印刷する 印刷する

ダイバーシティ経営実現のためのステップとアクション

保護主義の台頭とトランプ関税を契機とする関税戦争、AIや量子コンピュータなど予測不能な技術革新、人口減少に伴う人材獲得競争の激化など、上場会社を取り巻く環境はかつてないほど複雑になっている。そのような中で注目を集めているのが、「ダイバーシティ経営」だ。

フジテレビの騒動を例に出すまでもなく、同質的な人材ばかりの組織では変化への対応力に限界がある。また、衰退産業にありがちな成功体験への固執と思考の偏りが外部環境の変化への感度を鈍らせ、イノベーションを阻む。逆に、衰退産業であっても異なる価値観や経験を持つ人材が集えば、想定外の課題にも柔軟に立ち向かえるようになる。そのためには、多様性を「社会的な要請」と捉えて渋々対応するのではなく、「競争力」と捉えて積極的に経営に取り込むという発想の転換が必要になる。

現在、ほとんどの上場会社が、多様な人材の活躍を推進するための制度の構築に取り組んではいるものの、実際のところそれらの取り組みを企業価値向上に結び付けることができている事例はごくわずかといっても過言ではない。外部の女性士業を社外取締役に招聘し、手っ取り早く女性役員比率をアップさせることで「多様性」をアピールしている上場会社も多い(2025年1月17日のニュース「女性管理職比率の開示義務化が既定路線に 適用対象拡大により子会社での開示が必要になるケースも増加へ」参照)。このような上場会社からは「多様性の事業上の必要性が分からない」「競争力強化へのパスが不明瞭」といった声がよく聞かれるが、ダイバーシティ経営の難しさに頭を悩ませている取締役会、社長・CEOら経営陣およびダイバーシティ経営の推進担当者は、・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから