2014/03/07 【人事・労務】従業員にやる気を出させたい

 

「自ら動きたくなる気持ち」を起こさせるには?

従業員にやる気を出させるにはどうしたらよいのか――役員であれば、誰もが一度はこのテーマに思い悩んだ経験があると思います。自己啓発書の元祖と言われる「人を動かす」の著者D・カーネギーは同書の中で、「人を動かす秘訣はこの世にただ1つしかない」と述べ、それは「自ら動きたくなる気持ちを起こさせること」であると断言しています。

では、どうすれば従業員をそのような気持ちにすることができるのでしょうか。これには、上司と部下の関係といった個別の事情も当然関係しますが、多数の従業員を抱える上場会社で、全社的に従業員のやる気をアップさせるために必ず検討しなければならないのが、賃金制度や人事制度、人事考課(評価)制度などの「人事処遇」のあり方です。なかでも、賃金制度と人事評価制度が従業員のやる気に深く関係しているのは間違いありません。

そこで、経営陣としては、どのような理念やポリシー、コンセプトをもって自社の賃金制度や人事評価制度を構築し、運用していけばよいのか、以下で詳しく解説します。

成果だけを評価しない「日本型成果主義」

2000年以降、多くの日本企業において、年功型賃金から成果主義賃金への移行が進みました。当初は“出来高制”のごとく、過度に「成果」に偏ったものが多くみられましたが、その後、日本企業の職場の実態に適したものへと修正が加えられ、成果だけでなく、・・・

続きをご覧になるには会員登録(※有料)が必要です。会員登録はこちら

年俸制の導入がやる気アップにつながらない理由とは?

成果主義賃金とともに、年功型賃金制度からの移行が進んだものとして、「年俸制」が挙げられます。実際、年俸制を導入している上場会社の多くが成果主義と併用しています。年俸制とは、従業員に支払う賃金を1年間という単位(年収単位)で決める賃金制度であり、年俸額は前年の評価に基づき変動します(ただし、変動幅の上限が決められている場合がほとんどです)。

賃金を毎年変動させることが可能な年俸制を導入することで、年功型賃金制度が生む「成果にかかわらず1年経てば定期昇給により自動的に給与が増える」といった甘い考えや、それゆえの「事無かれ主義」といった弊害をある程度払拭できますので、従業員のやる気アップへの効果が期待できます。

ただ、年俸制の導入が従業員のやる気アップにつながっていない会社も少なからずあるようです。これは何故でしょうか?・・・

続きをご覧になるには会員登録(※有料)が必要です。会員登録はこちら

目標設定は「少し背伸びすれば達成可能なレベル」で

目標管理制度とは、会社の理念や目標を従業員に示したうえで、その達成のために従業員がすべき仕事や目標を設定し、その達成度合いを月例賃金や賞与などの処遇に反映させる仕組みです。現在、多くの会社で導入され、従業員のやる気アップに効果を発揮する一方、上手くいっていない事例も少なくありません。その原因は、当初の目標設定や、達成度合いの評価方法などにあります。

まず目標設定の問題ですが、・・・

続きをご覧になるには会員登録(※有料)が必要です。会員登録はこちら

360度評価は参考程度に

人事評価といえば、直属の上司が1次評価を、上司のさらに上長が2次評価を行うのが一般的ですが、近年は、こうしたラインの上司からだけではなく、部下や同僚、他部門の管理職や非管理職、取引先の担当者等からの評価も採り入れる「360度評価」を導入している会社もみられます。360度評価は多面評価の一種であり、複数の評価者の目を通すことで、その評価に対する客観性や公正性、納得感を高める効果が期待できます。

ただし、360度評価を人事評価、すなわち「賃金などの処遇を決める重要な要素」として過度に利用すべきではありません。あくまでも人事評価の際の「参考資料」として捉えるべきです。なぜなら、・・・

続きをご覧になるには会員登録(※有料)が必要です。会員登録はこちら

相対評価か絶対評価か

評価制度が従業員のやる気に影響するのは言うまでもないことですが、やる気をアップさせるために「絶対評価」が良いのか、それとも「相対評価」が良いのかについては、いまだ議論の尽きないところです。・・・

続きをご覧になるには会員登録(※有料)が必要です。会員登録はこちら

モラールサーベイで従業員の意識の把握を

従業員のやる気アップ策を検討したり、また、導入した策が有効に機能しているかどうかを検証するためには、「モラールサーベイ」(従業員意識調査)を実施するとよいでしょう。モラールサーベイは、・・・

続きをご覧になるには会員登録(※有料)が必要です。会員登録はこちら

「自分を見てくれている」と感じることが部下のモチベーションに

ここまで、賃金制度と人事評価を中心に、従業員のやる気を出させるにはどうしたらよいか、どういう点に注意したらよいかを解説してきましたが、いくら練りに練って評価制度を構築して導入し、きちんと賃金等の処遇に反映したとしても、期待したような結果が必ずしも得られるとは限りません。なぜなら、・・・

続きをご覧になるには会員登録(※有料)が必要です。会員登録はこちら

チェックリスト チェックリストはこちら(会員限定)

