2014/10/23 (新用語・難解用語)プロクシープール・ファンド(会員限定)

 複数の機関投資家から「議決家行使の権利を受託」するファンドのこと(プロクシーとは「代理」を意味する)。英国で発達している。また、同国では、機関投資家の意見を集約して企業との対話を代行する「エンゲージメント・プロバイダー」も数多く存在している。

 こうした専門業者が発達した背景にあるのが、スチュワードシップ・コードだ。英国スチュワードシップ・コードの第5原則では、「機関投資家は、適切な場合には、他の投資家と協調して行動すべき」と、積極的な表現で機関投資家の協力体制を求めている。

 同様の規定は、今年2月に策定された日本版スチュワードシップ・コードにもある。日本版スチュワードシップ・コードの第7原則では、「当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべき」とし、さらに同原則の指針7-2では「必要な体制の整備を行う」ことを機関投資家に求めている。さらに指針7-3においては「他の投資家との意見交換を行うことやそのための場を設けることも有益」としている。

 この第7原則を具現化する動きは既に始まっている。それが、経産省が立ち上げ、今年(2014年)夏前から活動を開始している「投資家フォーラム作業部会」だ(経済産業省がその存在をウェブサイトで明らかにしたのは2014年9月20日である)。同部会は、機関投資家などが企業と対話する「実力」を高めるために、知識や経験の共有、忌憚のない議論、情報発信などを行うプラットフォームとしての「投資家フォーラム」のあり方を議論する。同部会には、フィデリティ投信、ブラックロックジャパン、JPモルガン・アセットマネジメント、アムンディジャパンなどが参加しており、投資先企業と積極的に対話するための指針を共同で作成するという。

 もっとも、経産省は、投資家フォーラムの参加者について、「機関投資家である運用会社などではなく、あくまで個人」としている。運用会社は受託資金の獲得や投資パフォーマンスを競う立場にあり、必ずしも協調できる関係ではないことに配慮したものとみられる。ただ、機関投資家としての名前を出せなければ、企業に対する発言力は期待できない。経産省のプロジェクトとしたのは、個人参加の同フォーラムに権威を持たるという意味もあるのだろう。

 スチュワードシップ・コードに類するものが制定されていない米国でも、アクティビスト・ファンドが積極的に株主提案を実施しており、提案内容によっては年金基金などが協調することで、企業に対して大きな影響力を行使することが可能となっている。経産省主導による投資家フォーラムが、今後、日本の機関投資家から英米機関投資家並みの先鋭的な取り組みを引き出す端緒となるか、注目される。

2014/10/22 合弁事業のスキーム決定は年末以降に?

 合弁事業には、合弁のパートナーと投資額を分担することで投資リスクを軽減できるほか、パートナーの人的リソースや販売網を活用できるなど様々なメリットがある。不確定要素が多い新規事業を立ち上げる場合などに適したスキームと言えるだろう。

 合弁事業を担う合弁会社への出資比率は経営への関与度合によって決定することになるが、・・・

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2014/10/22 合弁事業のスキーム決定は年末以降に?(会員限定)

 合弁事業には、合弁のパートナーと投資額を分担することで投資リスクを軽減できるほか、パートナーの人的リソースや販売網を活用できるなど様々なメリットがある。不確定要素が多い新規事業を立ち上げる場合などに適したスキームと言えるだろう。

 合弁事業を担う合弁会社への出資比率は経営への関与度合によって決定することになるが、出資比率を確定するのはしばらく様子を見た方がよさそうだ。

 というのも、12月中旬頃に内容が固まる平成27年度税制改正では、新聞報道等でも頻繁に取り上げられている法人税率引下げの財源として、受取配当に対する課税が強化されることが確実となっているため(税制改正の内容は、2014年8月27日のニュース「税制改正きっかけに子会社や投資先の持株比率引上げも」参照)。

