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台湾有事に備え企業が講じるべき対応

高市首相の台湾有事に関する衆院予算委員会での答弁とそれに対する中国の反発、また、中国への技術流出の懸念を背景に、オランダに本社を置く中国系半導体メーカーであるネクスペリア社の経営に対するオランダ政府への介入と中国側による報復措置(同社中国工場からのチップ輸出停止)などをきっかけに、日本企業の間で「経済安全保障」への関心が急速に高まっている。文字通り「経済」と「安全保障」が密接に結びつく時代においては、これまでの調達・生産モデルが立ち行かなくなりつつある。

中国や台湾に自社の生産拠点がある企業では台湾有事への備えが一定程度進んでいる一方、リスクを過小評価し、依然としてサプライチェーンの見直しが十分ではない企業も見受けられる。また、中国や台湾に拠点を有していなくても、近年のサプライチェーンは原材料の供給、部品の製造、最終製品の組み立てといった多層構造で形成されており、素材・電子部品・加工部材の由来まで遡れば、中国・台湾地域を経由しているケースが非常に多い。物流網や港湾、海上輸送ルートも考慮すると、台湾有事の際にはほとんどの企業が何らかの影響を受けるはずだ。サプライチェーンのどこか一か所が途切れれば、国内で完結しているかのように見える事業であっても生産停止や納期遅延という事態に追い込まれる恐れがある。

サプライチェーンの寸断や物流危機に加え、中国系のサイバー攻撃集団による日本企業をターゲットとしたサイバーテロのリスクもこれまで以上に高まっている。また、産業スパイの暗躍による機密情報の流出危機に対しても有効な手を打てていないのが現状だ。

こうした中、企業が取り組むべき課題としてまず挙げられるのが、・・・

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