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

本ケーススタディを最後まで閲覧した方は、知識の定着度を確認するため、下の右側のボタンを押してミニテストを受けてください(ミニテストを受けない限り、本ケーススタディの閲覧履歴は記録されません)。
また、本ケーススタディを閲覧して感じたことや気付いた点(学んだ点、疑問点、自社の課題など)を、備忘録として登録しておくことができます。登録を行う場合には、下の左側の「所感登録画面へ」ボタンを押し、登録画面に進んでください。過去に登録した内容を修正する場合も、同じ操作を行ってください。

感想の登録    ミニテスト受講

2014/03/06 (新用語・難解用語)ビッグデータ(会員限定)

 ビッグデータの定義は、データの内容や利用法などの観点から様々な説があるが、簡潔に言えば、従来のデータベースインフラでは量的にも質的にも処理しきれないほど「大量かつ多様なデータ」および「その分析と活用」とされている。

 身近な例を挙げると、「データ」としては、インターネット上で日々膨大に更新され増え続けるfacebook、twitterなどのソーシャルメディアの更新内容があり、「分析・活用法」としては、予測分析手法を利用したアマゾンの「レコメンド機能」などがある。

 多種あるビッグデータに共通する特徴として、単にデータ量が膨大というだけでなく、ユーザーの書き込みのように、情報にリアルタイム性があり、かつ非定型的で多様性を持っているという点が挙げられる。

 最近まで量的、内容的に保管・活用しきれなかったこうした“雑多な”データにいち早く注目し、最新の分析手法を用いて解析・活用することで競争優位性を確保して急成長をとげたのが上記アマゾンである。マッキンゼー・アンド・カンパニーの分析によれば、アマゾンの2011年売上高の35%はレコメンド機能による「おすすめ商品」であったという。また、googleや世界最大のオークションサイトeBayなどの大手IT企業では数十ペタバイト(1ペタバイト=1,024テラ(兆)バイト、2012年時点)のデータを保管・分析しているとされる。

 このようにビッグデータは、顧客のニーズを分析・察知することで的確な商品やサービスを提供し売上に貢献するだけでなく、例えば東芝では、工場の設備やオフィス機器からリアルタイムデータを収集・集計(ミリ秒単位であがってくるデータを秒単位で集計)したり、そのデータを即時解析処理することで異常を検知・予測し、業務効率を向上させるのに活用している(同社HPより)。

 ビッグデータの活用は、企業の競争力を左右するほど重要であるとの認識は浸透しつつある一方、日本における最大の問題点は、従来の手法を超えた新たな分析と解析のできる専門家(「データ・サイエンティスト」や「データ・アナリスト」とも呼ばれる)が、米国や中国などの先行する諸外国に比べ圧倒的に不足してることにある。アメリカでは、ビッグデータの分析をするデータ・サイエンティスト養成講座が大学などで立ち上がり始めているようだが、物理学の博士号所有者など高スペックな人材のみが対象となっており、逆に、こうした人材でなければビックデータの分析は困難だとされる。ちなみに、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス自身は、出版業・書籍販売業の経験がないソフトウェア・エンジニアである。

 日本企業の効率化や競争力の確保のためビッグデータの活用は不可避だが、同時に、ランダムかつ膨大なデータから“隠れた意味”を解釈し、現実的な解決策を作り上げることのできる人材の育成が急務と言える。

2014/03/06 (新用語・難解用語)ビッグデータ

 ビッグデータの定義は、データの内容や利用法などの観点から様々な説があるが、簡潔に言えば、従来のデータベースインフラでは量的にも質的にも処理しきれないほど「大量かつ多様なデータ」および「その分析と活用」とされている。

 身近な例を挙げると、「データ」としては、インターネット上で日々膨大に更新され増え続けるfacebook、twitterなどのソーシャルメディアの更新内容があり、「分析・活用法」としては、予測分析手法を利用したアマゾンの「レコメンド機能」などがある。

 多種あるビッグデータに共通する特徴として、単にデータ量が膨大というだけでなく、ユーザーの書き込みのように、情報にリアルタイム性があり、かつ非定型的で多様性を持っているという点が挙げられる。

 最近まで量的、内容的に保管・活用しきれなかったこうした“雑多な”データにいち早く注目し、最新の分析手法を用いて解析・活用することで競争優位性を確保して急成長をとげたのが上記アマゾンである。マッキンゼー・アンド・カンパニーの分析によれば、アマゾンの2011年売上高の35%はレコメンド機能による「おすすめ商品」であったという。また、googleや世界最大のオークションサイトeBayなどの大手IT企業では数十ペタバイト(1ペタバイト=1,024テラ(兆)バイト、2012年時点)のデータを保管・分析しているとされる。

 このようにビッグデータは、顧客のニーズを分析・察知することで的確な商品やサービスを提供し売上に貢献するだけでなく、例えば東芝では、工場の設備やオフィス機器からリアルタイムデータを収集・集計(ミリ秒単位であがってくるデータを秒単位で集計)したり、そのデータを即時解析処理することで異常を検知・予測し、業務効率を向上させるのに活用している(同社HPより)。

 ビッグデータの活用は、企業の競争力を左右するほど重要であるとの認識は浸透しつつある一方、日本における最大の問題点は、・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2014/03/05 “過失責任化”でも消えない有価証券報告書虚偽記載の損害賠償リスク

