2014/10/30 (新用語・難解用語)オムニチャネル(会員限定)

 顧客との接点となる「チャネル」には、店舗、カタログ、テレビ通販、ダイレクトメールといった従来型のものから、インターネット通販サイト、SNSなどインターネットを利用したものまで様々なものがある。オムニチャネルとは、これらのすべてのチャネルを連携させることで、あらゆるチャネルで顧客との接点を持とうというマーケティング戦略のこと。オムニには「すべて」「あらゆる」といった意味がある。

 オムニチャネルと混同されやすい言葉に「マルチチャネル」があるが、マルチチャネルは単にチャネルを増やすことであり、各チャネルの連携は必ずしも念頭に置いていないという点で、オムニチャネルとは異なる。各チャネルが連携していないマルチチャネルでは、例えば店舗部門とインターネット通販部門が完全に分離しており(いわゆる“縦割り”)、ともすればライバル関係にある。店舗部門の人間にとっては、インターネット通販サイトの売上が伸びれば「店舗の売上を奪われる」といった意識が働くからである。

 これに対しオムニチャネルでは、店舗やインターネット通販サイトなどあらゆるチャネルで顧客と接することを重視し、顧客はどのチャネルからでも商品を購入することができる。例えば、顧客に合うサイズの服の在庫が店舗にない場合、インターネット通販サイトを案内したり、SNSで商品への興味を抱かせたうえでインターネット通販サイトに誘導し、購買につなげたりといったケースは、まさにオムニチャネルを体現したもの。また、インターネットで商品の特徴や価格を調べてから店舗で商品を購入するという「O to O(Online to Offline)」も、オムニチャネルの一類型である。

 マルチチャネルが「どこで売るか」を問題にしているのに対し、オムニチャネルではむしろチャネル同士が連携あるいは融合することで、消費者に「いかに買ってもらうか」を重視する考え方と言える。

 スマートフォンの登場によりオムニチャネルという考え方がますます普及していくのは間違いないが、オムニチャネルを実現するためには、上述したマルチチャネルに見られるような縦割りの組織(店舗部門、インターネット通販部門、物流部門、IT部門など)を連携・融合させる必要がある。そのためには、マーケティング担当役員(CMO=Chief Marketing Officer)などの経営陣のリーダーシップによる大胆な組織改革、従業員の意識改革は必須となる。

 また、オムニチャネルを実現するためには、各チャネルにある顧客情報、在庫情報などの統合も必要になるため、まとまったIT投資も見込んでおく必要があろう。

2014/10/29 CFに大きな影響 繰越欠損金の控除限度割合引下げ議論の行方

 税金は企業のキャッシュフローに直接的な影響を与える。海外のグローバル企業の中には、「いかに税負担を下げるか(実質的な税負担率を下げるか)」を経営上の目標の1つとし、その実績を株主にアピールしているところもあるほどだ。

 そして、企業の税負担にしばしば大きな影響を与えるのが「繰越欠損金」である。繰越欠損金とは、法人税の計算上の利益(益金)を損失(損金)が上回った場合に生じるものであり、翌事業年度以降に繰り越して(9年間繰越が可能)、所得(益金-損金)から控除することができる。ただし、資本金が1億円超の法人では、繰越欠損金を控除できるのは「所得の80%」が上限となる。例えば所得、繰越欠損金とも100あった場合、所得から控除できるのは80が上限になるというわけだ(その結果、課税対象となる所得は20となる。控除できなかった繰越欠損金20は翌事業年度に繰り越し)。一方、資本金が1億円以下の法人であれば、所得の100%と相殺することができる(課税対象となる所得は0)。

 企業の税負担が減るということは、国側から見れば税収が減るということに他ならない。実際、繰越欠損金を活用して法人税を納めていない企業は多く、財政赤字に苦しむ国を悩ませているが、来年実施される平成27年度税制改正では、
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2014/10/29 CFに大きな影響 繰越欠損金の控除限度割合引下げ議論の行方(会員限定)

