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下請法改正案が衆議院へ、上場企業は社内の意識改革を

下請法の改正案が2025年3月11日に閣議決定され、内閣提出法案として衆議院に送付された。今回の改正案を提案した公正取引委員会の企業取引研究会は、昨年(2024年)12月に公表した報告書で「下請」という表現は企業間の上下関係をイメージさせるため適切でないと指摘、「下請法の趣旨や対象となる取引を表現するにふさわしい用語を政府において検討していくべき」としており(下記の『「下請」という用語を改正した方が良い理由』を参照)、政府がどのような用語を採用するのか注目を集めていた(企業取引研究会の報告書については2024年12月19日のニュース『下請法改正の内容が判明 「弱い者達がさらに弱い者をたたく」状況を変えるためにすべきこと』を参照)。


下請法 : 「下請法」というと、一般的には「下請代金支払遅延等防止法」を指すが、関連する法律として「下請中小企業振興法」がある。「下請代金支払遅延等防止法」は、親事業者と下請事業者間の取引における不公平な条件を規制するものであり、主に支払い遅延、不当な減額、不当な返品などを防止することを目的としている(公正取引委員会と中小企業庁が監督)。一方、「下請中小企業振興法」は中小企業の振興と発展を目的とした法律であり、親事業者と下請事業者が守るべき振興基準を定め、それに基づいて指導や助言を行うことで取引の透明性と公正性を確保したり、中小企業の競争力向上を支援したりするための施策が盛り込まれている。

「下請」という用語を改正した方が良い理由
受注者は発注者と共に互いに協力しながら良い商品やサービスを顧客に提供していく共働関係にある。そのような関係において、「親」や「下請」という表現が現在の社会においてはなじまないという指摘はもっともである。「下請」という用語に対する国民の認識や、発注者と受注者が対等な立場で共存共栄を目指すという意識の高まりを踏まえると、これを機に取引適正化に向けた国民の意識改革をより一層推進させることも企図して、「下請」という用語を時代の情勢変化に沿った用語に改める必要がある。具体的な用語については、既存の法令も参考にしつつ、下請法の趣旨や対象となる取引を表現するにふさわしい用語を政府において検討していくべきである。(企業取引研究会の報告書の21ページより引用)

「具体的な用語」について下駄を預けられた格好となっていた政府が内閣提出法案で提案したのが、・・・

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