 有価証券報告書に虚偽の情報が記載されていた場合、この情報に基づき株式を取得した株主は会社に対して損害賠償請求を行うことが金商法で認められているが、現行法上、株主は「虚偽記載があること」さえ立証すれば、会社に故意又は過失があることを立証する必要はない(金商法21 条の2)。つまり、会社にとっては、たとえ「無過失」であっても損害賠償請求に応じなければならない点、大きなリスクがある。

 「無過失責任」の規定は、ライブドアによる有価証券報告書の虚偽記載事件等を受け平成16年に設けられたが、昨年6月から開始された金融庁の金融審議会「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキンググループ」でこの規定のあり方が議論された結果、近く「過失責任」へと改正される。

 この改正は、経済界からの強い要望で議論の俎上に載せられたものであり、「過失責任」化は上場会社にとっての悲願と言える。というのも、ライブドア事件を受け「無過失責任」の規定が設けられた後、金商法などへの違反者に対し罰金を課す課徴金制度や内部統制制度が導入され、虚偽記載の防止のための各種制度はもう十分に整備されているからだ。しかも、米国やEUでは、虚偽記載の損害賠償責任は、会社に「疑罔(ぎもう=欺くこと)の意図」ないしは「故意または重過失」があった場合(例えば会社ぐるみで詐欺を行った場合)のみに責任を問うという考え方をとっている。

 このような国内外の状況からようやく我が国でも「過失責任」化の方向が打ち出されたわけだが、金融庁の示した法案を見ると、実際のところは、上場会社に引き続き重い責任を課すことには変わりないと言えそうだ。

 具体的には、「軽微な過失」も含めてあらゆる過失について責任を問うとしているうえ、立証責任を会社に転換し、さらに損害賠償責任の原告適格を株式の「取得者」のみならず「処分者(有価証券報告書が公衆縦覧に供されている間に、株式を売却した者)」にまで拡大しようとしており、上場会社からは、「ほとんど無過失責任と変わらない」との不満の声が聞こえる。また、損害賠償責任の原告適格(訴訟の原告となれる資格)を株式の「処分者」にまで広げたことで、訴訟が濫発される危険も拭えない。上場会社としては、これまで通り厳格な内部統制を働かせて、虚偽記載を事前に防止するほかないだろう。

 本改正をきっかけに、欧米並みの損害賠償責任制度となるよう一層の規制緩和が待たれるところだ。

2014/03/04 食品偽装表示問題きっかけに、すべてのBtoC取引対象に課徴金制度導入へ

 昨秋、各地で食品の偽装表示問題が相次いだが、今後、一連の事件をきっかっけに法改正が実施され、食品業界以外のみならず、BtoC取引を行うすべての企業が対応を迫られることになりそうなので要注意だ。

 現在、広告やメニューといった消費者に対する表示は、「景品表示法」により規制されており、同法は、製品・サービスが実際のものより著しく優良であると誤認される表示を「優良誤認」として禁止している(景品表示法4条1項1号)。例えば昨秋に問題となったケースでは、実際にはバナメイエビを使用しているにもかかわらず「芝エビ」と表示をしていたことが優良誤認に該当するとされた。

 問題発覚後、消費者庁は百貨店や旅館・ホテルの関係団体に対して景品表示法の考え方および違反事例の周知を行ったものの、政府部内からは「一連の事件は経営体質や商慣行に原因があり、景品表示法の改正による抜本的な対策が必要」との声が上がっていた。

 改正が見込まれる内容として注目されるのは次の2点だ。

 まず、「課徴金」の導入である。現在、景品表示法の違反に対しては、行政が違反行為の差し止め命令を出し、それに従わない場合に罰金を課す「間接罰」が設けられている。課徴金の導入は、より抑止効果を高めるために、景品表示法違反に直接罰金をかけようというものである。

 もう一つは、役員クラスの表示責任者の設置義務付けである。現場の判断だけではなく、役員を表示問題のトップとする社内のチェック体制の整備が違反の抑止には不可欠との判断に基づくものだ。

 ただ、このうち課徴金の導入については、企業の広告・表示活動に直接的に影響を及ぼすことが考えられ、それゆえ対象を明確にする必要があることから、法改正にはもうしばらく時間を要しそうだ。

 これに対し、早期に着手が可能な「役員クラスの表示責任者の設置義務付け」は3月11日に改正法が閣議決定されており、近いうちに法改正が行われる見込みだ。企業としては、自社においてどのように表示が決められているか、「社内チェック体制」を早い時期に確認しておく必要があるだろう。

2014/03/03 スチュワードシップ・コード、企業にとっての“リスク”と今後の方向性

 金融庁は2月26日、責任ある機関投資家の諸原則、いわゆる“日本版スチュワードシップ・コード”を公表した(「スチュワードシップ・コード」については、こちらを参照)。

 これは、安倍政権が「企業の持続的な成長を促す観点から、幅広い機関投資家が企業との建設的な対話を行い、適切に受託者責任を果たすため」に導入するよう求めていたことを受けたもの。「日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」により昨年8月に素案がまとめられ、12月のパブリック・コメントを経て、今回の公表となった。

