2014/05/12 経営トップによる取締役会議長兼任、米国の事情

 日本企業の取締役会では社長などの経営トップが議長を務めるのが通常だが、この場合、それ以外の役員は議長に対して意見しにくく、どうしても議長中心に議事が進みがちとの指摘もある。

 一方、米国に目を向けると、近年、取締役会の中立性を高めるため、取締役会議長としてCEO以外の役員を据えるよう株主が提案するケースが増加している。

 例えば、・・・

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2014/05/12 経営トップによる取締役会議長兼任、米国の事情(会員限定)

 日本企業の取締役会では社長などの経営トップが議長を務めるのが通常だが、この場合、それ以外の役員は議長に対して意見しにくく、どうしても議長中心に議事が進みがちとの指摘もある。

 一方、米国に目を向けると、近年、取締役会の中立性を高めるため、取締役会議長としてCEO以外の役員を据えるよう株主が提案するケースが増加している。

 例えば、大手銀行のJPモルガン・チェースが昨年開催した定時株主総会では、同社のCEOであるジェームズ・ダイモン氏を取締役会議長から外すよう求める株主提案がなされている。この株主提案は、ダイモン氏のこれまでの経営手腕が評価された結果否決されることとなったが、その代わりに、社外取締役であった元エクソンモービル会長兼CEOのリー・レイモンド氏を新たに「筆頭独立取締役(=リード・インディペンデント・ディレクター。様々な権限が付与され、取締役会運営を円滑に進める役割を担う)」に任命し、ダイモン氏の独走を許さないよう、「取締役会の招集」「ダイモン氏に対する年間業績評価の指揮」「取締役会によるダイモン氏の後継者選定の指揮」といった権限を付与している。

 こうした取り組みについて、機関投資家であるCalPERS(カリフォルニア州公務員退職年金基金)は、「CEOと取締役会議長は分離することが望ましい」としつつも、同行におけるレイモンド氏の権限拡大は有効と判断、来年の年次株主総会ではCEOの取締役会議長の兼務に反対しない可能性があるとした。

 また、ゴールドマン・サックスでは、同様に筆頭取締役の権限強化を行うことにより、機関投資家との間で、CEOと取締役会議長の職務分離の株主提案を取り下げる旨合意するなど、CEOの実績次第では取締役会議長との兼務を容認する傾向が見られる。

 このように、米国ではCEOの取締役会議長の兼務は基本的には好ましくないとされ、株主に兼務を容認してもらうには、一定の条件(筆頭取締役の権限強化、CEOの実績など)をクリアする必要がある。

 伝統的な監査役会設置会社が多数を占める日本の上場企業では、取締役会は重要な業務執行の決定を行い、経営監視は主に監査役(会)が担うことを期待されている。このため、取締役会の経営監視機能と業務執行機能は完全には分離していない。しかし、日本の上場企業でも、委員会設置会社(会社法改正により指名委員会等設置会社に名称変更)を中心に、経営執行の最高責任者と、取締役会の議長とを分離しようという動きは一部にあり、なかには社外取締役が議長を務める企業もある。今後、外国人機関投資家の持株比率投資が高く、業績が芳しくないような企業では、経営トップの取締役会議長兼任が問題視される可能性も否定はできないだろう。

2014/05/10 【失敗学第2回】リソー教育社の事例(会員限定)

