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ソフト99のMBO頓挫に学ぶこと

フィデューシャリーアドバイザーズ代表
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター招聘研究員 吉村一男

ソフト99コーポレーション(ソフト99)のMBOが頓挫した(2025年11月18日のニュース「ソフト99の事案で顕在化 長期投資家に報いることができなかった場合のリスク」参照)。同社の田中秀明社長が設立した堯アセットマネジメントが同社に対して行ったTOBへの対抗TOBを成立させた投資ファンドのエフィッシモ・キャピタル・マネージメント(エフィッシモ)は2007年5月中旬にソフト99の株式を初めて取得。それ以来、18年以上にわたり同社の株式の保有を継続し、その間、同社に対して十数回におよぶ経営陣との面談を中心としたエンゲージメントの機会を持ち、同社の経営の効率性等に関する課題を伝えてきた。

そのエフィッシモは、堯アセットマネジメントが提示した「1株2,465円」(2025 年7 月29 日のソフト99株式の終値1,589 円に対して54.19%のプレミアムを付与)というTOB価格に反発、ソフト99の特別委員会の委員との面談の機会を設定するよう2025年8月18日付けで同社に要請した。しかし、ソフト99は同月21日、「開示情報以上の説明はいたしかねる」との理由でこれを拒否。そこでエフィッシモは、ソフト99の中長期的な企業価値向上を確保しつつ、少数株主の利益を保護することを目的に対抗TOBの実施を検討し、2025年8月28日付けで同社に対して「1株4,100円」でTOBを実施するとの意向表明を行ったという経緯がある。注目すべきは、エフィッシモが堯アセットマネジメントによるソフト99株式のTOB価格を「割安」と考えた理由だ。・・・


プレミアム : 買収価格と株価の差
特別委員会 : 企業買収の公正性の確保を目的として設置される独立した合議体。企業価値の向上と一般株主の利益保護のため、企業買収の是非や取引条件の妥当性、公正性を検討・判断する。

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