 機関投資家(スチュワード)による投資先企業への関与を促し、その結果として企業価値を向上させるとともに、投資家によるコーポレートガバナンスの体制を確立することを目的とするスチュワードシップ・コードは、元々は英国が世界的な金融危機へ対策として2010年7月に導入したものであり、今回公表された日本版も英国版をモデルにしている。

 このため日本版は基本的には英国版と同様だが、英国版が定めるいわゆる「集団的エンゲージメント(複数の投資家が共同歩調をとって企業に経営改善などを働きかけること)」については、日本版では言及されていない。

 日本版スチュワードシップ・コードは、以下の7つの原則から構成される。
1 資産運用などの基本方針作成と公表
2 利益相反に関する方針策定
3 投資先企業への状況の把握
4 投資先企業との建設的な「目的を持った対話」と問題の改善への努力
5 議決権行使の方針や結果公表に関する方針の策定
6 議決権行使結果など顧客や受益者への定期報告
7 投資先企業への深い理解とスチュワードシップ活動を適切に行う実力の保持

 各原則は指針も含めて1ページに収まる量であり、機関投資家の企業への関与方法が細かく定められた英国版とは異なっている。

 ただ、細かな定めとなっていないことが、逆に企業にリスクをもたらす可能性がある。例えば「スチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべき」(原則3)、「「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図る」(原則4)といった抽象的な言い回しについては、明確性を欠く分、これらの文言を盾に機関投資家がどのような要求を突き付けてくるのか分からないという点、企業は警戒する必要がある。かつて“物言う株主”による企業買収のリスクに直面した経営陣などからは、日本版スチュワードシップ・コードに対する不満の声も聞こえてくる。

 また、今回の日本版スチュワードシップ・コードとりまとめで焦点となったのが、議決権行使結果の「個別開示」だ。例えば取締役選任議案であれば、現状の規制(投資信託協会など)では「投資先企業○社における取締役選任議案の○%に反対」までの公表で済む。これが個別開示になると、「○○株式会社の取締役選任議案のうち、○○氏に反対」まで明らかにしなければならない。役員にとっては名指しで不信任票の多さを指摘されることになるため、上場会社サイドからの強い抵抗が予想されていた。

 この点、「議決権の行使と行使結果の公表」(原則4)に関する指針では、「機関投資家は、議決権の行使結果を、議案の主な種類ごとに整理・集計して公表すべきである」とするにとどまっており、個別開示にまでは踏み込んでいない。議案別の結果開示であれば、投資信託協会並びに日本投資顧問業協会の協会員である運用機関、および一部の公的年金基金において既に実施されており、日本版スチュワードシップ・コードによってこれに企業年金基金と保険会社が加わるに過ぎない。さらに、日本版スチュワードシップ・コードの指針では、「前記の集計公表に代わる他の方法により議決権の行使結果を公表する方が、自らのスチュワードシップ活動全体についてより的確な理解を得られると考えられる場合には、その理由を説明しつつ、当該他の方法により議決権行使結果の公表を行うことも考えられる」という“逃げ道”も用意されている。

 日本版スチュワードシップ・コードが個別開示に踏み込まなかったことに対しては、「個別開示を通じて上場企業のガバナンスを高める好機を逃した」との批判も起きている。「何としても年内に案をまとめる」という“政治的圧力”が仇になった面もあろう。一方、英国では自主規制(スチュワードシップ・コード)により68%の機関投資家が個別開示を実施、米国に至ってはSEC規制によってすべての投資信託に関わる議決権行使が個別開示の対象となっている。個別開示の議論は、日本でも引き続き重要なテーマになるだろう。

 もっとも、集団的エンゲージメントや個別開示についての言及は見送られたとはいえ、スチュワードシップ・コードの導入により、上場会社と機関投資家の関係に変化がもたらされるのは間違いない。機関投資家はこれまで以上に投資先である上場会社への関与を求められ、また上場会社側としても、企業価値向上の観点から見た自社の経営戦略の正当性などについて、株主への説明責任を一層求められることになりそうだ。

2014/03/03 【議案】役員退職慰労金を廃止したい(会員限定)

 

ガバナンス上の問題を抱えやすい役員退職慰労金

大手精密電子機器メーカーの元会長に13億円、大手総合家電メーカー退任取締役4名に対する総額18億円――――近年、株主総会が終了する毎年6月末付近になると、巨額の役員退職慰労金支給に関するメディアの報道が目に付きます。

2010年3月からスタートした新たな役員報酬の開示ルールにより、有価証券報告書では、従来からの役員報酬の総額の開示に加え、1億円以上の報酬を受け取る役員は、報酬金額の内訳(基本報酬、賞与、退職慰労金)を、氏名とともに開示しなければならなくなりました。

このように、「1億円以上」か否かの判定対象になる報酬には、基本報酬や賞与だけでなく、「役員退職慰労金」も含まれます。役員退職慰労金は本来毎期支払われるべき役員報酬を“後払い”しているに過ぎないため、これも判定対象の報酬に加えるのが合理的というわけです。

