安倍政権は、2020年までに「指導的地位(課長級以上)」に占める女性の割合30%程度にすることを目標に掲げているのは周知のとおり。「女性の割合30%」というと、一見先進的な取組みに見えるかもしれないが、そうではない。例えば英国では現在でも管理職の35%以上を女性が占めており、日本政府が掲げる目標はとうにクリアしている。女性の管理職比率が40%を超える米国はもちろん、フランスやドイツ、北欧諸国も軒並み30%を超えている。
こうした国々の関心事は既に「取締役」の女性比率に移っている。女性のキャリア支援などを行う米国の非営利団体カタリストのレポートによると、株価インデックス構成企業の取締役会に占める女性比率がもっとも高いのはノルウェー35.5%で、以下フィンランド29.9%、フランス29.7%、スウェーデン28.8%、ベルギー23.4%、英国22.8%、デンマーク21.9%、オランダ21.0%、ドイツ18.5%、スペイン18.2%、スイス17.0%、オーストリア13.0%、アイルランド10.3%、ポルトガル7.9%、カナダ20.8%、米国19.2%、オーストラリア19.2%、香港10.2%、インド9.5%と続き、日本はインドを大きく下回る3.1%と、ダントツに低いのが現実だ。
女性取締役比率の上位には欧州諸国が並んでいるが、これらの国々はそれでも十分だとは思っていない。例えば英国ではFTSE100構成企業の取締役会における同比率を今年中に25%に引き上げるという目標が掲げられている。そして、この目標を達成するために、これまで尊重されてきた「規制で縛ることなく自主的な取組みとして進めるべき」とのこだわりを捨て、女性取締役比率トップのノルウェーで採用されているクオータ制の導入議論も浮上している。さらにEUでは・・・
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