 特に注意しなければならないのが、合弁会社にありがちな「51:49」の出資比率のパターンである。現行の法人税法では、出資比率が51%でも49%でも、同じく「受取配当額-配当を受ける株式を取得するために要した負債利子額」が益金不算入*となるが、2014年8月27日のニュースでもお伝えしたとおり、現在政府内で進行している平成27年度税制改正の議論では、持分比率が「50%以上」か「50%未満」かで、益金不算入となる金額を変えることが検討されている。つまり、51:49の合弁会社では、49%の出資者の税負担が現在より重くなる可能性があるということだ。

* 法人税の課税対象である「課税所得」を構成しないということ

 50%ではなく「33%」とする案も浮上しているようだが、上場会社役員ガバナンスフォーラムの取材によると、今のところ50%の線が濃厚。合弁事業を検討する会社は、年末まで出資比率の決定は待った方がよいだろう。もし税制改正が「50%」で決着すれば、出資比率が51:49の合弁会社が世の中から減ることになるかもしれない。

2014/10/21 女性活躍推進、「社外取締役」が抜け道に?

 昨日(2014年10月20日)、女性の活躍推進を進める安倍内閣で2人の女性大臣が同時に辞任した。後任大臣のうちの1人を女性としたのは、政府方針の後退と見られることを避けたいとの思惑もあったと思われる。

 女性政治家と言えば、欧州のノルウェーでは昨年9月の総選挙で史上2人目の女性首相が誕生(17年ぶり)しているように、同国は女性の活躍推進先進国である。既に2004年には、国営企業における取締役会における性別の構成比を、男女とも40%以上に保つことを義務付ける制度が会社法改正により導入され、2006年からはその適用対象を民間企業(上場企業のみ)にも拡大している。

 ただ、全米経済研究所(NBER)の調査によると、上記会社法改正により、確かにノルウェーの上場企業の取締役会における女性比率は40.7%まで上昇したものの、女性CEOの比率はわずか6.4%しかなく、その一方で、女性社外取締役の割合が増加しているという。つまり、40.7%という女性比率は、女性社外取締役によって支えられているというわけだ。このため、女性活躍推進の究極的な目標の1つである男女間の賃金格差の是正は実現していない。

 また、イギリスでは、・・・

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2014/10/21 女性活躍推進、「社外取締役」が抜け道に?(会員限定)

 昨日(2014年10月20日)、女性の活躍推進を進める安倍内閣で2人の女性大臣が同時に辞任した。後任大臣のうちの1人を女性としたのは、政府方針の後退と見られることを避けたいとの思惑もあったと思われる。

 女性政治家と言えば、欧州のノルウェーでは昨年9月の総選挙で史上2人目の女性首相が誕生(17年ぶり)しているように、同国は女性の活躍推進先進国である。既に2004年には、国営企業における取締役会における性別の構成比を、男女とも40%以上に保つことを義務付ける制度が会社法改正により導入され、2006年からはその適用対象を民間企業(上場企業のみ)にも拡大している。

 ただ、全米経済研究所(NBER)の調査によると、上記会社法改正により、確かにノルウェーの上場企業の取締役会における女性比率は40.7%まで上昇したものの、女性CEOの比率はわずか6.4%しかなく、その一方で、女性社外取締役の割合が増加しているという。つまり、40.7%という女性比率は、女性社外取締役によって支えられているというわけだ。このため、女性活躍推進の究極的な目標の1つである男女間の賃金格差の是正は実現していない。

 また、イギリスでは、FTSE100*企業が女性取締役の比率を2015年までに25%とする自主的な取り組みが進められているが、表面的に見ればこの比率は今年(2014年)6月時点で22%まで上昇したものの、やはり常勤の経営幹部としての女性登用はまだまだ限定的なものにとどまっている模様。

* ロンドン証券取引所の時価総額上位100社

 日本企業の間でも、ダイバーシティ推進や“女性活躍法”導入の流れを受け(2014年9月29日のニュース「“女性活躍法”で公表が求められる項目は?」参照)、女性役員を増やそうという動きが広がりつつあるが、ノルウェーやイギリスと同じことが起こる可能性は否定できない。両国の例を踏まえ見えて来るのは、女性取締役比率の目標数値を設定することは、女性活躍を推進するための“特効薬”ではないということだ。

