光る技術を持っていたり、有望な研究を進めていたりする中小・ベンチャー企業などと共同で研究開発を行うことにより、革新的な研究成果、製品開発につなげようとする上場企業は少なくない。また、そこまでは行かなくても、上場企業の製品の部品の1つを中小企業が生産しているケースは珍しくない。
大企業にはない斬新な発想を持つ中小・ベンチャー企業との連携は自社にイノベーションをもたらしてくれる可能性がある一方で、注意しなければならないのが、知的財産の保護や情報の秘匿化だ。
大企業に比べると発明などが生まれる件数は圧倒的に少ない中小・ベンチャー企業では、知的財産の保護や情報の秘匿化が適切に行われていないことがある。このため、一緒に研究開発を行ってきたところ、知的財産の権利化・権利処理ができておらずライセンス時に揉めた、あるいは競合他社に技術情報が盗まれ類似商品が出回るといったトラブルが起こりやすい。そもそも、企業内で生まれた発明を特許化するか、あるいは秘匿化するか、いずれの手法がより大きな利益を自社にもたらすかを決定するいわゆるオープン・クローズ戦略は、非常に高度な判断が求められるため、知財戦略に関するノウハウの蓄積が不十分な中小企業では対応が困難な場合が少なくない(オープン・クローズ戦略の詳細は2014年11月28日のニュース「日本企業のシェアが途上国企業に奪われた本当の理由」参照)。
こうした中、特許庁は・・・
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