 税金は企業のキャッシュフローに直接的な影響を与える。海外のグローバル企業の中には、「いかに税負担を下げるか(実質的な税負担率を下げるか)」を経営上の目標の1つとし、その実績を株主にアピールしているところもあるほどだ。

 そして、企業の税負担にしばしば大きな影響を与えるのが「繰越欠損金」である。繰越欠損金とは、法人税の計算上の利益(益金)を損失(損金)が上回った場合に生じるものであり、翌事業年度以降に繰り越して(9年間繰越が可能)、所得(益金-損金)から控除することができる。ただし、資本金が1億円超の法人では、繰越欠損金を控除できるのは「所得の80%」が上限となる。例えば所得、繰越欠損金とも100あった場合、所得から控除できるのは80が上限になるというわけだ(その結果、課税対象となる所得は20となる。控除できなかった繰越欠損金20は翌事業年度に繰り越し)。一方、資本金が1億円以下の法人であれば、所得の100%と相殺することができる(課税対象となる所得は0)。

 企業の税負担が減るということは、国側から見れば税収が減るということに他ならない。実際、繰越欠損金を活用して法人税を納めていない企業は多く、財政赤字に苦しむ国を悩ませているが、来年実施される平成27年度税制改正では、上述した「80%」という控除割合が一気に「50%」まで引き下げられることになりそうだ。一方、資本金1億円以下の法人に適用されている「100%」の方は、中小企業への影響を考慮し、そのまま維持される方向。これらは、今後1か月以内に新聞でも報道されるだろう。

 控除割合の引下げは、現在政府が進めている法人実効税率の引下げ(現在(2014年)35.64%の法人実効税率を数年間で20%に引き下げる方針)の財源という形で行われる。多額の所得がある企業は税率引下げのメリットを享受できるであろうが、所得が少ない企業は、繰越欠損金の控除割合が減ることによる税負担の増加が税率引下げによる税負担の減少を上回り、トータルでは負担増となる恐れがある。その意味で、「税率引下げ+繰越欠損金の控除割合縮小」という今回の税制改正は、企業に対してもっと稼ぐことを求めるものと言えそうだ。

2014/10/28 絶好調続く米国株価の背景にアクティビストの圧力

 米国株式市場の好調が続いているが、その理由として、企業業績の好調やFRB(Federal Reserve Board =米国の連邦準備制度理事会(米国の中央銀行))による金利政策を挙げる向きは多い。その一方で、業績や金利以上に株価を押し上げる要因になっているとの指摘があるのが、「自社株買い」だ。

 米国における自社株買いはリーマンショック後に減少したものの、数年前から再び増加に転じ、2014年第1四半期(1~3月)におけるS&P500社*による自社株買いは、2007年以降で最高となる1,593億ドルに達した。その背景には、アクティビストによる“圧力”があるとみられている。

* アメリカの投資情報会社 スタンダード&プアーズが選定した、ニューヨーク証券取引所、NASDAQ、アメリカン証券取引所に上場する代表的な500社。

 「モノ言う株主(投資家)」とも言われるアクティビストは、一定の株式保有を背景として、投資先企業の経営改善、透明性向上、説明責任の遂行などにおいて重要な役割を果たすこともある。一方で、アクティビストの活動は企業にとって必ずしも好ましいものとは限らず、アクティビストと距離を置きたいと考える企業もある。そうした活動の一例が、株式の買い戻しを迫る動きだ。最近では、米アップル社が、アクティビストであるカール・アイカーン氏やデビッド・アインホーン氏からの圧力を受け、180億ドルの自社株買いを実施した事例が発生している(2014年第1四半期(1~3月))。

 この事例を見て、1980年代に問題となった「グリーンメール」を思い起こす向きもあろう。グリーンメールとは、・・・

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2014/10/28 絶好調続く米国株価の背景にアクティビストの圧力(会員限定)