 元々、女性の活躍推進に向けた政府の目標数値設定に対し、企業側からは違和感を唱える声が少なくない。結局、常勤の女性経営幹部の増加は、各企業が、女性に将来の幹部候補としての経験を積ませるキャリアパスや長期的な育成プログラムを用意することによってようやく実現されるものであると言える。そのことが改めて認識される日がいずれ来る可能性は高そうだ。

2014/10/20 2016年株主総会では「5%以上のROE」「社外取締役の複数選任」が最低条件に

 議決権行使助言の世界最大手ISSはこのほど(2014年10月16日)、2015年2月から施行される2015年版の各国のポリシー改定に関するオープンコメントを募集することを発表した。ISSはポリシー改定にあたって、各国の機関投資家や発行体(企業)、規制当局など幅広い市場関係者の意見を反映するため、毎年オープンコメントの募集を実施している。最終的な2015年版ポリシーは、11月7日を目処に発表されるという。

 日本向けについては、次の3つの大きな変更が予定されている。

1.資本生産性(ROE)基準の導入
 過去5年間でROE(自己資本利益率)が5%に1度も達していない企業の経営トップの選任議案に対して反対する。ISSは、5%のROEを「投資家が許容する最低限の資本生産性の水準」とする一方、企業が短期的な経営姿勢に走らず、「中長期的な成長に必要な投資を積極的に行える」ように、測定期間を5年にしたと説明している。2014年時点で約22%の日本企業がこの基準を満たしておらず、経営トップの選任議案反対の対象となることを、ISSは示唆している。

2.取締役会構成基準の厳格化
 1年の猶予期間を置いて(すなわち2016年版ポリシーに反映)、取締役会に複数名の社外取締役がいない企業の経営トップの選任議案に反対する。ISSは2013年から社外取締役が1人もいない企業の経営トップの選任議案に反対しているが、すでに過半数の日本企業で社外取締役が導入されている状況を受けて、さらにハードルを上げることになる。ISSによると、現時点で複数の社外取締役を選任していない企業は、・・・

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2014/10/20 2016年株主総会では「5%以上のROE」「社外取締役の複数選任」が最低条件に(会員限定)

 議決権行使助言の世界最大手ISSはこのほど(2014年10月16日)、2015年2月から施行される2015年版の各国のポリシー改定に関するオープンコメントを募集することを発表した。ISSはポリシー改定にあたって、各国の機関投資家や発行体(企業)、規制当局など幅広い市場関係者の意見を反映するため、毎年オープンコメントの募集を実施している。最終的な2015年版ポリシーは、11月7日を目処に発表されるという。

 日本向けについては、次の3つの大きな変更が予定されている。

1.資本生産性(ROE)基準の導入
 過去5年間でROE(自己資本利益率)が5%に1度も達していない企業の経営トップの選任議案に対して反対する。ISSは、5%のROEを「投資家が許容する最低限の資本生産性の水準」とする一方、企業が短期的な経営姿勢に走らず、「中長期的な成長に必要な投資を積極的に行える」ように、測定期間を5年にしたと説明している。2014年時点で約22%の日本企業がこの基準を満たしておらず、経営トップの選任議案反対の対象となることを、ISSは示唆している。

2.取締役会構成基準の厳格化
 1年の猶予期間を置いて(すなわち2016年版ポリシーに反映)、取締役会に複数名の社外取締役がいない企業の経営トップの選任議案に反対する。ISSは2013年から社外取締役が1人もいない企業の経営トップの選任議案に反対しているが、すでに過半数の日本企業で社外取締役が導入されている状況を受けて、さらにハードルを上げることになる。ISSによると、現時点で複数の社外取締役を選任していない企業は、日経225構成銘柄のうち28%を占めている。なお、社外取締役の独立性を問うかどうかは今後の検討によって決定する模様。具体的には、独立性は問わず社外取締役を2名選任することを求めるか、あるいは、社外取締役2名のうち最低1名については独立性を問うかのいずれかの基準の導入が考えられる。