概要

 株式会社リソー教育およびその子会社である株式会社名門会、株式会社伸芽会の3社で合計 83億8百万円の売上の不正計上が発覚し、過去の決算の訂正が必要となった。

経緯

 株式会社リソー教育(東証市場第一部)は2014年2月10日、第三者委員会の調査報告書を受領・公表した。これにより、同社の過年度における会計処理の一部に不正があることが判明した。経緯を時系列で示すと、次のとおり。
<2013年>
11月下旬:証券取引等監視委員会の任意調査を受け、不正な会計処理が行われた疑いが明らかとなる。
12月16日:弁護士および公認会計士による第三者委員会が設置される。
<2014年>
1月6日:「平成26年2月期第3四半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出のお知らせ」の適時開示
1月9日:「平成26年2月期第3四半期報告書の提出期限延長申請に係る承認のお知らせ」の適時開示
2月10日:第三者委員会の調査報告書が公表される。
2月14日:「代表取締役、役付役員及び子会社代表取締役の異動に関するお知らせ」の適時開示
2月14日:「第三者委員会の調査報告に基づく再発防止策について 」の適時開示
2月14日:「内部統制報告書の訂正報告書」を関東財務局に提出
2月14日:過年度に係る有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び過年度に係る決算短信等(訂正版)の公表
3月4日:「再発防止委員会の設置等に関するお知らせ 」の適時開示
3月7日:証券取引等監視委員会より、内閣総理大臣および金融庁長官に対して課徴金(4億1,477万円)納付命令の勧告
3月11日:東京証券取引所より「特設注意市場銘柄」に指定され、上場契約違約金1,000万円の徴求を受ける。
3月25日:代表取締役より、平成21年2月期(第24期)から平成25年2月期(第28期)までの分配可能額をもとに決議した配当金相当額計8億7,100百万円(納付済の所得税相当額を除いた金額)の返還の申出がある(平成27年2月期(第30期)において特別利益に計上)。
4月18日:コンプライアンス重視を経営の柱とするため、社内にTOMAS再建委員会を設置し、個別指導のスクールTOMASと名門会の受講を辞めた利用者(退会者)へ授業未実施分の返金方針、スケジュールを明確化するリリースを公表
4月21日:金融庁より課徴金4億1,477万円の納付命令を受ける。

内容・原因・改善策

 第三者委員会の調査報告書によると次のとおり。

内容 現場の管理者が中心となって、それぞれの担当部署の売上目標を達成するため、部下の社員に指示して、欠席によるコマ数消化を偽装することによる売上の前倒し計上(個別授業の場合、消化したコマ数により売上を計上するところ、キャンセルができない当日欠席によりコマ数が消化されたかのような内部資料を偽造することで売上を不正に計上していた)や、架空の受講契約書を偽造することによる売上の架空計上を行っていた。
原因 ・創業者である会長が「売上重視」の経営方針を有していた。
・リソー教育及びそのグループ会社には人事部がなく、人事は会長を頂点とする幹部によって行われていた。その人事評価は3か月ごとの売上等の目標達成度合と直結しており、3か月ごとに昇給・昇格と降給・降格が行われていた。こうした目標達成度合いに直結した人事評価と頻繁な人事異動は、社員に目標達成への過剰なプレッシャーをかけることとなり、売上目標を達成するためには売上の不適正計上もやむを得ないとの社内風土が醸成された。
・「売上重視の経営方針」の影響を受け、管理部門の立場が弱いものとなっていた。
・会長の存在感が強すぎ、各取締役による健全な企業統治が行われなかった。その結果、会長の意向や指示を最大限に尊重し、死守しようとする風潮が生まれた。
・監査役が問題意識を持って積極的に各教室を往査(監査現場に出向き監査すること)していなかった。
・内部監査の担当者は1名のみであり、かつ、人事業務などを掛け持ちしており、有名無実の状態であった。
・過去に監査法人から売上の不適正計上問題を指摘されたことを受け、再発防止策として導入した社内システム(契約・時間割管理システム)が十分ではなかった。
改善策案 ・売上を過度に重視する経営方針の見直し
・会長に十分に比肩し得る見識を持った社外取締役を受け容れ、取締役会を実質的に機能させ、その監視機能を強化する
・各取締役には担当部門を責任を持って管理監督させるとともに、各部門が担当取締役と直結することで、社内的に十分な発言ができるようにすることを図る
・管理部門を強化し、財務・会計に明るい担当取締役を置く
・内部監査の充実(監査経験を有する内部監査室長を置き、その下に複数の監査担当者を配置)
・監査役が、監査法人や内部監査室と緊密な連携をとるとともに、適宜適切に子会社や教室の往査を実施する
・人事部制度の導入、目標達成の度合い以外の基準も含めた網羅的な人事評価基準の制定、3か月ごとの人事異動を直ちに廃止
・不適正計上を誘引する商品の見直し
・適切な会計システムの構築
・全役員・全社員に対する不正防止教育の徹底
・社内処分および懲戒制度の適切な運用
・内部通報制度の構築・積極的運用
・外部委員会による再発防止策の進捗状況の検証 等

