マクロ経済指標の低迷にもかかわらず、日本株の上昇が続いている。海外投資家の資金もかなり流入しているものとみられる。
なぜ海外投資家は日本企業を買ってくるのだろうか。その理由の1つとして挙げられるのが、日本のコーポレートガバナンス改革への期待だ。今年(2014年)2月にはスチュワードシップ・コード、8月には伊藤レポートが作成され、さらに、現在はコーポレートガバナンス・コードが検討されている。これらの議論には企業はもちろん機関投資家なども参加し、様々な立場の人々がそれぞれの利害関係を越え、現在日本が置かれている厳しい現状に危機感を持って、知恵を出し合っている。
このうち伊藤レポートについて海外投資家に話を聞くと、非常に肯定的な反応が返ってくる。それどころか、企業、投資家、官庁が一体となってこのようなレポートを発表したこと自体、驚きとしてとらえられている。2年前、現在のような日本の改革の動きを予想した海外投資家はいないのではないだろうか。こうした驚きが、日本企業への期待につながり、株価上昇の一因になっていると分析する向きも多い。
また、海外投資家の中には、伊藤レポートが「ROE8%」を提言したことを評価している者も多い。企業も参加しているプロジェクトでこうした議論が行われたこと自体、極めてポジティブにとらえられている。
伊藤レポートは企業、投資家それぞれに様々な課題解決を迫っているが、特に企業への要求は大きい。それにもかかわらず、・・・
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