3.監査等委員会設置会社への対応
 今年6月の会社法改正で、「監査等委員会設置会社」制度が導入されたことに伴い、それへの移行を規定する定款変更に賛成する。同制度が海外のコーポレートガバナンス体制と類似していることから、監査役設置会社とは異なり、海外投資家の混乱を避けることができるためという。ただし、監査等委員である社外取締役が独立性基準を満たさない場合、その候補者自身の選任議案には反対する。なお監査等委員でない社外取締役に関しては、独立性を問わないとしている。

 機関投資家による議決権行使において、ISSの助言ポリシーは“ミニマム・スタンダード”の意味合いを持っている。投資信託・顧問などアセットマネージャーは、年金基金などのアセットオーナーに対し「受託者責任」そして「スチュワードシップ責任」を果たしていることを示すため、投資先企業に対して厳しいスタンスで議決権行使に臨む必要がある。広く議決権行使の判断をサポートしているISSと同じ水準では差別化ができず、さらに緩やかでは責任を履行していないとみなされかねない。2015年の株主総会シーズンにおいては、5%以上のROEおよび複数の社外取締役は、経営トップの選任議案に信任を得るために求められる最低限の条件となるだろう。

2014/10/17 11月中に表示管理体制の整備を

 昨年(2013年)秋に発生した食品偽装表示問題をきっかけにした景品表示法の改正により、企業に対して「表示管理体制」の整備が義務付けられたが、その期限は今年11月末までとなっているので、担当取締役は注意したい。

 これは、改正景品表示法の施行日が「2014年12月1日」とされているため。「管理体制の整備」も法律事項の1つである以上、12月1日時点で「これが弊社の表示管理体制です」と言える必要があるというわけだ(なお、改正景品表示法には経過措置が設けられていない)。

 改正景品表示法は食品を扱う業界だけを対象としているわけではない。メディアへの広告やパンフレット、店内のPOP広告*、製品の性能を示したスペック表など、消費者に向けて表示を行うあらゆる業種が適用対象となる。表示管理体制が構築されていない場合には、行政指導・勧告、さらに勧告に従わなければ企業名公表といった制裁がある。また、会社法では、「会社の業務の適正を確保するために必要なもの」として内部統制システムの構築・運用を求めていることから(会社法362条4項6号)、表示管理体制の構築は、内部統制システムの1つとして整備する必要がある。仮に十分な体制が構築されていなかった場合には、内部統制構築義務違反として、取締役は善管注意義務違反を問われる可能性もある。また、表示管理体制は、会社法上の内部統制システムの重要な柱である「リスク管理体制」の1つとして、事業報告書での開示が求められる。

* “Point of purchase advertising”の略で(直訳すれば「購買箇所広告」「購買時点広告」で、ポップ広告、ピーオーピー広告と呼ばれることが多い)、書店などでよく見られる紙に商品の特徴やキャッチコピー、イラストなどを手描きした販促のための広告を指す。単純な広告ながらも、店の雰囲気に影響し、売上を大きく左右することもある。

 では、「表示管理体制の整備」とは一体何をすればよいのだろうか?この点について・・・

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2014/10/17 11月中に表示管理体制の整備を(会員限定)

 昨年(2013年)秋に発生した食品偽装表示問題をきっかけにした景品表示法の改正により、企業に対して「表示管理体制」の整備が義務付けられたが、その期限は今年11月末までとなっているので、担当取締役は注意したい。

 これは、改正景品表示法の施行日が「2014年12月1日」とされているため。「管理体制の整備」も法律事項の1つである以上、12月1日時点で「これが弊社の表示管理体制です」と言える必要があるというわけだ(なお、改正景品表示法には経過措置が設けられていない)。

