複数の機関投資家から「議決家行使の権利を受託」するファンドのこと(プロクシーとは「代理」を意味する)。英国で発達している。また、同国では、機関投資家の意見を集約して企業との対話を代行する「エンゲージメント・プロバイダー」も数多く存在している。
こうした専門業者が発達した背景にあるのが、スチュワードシップ・コードだ。英国スチュワードシップ・コードの第5原則では、「機関投資家は、適切な場合には、他の投資家と協調して行動すべき」と、積極的な表現で機関投資家の協力体制を求めている。
同様の規定は、今年2月に策定された日本版スチュワードシップ・コードにもある。日本版スチュワードシップ・コードの第7原則では、「当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべき」とし、さらに同原則の指針7-2では「必要な体制の整備を行う」ことを機関投資家に求めている。さらに指針7-3においては「他の投資家との意見交換を行うことやそのための場を設けることも有益」としている。
この第7原則を具現化する動きは既に始まっている。それが、経産省が立ち上げ、今年(2014年)夏前から活動を開始している「投資家フォーラム作業部会」だ(経済産業省がその存在をウェブサイトで明らかにしたのは2014年9月20日である)。同部会は、機関投資家などが企業と対話する「実力」を高めるために、知識や経験の共有、忌憚のない議論、情報発信などを行うプラットフォームとしての「投資家フォーラム」のあり方を議論する。同部会には、フィデリティ投信、ブラックロックジャパン、JPモルガン・アセットマネジメント、アムンディジャパンなどが参加しており、投資先企業と積極的に対話するための指針を共同で作成するという。
もっとも、経産省は、投資家フォーラムの参加者について、「機関投資家である運用会社などではなく、あくまで個人」としている。運用会社は受託資金の獲得や投資パフォーマンスを競う立場にあり、必ずしも協調できる関係ではないことに配慮したものとみられる。ただ、機関投資家としての名前を出せなければ、企業に対する発言力は期待できない。経産省のプロジェクトとしたのは、個人参加の同フォーラムに権威を持たるという意味もあるのだろう。
スチュワードシップ・コードに類するものが制定されていない米国でも、アクティビスト・ファンドが積極的に株主提案を実施しており、提案内容によっては年金基金などが協調することで、企業に対して大きな影響力を行使することが可能となっている。経産省主導による投資家フォーラムが、今後、日本の機関投資家から英米機関投資家並みの先鋭的な取り組みを引き出す端緒となるか、注目される。
