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過去最大の知財使用料収支黒字が示す“日本企業の進むべき道”

 海外からの知的財産権使用料収入の上昇が顕著だ。財務省が1月13日に発表した2014年11月の国際収支状況によると、特許やライセンス等の無形資産からの収入を表す知的財産権使用料収支は、11月の数字としては1996年以来過去最大となる3,089億円の黒字となった。

 知的財産権使用料収入は、貿易収支(モノの輸出入の収支)とともに国際収支を構成するサービス収支(運賃、旅行、情報、特許等使用料などサービスの受取り・支払の収支)の1つだが、2014年11月におけるサービス収支自体は1,063億円の赤字となっている。ただし、過去5か月間と比べるとサービス収支の赤字額は大幅に減少している(ちなみに、2014年7月は4,525億円の赤字)。その大きな要因が海外からの知的財産権使用料収入の増加であり、知的財産権使用料収入の貢献により、サービス収支が黒字化する可能性が高まってきた。

 日本経済は輸出型製造業に支えられてきたイメージが強いが、実は「モノ」の輸出は伸びていない。その背景にあるのが生産拠点の移転だ。1985年のプラザ合意以降、日本の輸出型製造業は円高による価格競争力低下を回避するため、生産拠点の海外移転を進めてきた。円は2011年10月に対ドルで75円32銭の史上最高値を付けて以降、現在は120円近辺まで下落しているが、既に生産拠点が海外にあるため、「モノ」の輸出が伸びない傾向は変わっていない。

 その一方で、「有形資産」の輸出ではなく知的財産という「無形資産」からの収入が増加しているという事実は、日本企業に重要な示唆を与えている。今後・・・

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