具体的には、会計上、役員退職慰労金の算定方法などについて定めた「役員退職慰労金規程」に基づき各期の発生額を見積もったうえで計上される「役員退職慰労引当金繰入額」に基本報酬や賞与を加えた金額をもって、「1億円以上」かどうかを判断することになります。また、会社への貢献度が高かったとして、役員の退職時に引当金計上額を大きく上回る額の役員退職慰労金の支給があった場合(後述する「功労加算金」などの支給があった場合)には、その上回った額は支給があった期に一括して費用化されますので、「1億円以上」という基準にひっかかりやすくなります。

役員退職慰労金は、従業員部分の退職金が精算された後、役員在任中に積み上がっていくことになります。一般的には、「退任時の報酬月額×役員在任期間×最終役位係数(代表取締役、専務取締役、取締役、監査役など、役職に応じて1.5~3倍程度の範囲で定められていることが多い)」によって算定され、さらに、特に会社への貢献度が高かった役員に対しては「功労加算金」などの名目の金額が付加されることもあります。「功績」「貢献」など主観的な要素にも左右される役員退職慰労金は、どうしてその金額になったのかが詳しく説明されないことも多く、コーポレート・ガバナンス上の問題を抱えやすいと言えるでしょう。

強まる役員退職慰労金の廃止トレンド

実は上場会社では、既に2000年初頭くらいから、役員退職慰労金を廃止し、後述する「株式報酬型ストックオプション」に切り替えるというトレンドがありました。現在では上場会社の約6~7割が退職慰労金を持っていないというデータもあります。役員退職慰労金を廃止する流れは、リーマンショックがあった2008年あたりには一巡し、以後は少々落ち着きを見せていたのですが、2012年度税制改正により2013年1月1日以降支給分から役員退職所得の優遇税制が縮減されたほか(従来は「退職慰労金額-退職所得控除額)×1/2×税率」により税金を計算することになっていたところ、「勤続年数5年以下の役員」への退職慰労金については算式中「×1/2」を廃止)、上述した報酬開示ルールの強化、さらに2010年3月31日からは臨時報告書に株主総会議案の賛成票率を開示することが義務付けられるといった流れの中で、再び「廃止」が上場会社の選択肢として注目を浴びつつあります。

では、このように多くの上場会社が廃止を検討する役員退職慰労金の何が問題なのでしょうか。これは、「株主サイド」と「役員自身」、両面から指摘することができます。まず株主から見た場合の問題点は、「算定基準が不明確である」ということに尽きます。会社法上、「役員報酬」の一種である役員退職慰労金を支給するためには、通常の役員報酬同様に、「株主総会の決議」または「定款の定め」が必要です。ただ、役員報酬について各人の額を毎年毎年決議し直す必要はなく、「役員報酬の総額」を一度決議しておけば、その配分は取締役会に一任することも認められていました(監査役の場合は監査役の協議)。このため、日本における役員退職慰労金の決定手続は長らく、「支給すること」だけを株主総会議案として提案し、具体的な配分額は「取締役会に一任」するのが慣行となってきました。しかし、これでは具体的な社外流出の総額が分からないことに加え、役員個人別の配分がどうなっているのかも判然としません。

2000年初頭というのは、それ以前からの経済不況が続く中で、役員報酬が固定報酬中心で、業績とリンクする部分が少な過ぎるという指摘が始まった頃です。業績が悪化しているにもかかわらず、退任役員へ好き勝手に固定の退職慰労金を支払うのはけしからんということで、機関投資家を中心として株主が声を上げるようになり、廃止へのプレッシャーは次第に強まっていきました。

役員退職慰労金支給への賛否に関する機関投資家の議決権行使のガイドラインとしては、古くから企業年金連合会(当初基準公表時の旧称は厚生年金基金連合会)の「企業年金連合会 株主議決権行使基準」(2ページの3(2)参照)がありますが、現在は、「議決権行使助言会社」の代表格であるISS社(Institutional Shareholder Services Inc.)の「日本向け議決権行使助言基準(概要)」(下表参照。以下、「ISS基準」)がより大きな影響力を持っています。どちらも、株主価値を毀損させた対象者への支給や、社外役員への支給に対して反対票を投じることを推奨する内容となっています。現在では、このようなガイドラインのプレッシャーから、株主総会議案の中で少なくとも「支給額の総額」は開示される傾向があり、この点に関する不透明感は解消されています。しかし、個人別の配分については開示されないことが多く、引き続き株主の懸念が存在しています。

ISS社日本向け議決権行使助言基準(概要)
7. 退職慰労金/退職慰労金制度廃止に伴う打ち切り支給
下記のいずれかに該当する場合を除き、原則として賛成を推奨する。
・対象者に社外取締役もしくは社外監査役が含まれる場合
・個別の支給額もしくは支給総額が開示されない場合
・株価の極端な下落や業績の大幅な悪化など経営の失敗が明らかな場合や、株主の利益に反する行為に責任があると判断される者が対象者に含まれる場合

解説
社外取締役や社外監査役が退職慰労金の支給を期待すれば、経営陣に厳しい発言をすることが困難になる。そのため、ISS は社外取締役や社外監査役への退職慰労金の支給には反対を推奨する。さらに、個別の支給額もしくは支給総額が開示されない場合、ISS は反対を推奨する。また、極端な業績の悪化や株価の下落、企業不祥事などの株主価値の毀損に責任があると認められる対象者への支給は好ましくない。

