プロキシー・ファイトという同意なき買収
フィデューシャリーアドバイザーズ代表
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター招聘研究員 吉村一男
日本ではコーポレートガバナンスを外部から実現するための手段として「同意なき買収」が増加しているが、米国では「プロキシー・ファイト(委任状争奪合戦)」がメインの手段として定着している。「米国史上最大」と言われたウォルト・ディズニーの委任状争奪合戦は記憶に新しい。
プロキシー・ファイト(委任状争奪合戦) : 株主総会において、会社提案の議案を否決したり、株主提案の議案を可決させたりするために、株主が会社の経営陣と委任状(議決権)を奪い合うこと。ファンド等の株主が、会社提案の否決または株主提案への賛成を求める委任状を他の株主に送付する形で行われる。自社が敵対的買収のターゲットとなった場合には、会社と買収者がともに委任状勧誘を行う委任状争奪合戦(プロキシー・ファイト=proxy fight)へと発展することが多い。
米国における1981年から2012年までのプロキシー・ファイト(Proxy Contests)と同意なき買収(Hostile Tender Offers)の数を時系列で見ると、1980年代、株主は同意なき買収に依存することが多かったが、1990年代以降は委任状争奪戦に依存していることが分かる。この傾向は現在も変わっていない。
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何故だろうか。・・・
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