第三者委員会の調査報告に基づく再発防止策

     会社は第三者委員会の調査報告に基づいて、下記の再発防止策を取りまとめた。

  • 組織改革によるコンプライアンス遵守体制の整備
  • (1)再発防止委員会の新設
    (2)取締役会・監査役会・内部監査室の機能強化
    (3)管理部門の強化
    (4)子会社に対する経営管理機能強化

  • 社内制度の改革
  • (1)人事制度の改革
    (2)内部通報制度の導入
    (3)全役員・全社員に対する不正防止のための継続的な研修の実施

  • 業務についての改革
  • 適切な会計システムの構築
<この失敗から学ぶべきこと>

 今回のケースでは、

  • 売上を過度に重視する経営方針
  • 売上と直結した人事評価制度と頻繁な人事異動
  • 不正を防止できないシステムの欠陥の放置
  • 内部監査が機能しなかったこと

が不正な会計処理をもたらした主因と考えられます。

 その中でも不正の直接的な引き金となったと言えるのは、「売上と直結した人事評価制度と頻繁な人事異動」です。

 リソー教育社およびそのグループ会社には人事部がなかったといいます。新興市場だけでなく、本則市場(一部・二部)の上場会社でも人事部のないところはあります。従業員数が数十人の規模であればそれもやむを得ませんが、一定人数以上になれば人事機能を組織的に展開する必要が生じます。また、人事のすべてを経営トップに一任すれば、情実人事が横行することになりかねません。

 人事部を持たない上場会社では、取締役および監査役は、本当に人事部を設置する必要性がないのか、経営トップが人事権を手放さないことによる弊害が発生していないかどうかをチェックする必要があります。

 売上目標と人事評価制度が直結している場合、不適正な売上計上がなされるリスクとそれに対する備え(内部統制)が十分かどうか再確認しておくべきです。また、そもそも売上目標と人事評価制度が直結していることの是非についても検討しておきたいところです。

 なお、会社が2月14日に発表した再発防止策では、第三者委員会の調査報告書において提案されていた「人事部制度の導入」について一切触れられていませんでした。第三者委員会の調査報告書での提案事項を採用しない場合は、採用しない理由についてコメントを記載するのが望ましいと言えるでしょう。

2014/05/09 社外取締役導入の意義は特別取締役制度にあり!?

 会社法改正を控え、社外取締役導入の検討に着手する会社が増えている。現時点で社外取締役制度を導入していない会社の多くは、もともと社外取締役制度の導入に前向きなではないだけに、「法律が変わるから仕方なく導入する」という意識のところも少なくない。

 そのような会社が、社外取締役制度導入にあえて積極的な意義を見出そうとするのであれば、「特別取締役」制度に着目するのも一案と言える。・・・

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2014/05/09 社外取締役導入の意義は特別取締役制度にあり!?(会員限定)

 会社法改正を控え、社外取締役導入の検討に着手する会社が増えている。現時点で社外取締役制度を導入していない会社の多くは、もともと社外取締役制度の導入に前向きなではないだけに、「法律が変わるから仕方なく導入する」という意識のところも少なくない。

 そのような会社が、社外取締役制度導入にあえて積極的な意義を見出そうとするのであれば、「特別取締役」制度に着目するのも一案と言える。

 特別取締役制度とは、あらかじめ選定しておいた少数の取締役だけで構成される取締役会で、取締役全員を集めることなく「重要な財産の処分および譲受け」と「多額の借財」について決議できるという会社法上の制度をいう。

 特別取締役制度を導入するためには、
a 取締役の数が6人以上であること
b 取締役のうち1人以上が社外取締役であること

の両方の要件を満たしている必要がある(会社法373条)。つまり、社外取締役が1人もいない会社では、特別取締役制度を導入できないというわけだ。

 上記aとbの要件を満たす会社であれば、3人以上の特別取締役を選定し、そのうち過半数が特別取締役会に出席、さらにそのうちの過半数が賛成すれば、特別取締役会だけで、重要な財産の処分等を決議することができる。制度の導入に際して、定款変更は不要である。

 取締役の数が多い会社の場合、決議が必要な都度取締役会を開催するのは大変なため、少数の取締役だけで迅速な意思決定が可能になる特別取締役制度導入メリットは大きい。

 また、特別取締役のメンバーに「社外取締役」を含めることまでは求められていない点も要チェックだ。意思決定の迅速性を重視するのであれば、「社内」取締役だけを特別取締役に選定するのが王道と言える。