一方、役員にとっての問題としては、「不支給リスク」があります。呼称に「慰労」という言葉が入っていても、役員退職慰労金を「在任中に受けるべき報酬の後払い」と考える役員は多いでしょう。それにもかかわらず、たまたま自分が退任する期の業績が悪い、あるいは不祥事が発生したなどの理由で、株主総会で支給に関する議案が否決されるかもしれないというのでは、報酬制度としての納得感は損なわれます。これまでは、この「不支給リスク」によるデメリットと、退職所得に対する優遇税制メリットが拮抗していましたが、上述のとおり、2013年1月1日以降この優遇税制の適用が「役員在任年数5年超の役員」に限定され、税務上のメリットが小さくなった結果、役員自身にとっても、役員退職慰労金制度によって「報酬の後払い」を受けるデメリット(リスク)が大きくなってきました。

非上場の子会社や株主構成が安定している会社では必ずしも役員退職慰労金廃止ブームに乗る必要はありませんが、そうでない会社で現在も役員退職慰労金制度を保有しているところは、株主総会で否決を受けないよう開示を強化するなどの対策を検討するほか、将来的な廃止も視野にいれておく必要がある状況と言えるでしょう。

株主との利害共有を可能にする廃止方法とは?

では、役員退職慰労金を廃止するには、具体的にどうすればよいのでしょうか。

まず初めに、廃止の対象を確定します。一般的には、廃止時点までに累積している役員退職慰労金の「要支給額」を廃止対象とし、株主総会において「打切支給議案」の承認を得ることによりこれを固めます。これは、廃止時点までに累積した退職慰労金を、役員の“既得権”として確保するという趣旨であり、実際、廃止するのはあくまで「将来支給する予定の部分のみ」とするケースがほとんどです。 ただ、打切支給議案を株主総会に諮る際に注意しなければならないのは、以前と異なり、議案に金額を記載しないと否決されるリスクが高まるという点です。上述したISSのガイドラインでは「個別の支給額もしくは総額」の開示を求めており、少なくとも打ち切り支給の総額を記載しないケースでは、明らかに反対票率が増加する傾向が見られます。

次に、廃止の対象となる将来の支給予定部分を、どのように役員に対して補填するかを考えます。基本的には、年間の退職慰労金原資を、在任中の報酬に振り替えるということになりますが、具体的な対応にはかなりのバリエーションがあります。

役員にとって最も都合が良いのは基本報酬への振替えでしょう。しかしこれは、退職慰労金を、同じく「固定的な報酬」である基本報酬に上乗せしているに過ぎません。要するに、単に退任時における株主総会での否決リスクを回避して、毎期“着実に”退職慰労金相当部分を先取りしていくような格好になります。これは確かに役員にとって都合の良い方法ではありますが、中長期的に株主への説明に耐え得るかどうか、危うい面があります。

そこで多くの上場会社では、将来の支給予定部分を「インセンティブ報酬(業績連動型報酬)」へと振り替えることにより、「株主との利害共有を強化していく」という文脈の中で、退職慰労金の廃止を進めています。 具体的な振替先としては、年次賞与、株式報酬(報酬として株式を付与するもの)等の長期インセンティブ、あるいはそれらの組み合わせなどが考えられますが、このうち比較的よく見られる「株式報酬型ストックオプション」への振替えについて次で解説します。

“振替先”としての株式報酬型ストックオプション

株式報酬型ストックオプションとは、権利行使価格を「1円」に設定したストックオプションです。このため、“1円ストックオプション”とも呼ばれます。

通常のストックオプションでは権利行使価格を「ストックオプション付与時の株価」と同じ価格に設定しますが、この点以外に、株式報酬型ストックオプションと通常のストックオプションに違いはありません。

株式報酬型ストックオプションでは、権利行使価格を1円とすることによって、株式そのものを付与対象者に保有させるような意味合いが生じます。一方、欧米では「譲渡制限付株式」を直接無償で付与する方法を用いるのが一般的です。株式に「譲渡制限」を課すのは、譲渡制限を課さないと付与された直後に株式市場で売却することが可能になり、インセンティブ報酬として意味をなさないことになってしまうからです。日本で譲渡制限付株式を直接付与する方法が使われていないのは、日本の会社法では、払込みを受けずに現物株式を付与することが認められていないからです(会社法199条1項2号・3号)。そこで代わりに、“日本版譲渡制限付株式”ともいうべき株式報酬型ストックオプションが多くの上場会社で導入されるようになりました。もっとも、最近では、既存の報酬体系に新たに加える形で、純粋な「報酬」の1つとして導入を検討する企業もかなり増えてきています。

この株式報酬型ストックオプションは2000年初頭においては、必ずと言っていいほど、廃止する退職慰労金の“振替先”としての導入でした。株式報酬であることから株主との利害一致をシンプルに強調することができるという点と、役員にとっても、株価が上がらなければただの紙切れになってしまう通常のストックオプションと比べると、会社が倒産しない限り何らかの価値が残る株式報酬型ストックオプションの方が退職慰労金の振替先としての納得感が高いということが、役員退職慰労金の“代替”としての導入が進んだ主な理由と言えます。

