなることが考えられる。

そこで当フォーラムでは、2023年10月の定期選定時におけるTOPIX100採用企業(東芝の上場廃止があり99社)をサンプルに、有価証券報告書の「役員の状況」における開示をベースとして、社内・社外の別を含む女性取締役の選任状況を調査した。・・・

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