 改正景品表示法は食品を扱う業界だけを対象としているわけではない。メディアへの広告やパンフレット、店内のPOP広告*、製品の性能を示したスペック表など、消費者に向けて表示を行うあらゆる業種が適用対象となる。表示管理体制が構築されていない場合には、行政指導・勧告、さらに勧告に従わなければ企業名公表といった制裁がある。また、会社法では、「会社の業務の適正を確保するために必要なもの」として内部統制システムの構築・運用を求めていることから(会社法362条4項6号)、表示管理体制の構築は、内部統制システムの1つとして整備する必要がある。仮に十分な体制が構築されていなかった場合には、内部統制構築義務違反として、取締役は善管注意義務違反を問われる可能性もある。また、表示管理体制は、会社法上の内部統制システムの重要な柱である「リスク管理体制」の1つとして、事業報告書での開示が求められる。

* “Point of purchase advertising”の略で(直訳すれば「購買箇所広告」「購買時点広告」で、ポップ広告、ピーオーピー広告と呼ばれることが多い)、書店などでよく見られる紙に商品の特徴やキャッチコピー、イラストなどを手描きした販促のための広告を指す。単純な広告ながらも、店の雰囲気に影響し、売上を大きく左右することもある。

 では、「表示管理体制の整備」とは一体何をすればよいのだろうか?この点について消費者庁は「表示管理体制に関する指針」を近く正式決定し、公表する。2014年8月8日から9月16日までパブリックコメントに付されていた同指針案では、表示の根拠となる情報を事後的に確認できるようにするため、「表示を管理する担当者又は担当部門」を定めることを企業に求めている。具体的には、表示管理担当者に対し、(1)監視・監督権限を有すること、(2)景表法に関する一定の知識の習得に努めること(例えば法律事務所が開催するセミナーの受講)、(3)社内における周知方法の確立(例えば社内メールでの定期的な告知、社内研修の開催など)―――の3点である。

 もっとも、同指針では、「従来から景品表示法を遵守するために必要な措置を講じている事業者にとっては、本指針によって、新たに、特段の措置を講じることが求められるものではない」としており(「第2 基本的な考え方」の「2 事業者が講ずべき措置の規模や業態等による相違」参照)、かねてから表示管理体制が整っている企業においては、総務担当者等に「表示管理担当者」という肩書きを付与すれば済むケースもあるかもしれない。とはいえ、今回の景表法改正を機に、改めて自社の表示管理体制を見直しておくことは、今後不正を防止するためにも極めて有効と言えよう。

2014/10/16 (新用語・難解用語)グリーンボンド

 地球温暖化は企業にとっても真剣に取り組まなければならない重い課題となっているが、温室効果ガスの排出を削減する技術の開発や代替エネルギーの導入といった気候変動対策を目的とする事業活動に資金の使途を限定した債券が「グリーンボンド」である。

 2008年に世界銀行が初めて発行して以来、欧州投資銀行やアジア開発銀行、アフリカ開発銀行など公的な国際機関により起債されてきたが、昨年(2013年)後半あたりからは事業会社が発行体となるケースが目に付く。例えば昨年11月にはフランスの電力公社(EDF)がユーロ建てとしては初のグリーンボンドを起債したほか、今年に入ってからはトヨタの米国子会社トヨタモータークレジットや英国のユニリーバなどが起債を行っている。日本では10月に日本政策投資銀行が日本の金融機関として初めてグリーンボンドを発行した(リリースはこちら)。2014年には、発行額の半分は事業会社が占めると予想されている。

 これに伴い、グリーンボンド市場は急成長しており、2013年には全世界で約110億ドルだった発行額は2014年においては既に第1四半期で90億ドルに到達、年間では400億ドルに到達する見込み。このようにグリーンボンド市場が急拡大している背景には、先進国の財政状態悪化と開発途上国における資金ニーズの拡大により、ODA(政府開発援助)等だけでは気候変動対策コストを賄い切れず、金融市場を通じた民間からの資金調達が必要になっているということがある。また、グリーンボンドを発行することは事業会社にとってもメリットがあるため、当該市場は益々拡大していくだろう。

 企業がグリーンボンドを発行するメリットとして挙げられるのが、・・・

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