退職慰労金廃止の際に将来の支給予定部分について株式報酬型ストックオプションに振替える具体的方法ですが、退職慰労金を廃止した後、毎年積み上げられる予定だった退職慰労金の原資と同等の経済的価値を、株式報酬型ストックオプションとして「毎期」付与していくことになります。ここで留意したいのは、毎期付与する株式数を一定数に決めないということです。というのは、株価は常に変動し、株価に応じて株式の単価も変わるため、株式数を一定にしてしまうと、「単価×株式数」によって算出される株式報酬型ストックオプションの経済的価値、すなわち各期に計上される会社のコストが安定しないからです。退職慰労金の原資の積上げ同様にコストを安定的にするには、付与価値を「役位ごと」に固定し、それを毎期の理論上の単価で除することにより、株式の付与数を調整するという対応が必要になります。

また、権利確定の時期については、退職慰労金をもらうのと同様に、役員の退任時以降に初めて権利行使できるよう条件を設定することが考えられます。退任前に権利行使ができるようでは、長期インセンティブとしての役割を果たさないからです。

株式報酬型ストックオプションを役員への報酬制度として導入するためには、株主総会の承認が必要になります。株式報酬型ストックオプションの導入は役員退職慰労金制度の廃止とセットになりますので、株式報酬型ストックオプションの導入初年度において、上述の「打ち切り支給議案」と合わせて、株式報酬型ストックオプションを導入するための議案を株主総会に提案することになります。

なお、株主総会議案には様々なパターンがあり(株主総会で報酬の枠を一度決議した後、翌年からはその枠の範囲内に収まる限り報酬についての議案を上程しないパターンや、そのパターンを原則としつつも株式報酬型ストックオプションに関しては付与の都度株主総会に議案を上程するパターン等)あり、それによって導入2年目以降の対応が変わってきます。

廃止をスムーズに進めるために

役員退職慰労金の原資の“振替先”の選択肢は、必ずしも株式報酬型ストックオプションだけではありません。例えば、原資を年次賞与に振り替えたり、あるいは株式報酬でない中長期のインセンティブとして中長期の評価に基づき支給する賞与に振り替えるという事例もあります。また、「原資」と「振替先」のひも付き関係を意識せずに純粋に新たな報酬体系を構築し、そこに退職慰労金部分が取り込まれるケースもあるでしょう。

このように様々な選択があり得る中では、役員退職慰労金をどこに振り替えるかという形式論ではなく、廃止後の新しい報酬体系をどのように株主に説明できるのか、という視点を持つことが極めて重要です。そのためには、まず役員報酬体系に関する基本的な考え方をしっかり議論したうえで、報酬の水準やインセンティブ報酬の比率などの仕組みを構築していくというアプローチをとることが必要になります。この基本的な考え方は「報酬の方針」と呼ばれ、2010年3月からスタートした新しい役員報酬開示ルールでも、有価証券報告書の「コーポレート・ガバナンスの状況」において開示することが要求されています。

この「報酬の方針」をしっかりと構築することにより、対外的に説明責任を果たしやすくなるだけでなく、報酬の貰い手である役員にも納得感をもたらすことになります。確かに、株式報酬型ストックオプションへの振替えは、株主との利害一致を直接的に打ち出すため、対外的な説明責任を果たしやすく、役員退職慰労金の廃止を無難に済ませる類型の1つにはなっています。しかし、役員からすれば、株価低迷時には役員退職慰労金の原資をかなり下回る金額しか貰えない、あるいはインサイダー取引規制(退職前にその職務に関して知った重要事実がある場合、退職後1年間はその重要事実が公表される前に株式を売買することが禁止されている)の対象となり、権利行使で得た株式をなかなか現金化できないといった、納得感を損なうような状況もあります。これは、「報酬の方針」において貰い手である役員の視点をあまり考慮してこなかった結果と考えられます。役員退職慰労金廃止後数年経過し、もはや後戻りできないところで役員から文句が出るという状況は避けたいところです。

退職慰労金の廃止トレンドが一巡した現時点において、これから廃止を検討しようとする会社は、「報酬の方針」の構築を念頭しながら、特に役員の納得感をどのように確保していくかについて十分な配慮をしながら、検討を進めていくことが必要になるでしょう。その意味においては、株式報酬型ストックオプションへの振替えのみに固執するという硬直的な対応は、少し古い考え方になりつつあるのかも知れません。

チェックリスト チェックリストはこちら
本ケーススタディを最後まで閲覧した方は、知識の定着度を確認するため、下の右側のボタンを押してミニテストを受けてください(ミニテストを受けない限り、本ケーススタディの閲覧履歴は記録されません)。
また、本ケーススタディを閲覧して感じたことや気付いた点(学んだ点、疑問点、自社の課題など)を、備忘録として登録しておくことができます。登録を行う場合には、下の左側の「所感登録画面へ」ボタンを押し、登録画面に進んでください。過去に登録した内容を修正する場合も、同じ操作を行ってください。

感想の登録    ミニテスト受講


2014/03/03 【議案】役員退職慰労金を廃止したい

 

ガバナンス上の問題を抱えやすい役員退職慰労金

大手精密電子機器メーカーの元会長に13億円、大手総合家電メーカー退任取締役4名に対する総額18億円――――近年、株主総会が終了する毎年6月末付近になると、巨額の役員退職慰労金支給に関するメディアの報道が目に付きます。