 特別取締役制度を採用している主な上場会社をEDINET等で検索すると、以下のとおり。

・株式会社アコーディア・ゴルフ
・朝日放送株式会社
・京王電鉄株式会社
・株式会社テレビ朝日
・富士フイルムホールディングス株式会社
・株式会社マツモトキヨシホールディングス
・三井不動産株式会社
・三菱地所株式会社
・三菱商事株式会社

 著名企業が並ぶが、数としては多くない。「緊急性を有する入札案件等への迅速な意思決定」のニーズがある会社では、「社外取締役」制度と「特別取締役」制度の同時採用を検討する価値がありそうだ。

2014/05/08 (新用語・難解用語)ゼロパーセント連結(会員限定)

 持分比率が“ゼロ”であるにもかかわらず、連結子会社にすること。ある会社を連結子会社とするかどうかは、2つのステップで考える必要がある。第1ステップとして「子会社かどうか」の判定を行う。そして、子会社と判断されれば、第2ステップとして「その子会社を連結すべきかどうか」の判定を行うこととなる。

 まず第1ステップの「子会社かどうか」については、その会社を「支配」しているかどうかで判定する(支配力基準)。具体的には次のaからcのいずれか1つに該当すれば「子会社」となる。

a 議決権の過半数を有している場合
b 議決権の40%以上50%以下を有しており、かつ、次のア〜オの要件に1つでも該当する場合 ア 自社の議決権と「自社の意思に沿う者」が有している議決権と合わせると、その会社の議決権の過半数を占める場合
イ 取締役会の過半数を、自社の意思に沿う者が占めている場合
ウ 自社とその会社との間に、「自社が重要な財務、営業、事業の方針の決定を支配する」旨の契約等が存在する場合
エ 自社および自社と緊密な関係にある者が、その会社の資金調達額(資本金+借入金)の総額の半分超について融資を行っている場合
オ その会社の意思決定機関を支配していることが推測される事実がある場合
c 自社が有する議決権と「自社の意思に沿う者」が有している議決権と合わせると、その会社の議決権の過半数を占めており、かつ、上記bのア以外の要件イ〜オのいずれかに該当する場合

 ゼロパーセント連結は、上表のcの場合に起こり得る。要するに、自社が有する議決権の持分比率が“ゼロ”で、「自社の意思に沿う者」が有している議決権がその会社の議決権の過半数を占めている場合だ。

 もっとも、cにより子会社と判定されたとしても、上述の通り、それを連結するかどうかは別の話。連結されるのは、子会社のうち、「重要性」がある会社に限られる。子会社だが重要性がないため連結しないというケースはよくある。

 この重要性の判定は、「もしその子会社を連結しなければ、当企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する合理的な判断を誤らせる程度かどうか」により行われる。「合理的な判断を誤らせる程度」という部分は数値化しづらいところだが、実務上は日本公認会計士協会の監査・保証実務委員会報告第52号「連結の範囲及び持分法の適用範囲に関する重要性の原則の適用等に係る監査上の取扱い」などを参考にしながら、判断することになる。

 その結果、「重要性がある」ということになれば、持分比率がゼロであるにもかかわらず、連結子会社となってしまうわけだ。もちろん、持分比率がゼロの場合に限らず、例えば5%や10%であっても、同じ問題が生じ得る。ただ、持分がゼロパーセントの場合、自社としては議決権を全く認識していないだけに、子会社に該当するかどうかを判定する際、そもそもその検討対象から漏れてしまうリスクが格段に高い。

 ここで、「連結する必要があるというなら、単に連結すればよいだけでは?」と考えているようでは、認識が甘いと言わざるを得ない。仮に前期以前から連結すべきであったとなると、過年度にさかのぼって有価証券報告書の訂正が必要となる。決算短信も同様だ。過去の連結決算の数字を変更すれば、マスコミ等に「粉飾」と騒がれる可能性もある。加えて、証券取引所から有価証券報告書等の「虚偽記載」と判断されれば、特設注意市場銘柄(上場廃止に至るほど影響が重大とは言えないものの、内部管理体制等を改善する必要性が高いと証券取引所が認めた場合に指定される)に指定される恐れもある。そうなれば、担当役員の更迭の話も浮上しかねない。