 米国株式市場の好調が続いているが、その理由として、企業業績の好調やFRB(Federal Reserve Board =米国の連邦準備制度理事会(米国の中央銀行))による金利政策を挙げる向きは多い。その一方で、業績や金利以上に株価を押し上げる要因になっているとの指摘があるのが、「自社株買い」だ。

 米国における自社株買いはリーマンショック後に減少したものの、数年前から再び増加に転じ、2014年第1四半期(1~3月)におけるS&P500社*による自社株買いは、2007年以降で最高となる1,593億ドルに達した。その背景には、アクティビストによる“圧力”があるとみられている。

* アメリカの投資情報会社 スタンダード&プアーズが選定した、ニューヨーク証券取引所、NASDAQ、アメリカン証券取引所に上場する代表的な500社。

 「モノ言う株主(投資家)」とも言われるアクティビストは、一定の株式保有を背景として、投資先企業の経営改善、透明性向上、説明責任の遂行などにおいて重要な役割を果たすこともある。一方で、アクティビストの活動は企業にとって必ずしも好ましいものとは限らず、アクティビストと距離を置きたいと考える企業もある。そうした活動の一例が、株式の買い戻しを迫る動きだ。最近では、米アップル社が、アクティビストであるカール・アイカーン氏やデビッド・アインホーン氏からの圧力を受け、180億ドルの自社株買いを実施した事例が発生している(2014年第1四半期(1~3月))。

 この事例を見て、1980年代に問題となった「グリーンメール」を思い起こす向きもあろう。グリーンメールとは、“乗っ取り屋”と呼ばれる投資家が、短期的な利益を目的に特定企業の株式を市場で買い集め、プレミアムを乗せたり株価を吊り上げたりしたうえで、当該企業に株式の買取りを求める手法であり、「企業に対する脅迫」として強い批判を浴びた(ちなみに、グリーンメールという名称は、ドル紙幣を意味する「グリーンバック」と恐喝を意味する「ブラックメール」を組み合わせた造語)。グリーンメールは、企業が買収防衛策を導入したり規制が強化された結果、既に1990年代前半には下火になっている。したがって、最近見られるアクティビストの圧力による株式の買戻しは、グリーンメールとは異なる(実際、当該株式の買戻しの際には、敵対的買収を仕掛けたり、過度に価格を吊り上げたりといったことは行われていない)。

 とはいえ、「他の株主を犠牲にしてアクティビストに短期的な利益を提供している」といった批判の声があるのも事実。米国で起きていることは、日本の近未来と言えるかもしれない。

2014/10/27 コーポレートガバナンス・コードに規定される独立取締役の人数は?

 現在、金融庁・東証が主導する「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」でコーポレートガバナンス・コードの検討が進められているが(今年(2014年)8月以来、既に4回開催)、企業から高い関心を集めているのが「独立取締役」の人数だ。

 コーポレートガバナンス・コードは英国で発祥したものだが、英国のコーポレートガバナンス・コードでは、取締役会(取締役会議長を除く)の少なくとも半数(比較的小規模な上場会社の場合、少なくとも2名)は独立取締役(非業務執行取締役)であることを求めている(英国コーポレートガバナンス・コードの仮訳12ページ参照)。また、今年6月には、米カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)など有力機関投資家が共同で、「独立取締役を今後3年間で取締役総数の3分の1以上に引き上げるよう」、日本の上場会社33社に書簡で要求したという。このほか、アジア・コーポレートガバナンス協会(ACGA)は2008年の「日本のコーポレートガバナンス白書」で、「最低3名の独立社外取締役を可及的速やかに指名」するよう求めている。

 もっとも、東証上場企業の中で社外取締役がまだ1人もいない会社が1,000社を超えることを考えると(2014年10月10日のニュース「会社によって異なる社外取締役選定にかけられる時間的余裕」参照)、多くの上場企業にとって、グローバルな要求水準はかなり厳しいものだと言える。こうした中、経済同友会は10月20日に「コーポレートガバナンス・コードに関する意見書」を公表している。経済同友会は、日本版コーポレートガバナンス・コードの検討が進められていること自体は高く評価しつつ、独立取締役については「最低2名の確保」としている(2ページ参照)。