2010年3月からスタートした新たな役員報酬の開示ルールにより、有価証券報告書では、従来からの役員報酬の総額の開示に加え、1億円以上の報酬を受け取る役員は、報酬金額の内訳(基本報酬、賞与、退職慰労金)を、氏名とともに開示しなければならなくなりました。

このように、「1億円以上」か否かの判定対象になる報酬には、基本報酬や賞与だけでなく、「役員退職慰労金」も含まれます。役員退職慰労金は本来毎期支払われるべき役員報酬を“後払い”しているに過ぎないため、これも判定対象の報酬に加えるのが合理的というわけです。

具体的には、会計上、役員退職慰労金の算定方法などについて定めた「役員退職慰労金規程」に基づき各期の発生額を見積もったうえで計上される「役員退職慰労引当金繰入額」に基本報酬や賞与を加えた金額をもって、「1億円以上」かどうかを判断することになります。また、会社への貢献度が高かったとして、役員の退職時に引当金計上額を大きく上回る額の役員退職慰労金の支給があった場合(後述する「功労加算金」などの支給があった場合)には、その上回った額は支給があった期に一括して費用化されますので、「1億円以上」という基準にひっかかりやすくなります。

役員退職慰労金は、従業員部分の退職金が精算された後、役員在任中に積み上がっていくことになります。一般的には、「退任時の報酬月額×役員在任期間×最終役位係数(代表取締役、専務取締役、取締役、監査役など、役職に応じて1.5~3倍程度の範囲で定められていることが多い)」によって算定され、さらに、特に会社への貢献度が高かった役員に対しては「功労加算金」などの名目の金額が付加されることもあります。「功績」「貢献」など主観的な要素にも左右される役員退職慰労金は、どうしてその金額になったのかが詳しく説明されないことも多く、コーポレート・ガバナンス上の問題を抱えやすいと言えるでしょう。

強まる役員退職慰労金の廃止トレンド

実は上場会社では、既に2000年初頭くらいから、役員退職慰労金を廃止し、後述する「株式報酬型ストックオプション」に切り替えるというトレンドがありました。現在では・・・

続きをご覧になるには会員登録(※有料)が必要です。会員登録はこちら

株主との利害共有を可能にする廃止方法とは?

では、役員退職慰労金を廃止するには、具体的にどうすればよいのでしょうか。

 まず初めに、・・・

続きをご覧になるには会員登録(※有料)が必要です。会員登録はこちら

“振替先”としての株式報酬型ストックオプション

株式報酬型ストックオプションとは、権利行使価格を「1円」に設定したストックオプションです。このため、“1円ストックオプション”とも呼ばれます。・・・

続きをご覧になるには会員登録(※有料)が必要です。会員登録はこちら

廃止をスムーズに進めるために

役員退職慰労金の原資の“振替先”の選択肢は、必ずしも株式報酬型ストックオプションだけではありません。例えば、・・・

続きをご覧になるには会員登録(※有料)が必要です。会員登録はこちら

チェックリスト チェックリストはこちら(会員限定)

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから
本ケーススタディを最後まで閲覧した方は、知識の定着度を確認するため、下の右側のボタンを押してミニテストを受けてください(ミニテストを受けない限り、本ケーススタディの閲覧履歴は記録されません)。
また、本ケーススタディを閲覧して感じたことや気付いた点(学んだ点、疑問点、自社の課題など)を、備忘録として登録しておくことができます。登録を行う場合には、下の左側の「所感登録画面へ」ボタンを押し、登録画面に進んでください。過去に登録した内容を修正する場合も、同じ操作を行ってください。

感想の登録    ミニテスト受講

2014/03/03 チェックリスト:役員退職慰労金を廃止したい(会員限定)

罫線が印刷されない場合はこちら

■チェックリスト:役員退職慰労金を廃止したい

チェック事項 備考 対応未了 対応済
有価証券報告書で役員報酬の個別開示が必要となる「1億円以上」か否かの判定に際して、基本報酬や賞与に「役員退職慰労引当金繰入額」を加算しているか。
役員退職慰労金の算定基準は、合理的に説明し得るものとなっているか。
株主総会の役員退職慰労金支給の議案において、「支給額の総額」を開示することを検討したか。
株主総会の役員退職慰労金支給の議案において、「個人別の配分」を開示することを検討したか。
役員退職慰労金の打切支給をする場合、「個別の支給額もしくは総額」を開示することを検討したか。
廃止の対象となる将来の支給予定部分を、どのように役員に対して補填するかを検討したか。 基本報酬への上乗せ、年次賞与、インセンティブ報酬(業績連動型報酬)への振替えが考えられる。
役員退職慰労金を廃止する場合、役員の納得感を確保するための十分な配慮を行ったか。

ケーススタディ役員実務「役員退職慰労金を廃止したい(会員限定)」はこちら

2014/03/01 Webサイトをオープンしました。

上場会社役員ガバナンスフォーラムは本日からWebサイトをオープンしました。最新ニュースや新用語・難解用語辞典も本日から連日(平日のみ)掲載してまいります。
ケーススタディ役員実務など他のコンテンツとあわせ、上場会社の役員に必要な知識習得、情報収集にお役立てください。