 仮に上述した重要性の判定から連結子会社には該当しなかったとしても、少なくとも子会社に該当すれば、有価証券報告書に記載する子会社の数は増えることから、いずれにしろ過年度にさかのぼって有価証券報告書の訂正が必要となる。

 ゼロパーセント連結が俎上にのぼった実例としては、2013年に取締役のリベート疑惑等で問題となったコーナン商事株式会社(東証一部)のケースがある。同社では、役員とその親族が議決権を有する会社である株式会社ハルカムについて、従来より「役員及びその近親者が議決権の過半数を支配している会社等」として、「関連当事者との取引の注記」にて取引がある旨を開示していたが、粉飾決算の発覚を受けて同社が設置した第三者委員会の調査により、株式会社ハルカムは上記cの要件に該当するとして同社(コーナン商事)の子会社にあたることが判明した。これを受け、コーナン商事はハルカム社を子会社と認定することになった(ただし、「当企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する合理的な判断を誤らせない程度に重要性が乏しい」という判断のもと、連結子会社にはしていない)。

 会社が株式を少しでも所有していれば、子会社かどうかの判断プロセスに乗る機会は多々あると思われる。しかし、会社が株式を一切所有していないものの「実質的には支配している」とされる子会社は、把握漏れが生じやすい。担当役員としては、実質支配する会社の候補を網羅的に把握できる体制を整備しておく必要がある。

2014/05/08 (新用語・難解用語)ゼロパーセント連結

 持分比率が“ゼロ”であるにもかかわらず、連結子会社にすること。ある会社を連結子会社とするかどうかは、2つのステップで考える必要がある。第1ステップとして「子会社かどうか」の判定を行う。そして、子会社と判断されれば、第2ステップとして「その子会社を連結すべきかどうか」の判定を行うこととなる。

 まず第1ステップの「子会社かどうか」については、その会社を「支配」しているかどうかで判定する(支配力基準)。具体的には次のaからcのいずれか1つに該当すれば「子会社」となる。

a 議決権の過半数を有している場合
b 議決権の40%以上50%以下を有しており、かつ、次のア〜オの要件に1つでも該当する場合 ア 自社の議決権と「自社の意思に沿う者」が有している議決権と合わせると、その会社の議決権の過半数を占める場合
イ 取締役会の過半数を、自社の意思に沿う者が占めている場合
ウ 自社とその会社との間に、「自社が重要な財務、営業、事業の方針の決定を支配する」旨の契約等が存在する場合
エ 自社および自社と緊密な関係にある者が、その会社の資金調達額(資本金+借入金)の総額の半分超について融資を行っている場合
オ その会社の意思決定機関を支配していることが推測される事実がある場合
c 自社が有する議決権と「自社の意思に沿う者」が有している議決権と合わせると、その会社の議決権の過半数を占めており、かつ、上記bのア以外の要件イ〜オのいずれかに該当する場合

 ゼロパーセント連結は、・・・

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2014/05/07 オフィスの賃借料が資産計上の対象に?

 設備等の購入の代替として、また、ファイナンスの手段(購入金額の借入れが難しい場合の代替)として企業に広く活用されているリースだが、企業経営にも大きな影響を及ぼすのがその会計処理だ。

 現在の日本の会計基準では、リースが設備等の購入の代替(実質的な割賦販売)とみなされる場合は「ファイナンスリース」とされ、リース資産およびリース債務(未経過リース料)をオンバランス(それぞれバランスシートの資産、負債に計上)する。「リースが設備等の購入の代替とみなされる場合」とは、具体的には、「支払いリース料総額の現在価値が、見積もり現金購入価額の90%以上」または「リース期間が耐用年数の75%以上」である場合を指す。

 一方、購入の代替ではなく、物を借りて賃借料を払う本来のリースが「オペレーティングリース」だ。オペレーティングリースでは、毎期の支払いリース料を費用計上する一方、貸借対照表には何も計上しない(=オフバランス)。これにより、固定資産税がかからなくなったり、ROA(Return On Asset = 総資本利益率。総資産に対する利益率)が高くなるなどメリットの多いオペレーティングリースだが、こうしたメリットを享受するため、意図的に上述したファイナンスリースの数値基準を満たさないようにリース契約を仕組んで(これを「ストラクチャリング」という)、オンバランス化を回避する行為が米国を中心に横行しているという実態がある。