 この経済同友会の意見書に先立ち、10月6日には日本取締役協会が「コーポレートガバナンス・コード(日本取締役協会案)」を金融庁に提出しているが、同協会は経済同友会案を上回る「3名か取締役会の3分の1に相当する数」としている(4ページ参照)。同協会がより高いハードルを提案したのは、・・・

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2014/10/27 コーポレートガバナンス・コードに規定される独立取締役の人数は?(会員限定)

 現在、金融庁・東証が主導する「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」でコーポレートガバナンス・コードの検討が進められているが(今年(2014年)8月以来、既に4回開催)、企業から高い関心を集めているのが「独立取締役」の人数だ。

 コーポレートガバナンス・コードは英国で発祥したものだが、英国のコーポレートガバナンス・コードでは、取締役会(取締役会議長を除く)の少なくとも半数(比較的小規模な上場会社の場合、少なくとも2名)は独立取締役(非業務執行取締役)であることを求めている(英国コーポレートガバナンス・コードの仮訳12ページ参照)。また、今年6月には、米カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)など有力機関投資家が共同で、「独立取締役を今後3年間で取締役総数の3分の1以上に引き上げるよう」、日本の上場会社33社に書簡で要求したという。このほか、アジア・コーポレートガバナンス協会(ACGA)は2008年の「日本のコーポレートガバナンス白書」で、「最低3名の独立社外取締役を可及的速やかに指名」するよう求めている。

 もっとも、東証上場企業の中で社外取締役がまだ1人もいない会社が1,000社を超えることを考えると(2014年10月10日のニュース「会社によって異なる社外取締役選定にかけられる時間的余裕」参照)、多くの上場企業にとって、グローバルな要求水準はかなり厳しいものだと言える。こうした中、経済同友会は10月20日に「コーポレートガバナンス・コードに関する意見書」を公表している。経済同友会は、日本版コーポレートガバナンス・コードの検討が進められていること自体は高く評価しつつ、独立取締役については「最低2名の確保」としている(2ページ参照)。

 この経済同友会の意見書に先立ち、10月6日には日本取締役協会が「コーポレートガバナンス・コード(日本取締役協会案)」を金融庁に提出しているが、同協会は経済同友会案を上回る「3名か取締役会の3分の1に相当する数」としている(4ページ参照)。同協会がより高いハードルを提案したのは、グローバルな機関投資家の要求水準を意識してのことだろう。

 逆に言うと、経済同友会の「最低2名」という案は、日本企業の現状に鑑みたものと言える。今年5月に自民党の日本経済再生本部が公表した「日本再生ビジョン」が示したコーポレートガバナンス・コードの制定案では、「取締役である独立役員を少なくとも2名以上確保する」としており(2014年6月4日のニュース「社外取締役は最低2名、持合株式の保有理由開示厳格化も」参照 )、経済同友会の案は自民党案とは一致しているが、投資家の求める水準に達しているかどうかは議論のあるところだろう。

 前出のアジア・コーポレートガバナンス協会(ACGA)は、今年9月に発表した「CG WATCH 2014」で、日本のランキングを前回(2012年)の4位から3位に引き上げている(1位は香港、2位はシンガポール)。その背景には、政府主導のコーポレートガバナンス改革に対する評価とともに、現在検討中のコーポレートガバナンス・コードへの期待感があるものと見られる。自民党や経済界が押す「2名以上」とするのか、あるいはグローバル投資家が要求する「3名 or 取締役の3分の1」とするのか、「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」の結論が注目される。

2014/10/24 「競合他社」による株主名簿の閲覧が容易に

 競合他社が敵対的買収を仕掛けてきた場合、可能な限り避けたいことが株主名簿を見られてしまうという事態だ。競合他社が、その株主名簿をもとに株主から委任状を集めることができ、敵対的買収を進めるのに有利になってしまうからだ。これまでは「競合他社」という理由のみをもって株主名簿の閲覧を拒絶することが可能だったが、今後はできなくなる。会社法の改正(先の通常国会で成立し、平成26年6月27日に公布)により、株主名簿の閲覧を拒絶する理由について見直しが行われたからだ。

