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東証、“一覧表”への掲載よりも「実質面」を重視した新たな方策を今秋以降検討へ

周知のとおり、東証は2023年3月に要請した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関するキーワードをコーポレートガバナンス報告書に記載している企業(「検討中」とした企業を含む。以下同)を一覧表にまとめ、今年1月15日から開示している。一覧表は毎月15日を目途に更新されているが、6月14日に更新された最新の一覧表(5月末時点でのキーワードの記載状況をとりまとめたもの)には、プライム市場上場企業の72%(1,188社)、スタンダード市場上場企業の30%(480社)が掲載された。2か月前の3月末と比較すると、プライム市場では7ポイント、スタンダード市場では4ポイント改善している。これまでと同様に、時価総額が大きく、PBRが1倍未満の企業の掲載率が高い傾向がみられる。逆に、プライム市場でも時価総額が250億円未満でPBRが1倍以上の企業の掲載率は51%と低調となっている。東証の要請がプライム市場とスタンダード市場に上場するすべての企業を対象としているにもかかわらず、要請から1年以上が経過しても未掲載企業が数多く存在することに対しては、投資家から失望の声も聞かれる。


PBR : Price Book-value Ratio=株価純資産倍率(株価÷1株当たり株主資本)。株価が1株当たり純資産(BPS:Book value Per Share)の何倍まで買われているか(=1株当たり純資産の何倍の値段が付いているか)を指す。PBRが1.0を大幅に下回る場合、投資家が企業の将来性に疑問を持っていたり、減損リスクのように潜在的な資産の含み損が多額にのぼる可能性が株価に織り込まれていたりすることを示唆する。

もっとも、一覧表に掲載されていればそれでよいというわけではない。既に市場の注目は・・・

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