 リースの会計処理は、現在のところは日本の会計基準、IFRS(国際会計基準)、米国会計基準ともに同様のものとなっているが、IFRSを作成しているIASB(国際会計基準審議会)および米国基準を作成しているFASB(米国財務会計基準審議会)は、オンバランス回避を封じ込めるため、新たな会計基準の開発に取り組んできた。「使用権(right-to-use)モデル」と呼ばれるものだ。これは、リース取引の本質はリース物件の「使用権」の売買であるとの発想に基づくもの。すなわち、リースの借手はリース料を対価としてリース物件の使用権という「資産」を得るので、それを貸借対照表にオンバランスすべきという考え方である。

 使用権モデルを使うことにより、例えば・・・

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2014/05/07 オフィスの賃借料が資産計上の対象に?(会員限定)

 設備等の購入の代替として、また、ファイナンスの手段(購入金額の借入れが難しい場合の代替)として企業に広く活用されているリースだが、企業経営にも大きな影響を及ぼすのがその会計処理だ。

 現在の日本の会計基準では、リースが設備等の購入の代替(実質的な割賦販売)とみなされる場合は「ファイナンスリース」とされ、リース資産およびリース債務(未経過リース料)をオンバランス(それぞれバランスシートの資産、負債に計上)する。「リースが設備等の購入の代替とみなされる場合」とは、具体的には、「支払いリース料総額の現在価値が、見積もり現金購入価額の90%以上」または「リース期間が耐用年数の75%以上」である場合を指す。

 一方、購入の代替ではなく、物を借りて賃借料を払う本来のリースが「オペレーティングリース」だ。オペレーティングリースでは、毎期の支払いリース料を費用計上する一方、貸借対照表には何も計上しない(=オフバランス)。これにより、ROA(Return On Asset = 総資本利益率。総資産に対する利益率)が高くなるなどメリットの多いオペレーティングリースだが、こうしたメリットを享受するため、意図的に上述したファイナンスリースの数値基準を満たさないようにリース契約を仕組んで(これを「ストラクチャリング」という)、オンバランス化を回避する行為が米国を中心に横行しているという実態がある。

 リースの会計処理は、現在のところは日本の会計基準、IFRS(国際会計基準)、米国会計基準ともに同様のものとなっているが、IFRSを作成しているIASB(国際会計基準審議会)および米国基準を作成しているFASB(米国財務会計基準審議会)は、オンバランス回避を封じ込めるため、新たな会計基準の開発に取り組んできた。「使用権(right-to-use)モデル」と呼ばれるものだ。これは、リース取引の本質はリース物件の「使用権」の売買であるとの発想に基づくもの。すなわち、リースの借手はリース料を対価としてリース物件の使用権という「資産」を得るので、それを貸借対照表にオンバランスすべきという考え方である。

 使用権モデルを使うことにより、例えば「リース期間が耐用年数の20%」といった明らかなオペレーティングリースであっても、リース期間に相当するリース料を「使用権」として資産計上することになる。さらに、使用権モデルが導入されれば、すべてのリース取引はもちろん、通常の「不動産賃借」(例えば2年契約のオフィス賃借)の賃借料までもオンバランスの対象となる。不動産の借手は「不動産の使用権」を得ることになるからだ。

 使用権モデルの公開草案(ドラフト)は、2010年にIASBやFASBから公表され、この時はほぼ世界中の市場関係者が賛同したが、「コピー機などの少額リース」や「不動産賃貸」までもオンバランスの対象にするというのは取引の実態に合わず、企業側にも大きな混乱が生じる可能性があるため、日本などは反対の立場を表明している。

 IASBやFASBにおけるリースの会計処理の見直しの当初の目的は、「飛行機」のような金額が大きいリース取引がオフバランスになっている状況を改善することにあったはずだが、いつの間にか「使用権モデル」の名の下に、すべてのリース取引を対象にしたオンバランス化が要求されるようになっている。本件について結論が出るまでにはもう少し時間がかかるとみられるが、IFRSで使用権モデルが採用される方向性が明確になれば、IFRS導入を検討する日本企業の意思決定にも影響を及ぼすことになるのは間違いなさそうだ。