 現行会社法では、株主名簿及び新株予約権原簿の閲覧等の請求の拒絶事由の1つとして、「請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき」が挙げられているが(会社法125条3項3号、252条3項3号)、会社法の改正によりこの規定が削除されることになった。

 この改正のきっかけとなったのが、・・・

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2014/10/24 「競合他社」による株主名簿の閲覧が容易に(会員限定)

 競合他社が敵対的買収を仕掛けてきた場合、可能な限り避けたいことが株主名簿を見られてしまうという事態だ。競合他社が、その株主名簿をもとに株主から委任状を集めることができ、敵対的買収を進めるのに有利になってしまうからだ。これまでは「競合他社」という理由のみをもって株主名簿の閲覧を拒絶することが可能だったが、今後はできなくなる。会社法の改正(先の通常国会で成立し、平成26年6月27日に公布)により、株主名簿の閲覧を拒絶する理由について見直しが行われたからだ。

 現行会社法では、株主名簿および新株予約権原簿の閲覧等の請求の拒絶事由の1つとして、「請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき」が挙げられているが(会社法125条3項3号、252条3項3号)、会社法の改正によりこの規定が削除されることになった。

 この改正のきっかけとなったのが、平成20年の裁判だ。この裁判は、不動産管理などを行う「日本ハウズイング」に対する買収提案を行った不動産業の「原弘産」が、買収を実現するための委任状勧誘を株主に行う準備として、同社に株主名簿の閲覧及び謄写の請求を行った事案。東京地裁では、「競業株主であること」を理由に原弘産の申立てを却下したものの、東京高裁は、「競争関係にあるとの理由のみで閲覧等請求の拒絶を認める合理的な理由はない」などとして、原弘産の閲覧謄写請求を認める決定を下している(東京高裁平成20年6月12日決定)。会社法改正は、この東京高裁の判断を受けて行われたもの。

 改正会社法は、平成27年4月または5月の施行が予定されており、施行後は「競争関係」にあるとの理由のみで株主名簿等の閲覧等の請求を拒絶することはできなくなる。しかも、この改正には経過措置が設けられていない。つまり、敵対的買収などを巡り、現在紛争中の事案も会社法施行後には閲覧等請求が可能になってしまうので要注意だ。今後は、紛争中であるかどうかを問わず、議決権確保のための委任状勧誘を目的として株主名簿等の閲覧等請求が増加することも予想される。

 なお、現行会社法に規定される他の拒絶理由である「当該請求を行う株主又は債権者がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき」および「請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき」(会社法125条3項1・2号、252条3項1・2号)の改正は行われていない。つまり、従来どおり「拒絶理由」であり続けるということだ。

2014/10/23 (新用語・難解用語)プロクシープール・ファンド

 複数の機関投資家から「議決家行使の権利を受託」するファンドのこと(プロクシーとは「代理」を意味する)。英国で発達している。また、同国では、機関投資家の意見を集約して企業との対話を代行する「エンゲージメント・プロバイダー」も数多く存在している。

 こうした専門業者が発達した背景にあるのが、スチュワードシップ・コードだ。英国スチュワードシップ・コードの第5原則では、「機関投資家は、適切な場合には、他の投資家と協調して行動すべき」と、積極的な表現で機関投資家の協力体制を求めている。

 同様の規定は、今年2月に策定された日本版スチュワードシップ・コードにもある。日本版スチュワードシップ・コードの第7原則では、「当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべき」とし、さらに同原則の指針7-2では「必要な体制の整備を行う」ことを機関投資家に求めている。さらに指針7-3においては「他の投資家との意見交換を行うことやそのための場を設けることも有益」としている。

 この第7原則を具現化する動きは既に始まっている。それが、・・・

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