フィデューシャリーアドバイザーズ 代表
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター招聘研究員 吉村一男
イオンが、グループでショッピングセンターの開発・運営を担うイオンモールとその保守などを担うイオンディライトの2社の上場子会社を「完全子会社化」すると発表したことに象徴されるように、親会社による上場子会社の完全子会社化が急増している。その背景には、投資家、とりわけ海外投資家の「親子上場」に対するネガティブな姿勢があると言われている。東証が2025年2月18日に開催した「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」には、東証から「親子上場等に関する投資者の目線」と題する資料が提出されているが、そこでは以下のような投資家の意見が紹介されている。
・子会社の経営の独立性を尊重するのであれば、売却・業務提携でも十分であり、グループ一体となってシナジーを高めるのであれば完全子会社化すべきと考えられる中、親子上場の形態をとることの説明が必要
・少数株主を抱えてまで上場する点であくまでもイレギュラーな形態であり、相応の説明責任が生じる
・現状は親子上場の形態を維持する意義について合理的な説明をしている企業はほとんどない
・合理的な説明がなされていない結果として、多くの親会社では、資本コストが高まり、バリュエーションがディスカウントされている状態
投資家がこのような意見を持つのも無理はない。なぜなら、・・・
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