「自ら動きたくなる気持ち」を起こさせるには?
従業員にやる気を出させるにはどうしたらよいのか――役員であれば、誰もが一度はこのテーマに思い悩んだ経験があると思います。自己啓発書の元祖と言われる「人を動かす」の著者D・カーネギーは同書の中で、「人を動かす秘訣はこの世にただ1つしかない」と述べ、それは「自ら動きたくなる気持ちを起こさせること」であると断言しています。
では、どうすれば従業員をそのような気持ちにすることができるのでしょうか。これには、上司と部下の関係といった個別の事情も当然関係しますが、多数の従業員を抱える上場会社で、全社的に従業員のやる気をアップさせるために必ず検討しなければならないのが、賃金制度や人事制度、人事考課(評価)制度などの「人事処遇」のあり方です。なかでも、賃金制度と人事評価制度が従業員のやる気に深く関係しているのは間違いありません。
そこで、経営陣としては、どのような理念やポリシー、コンセプトをもって自社の賃金制度や人事評価制度を構築し、運用していけばよいのか、以下で詳しく解説します。
成果だけを評価しない「日本型成果主義」
2000年以降、多くの日本企業において、年功型賃金から成果主義賃金への移行が進みました。当初は“出来高制”のごとく、過度に「成果」に偏ったものが多くみられましたが、その後、日本企業の職場の実態に適したものへと修正が加えられ、成果だけでなく、・・・
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- 年俸制の導入がやる気アップにつながらない理由とは?
- 目標設定は「少し背伸びすれば達成可能なレベル」で
- 360度評価は参考程度に
- 相対評価か絶対評価か
- モラールサーベイで従業員の意識の把握を
- 「自分を見てくれている」と感じることが部下のモチベーションに
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2014/03/06 (新用語・難解用語)ビッグデータ(会員限定)
ビッグデータの定義は、データの内容や利用法などの観点から様々な説があるが、簡潔に言えば、従来のデータベースインフラでは量的にも質的にも処理しきれないほど「大量かつ多様なデータ」および「その分析と活用」とされている。
身近な例を挙げると、「データ」としては、インターネット上で日々膨大に更新され増え続けるfacebook、twitterなどのソーシャルメディアの更新内容があり、「分析・活用法」としては、予測分析手法を利用したアマゾンの「レコメンド機能」などがある。
多種あるビッグデータに共通する特徴として、単にデータ量が膨大というだけでなく、ユーザーの書き込みのように、情報にリアルタイム性があり、かつ非定型的で多様性を持っているという点が挙げられる。
最近まで量的、内容的に保管・活用しきれなかったこうした“雑多な”データにいち早く注目し、最新の分析手法を用いて解析・活用することで競争優位性を確保して急成長をとげたのが上記アマゾンである。マッキンゼー・アンド・カンパニーの分析によれば、アマゾンの2011年売上高の35%はレコメンド機能による「おすすめ商品」であったという。また、googleや世界最大のオークションサイトeBayなどの大手IT企業では数十ペタバイト(1ペタバイト=1,024テラ(兆)バイト、2012年時点)のデータを保管・分析しているとされる。
このようにビッグデータは、顧客のニーズを分析・察知することで的確な商品やサービスを提供し売上に貢献するだけでなく、例えば東芝では、工場の設備やオフィス機器からリアルタイムデータを収集・集計(ミリ秒単位であがってくるデータを秒単位で集計)したり、そのデータを即時解析処理することで異常を検知・予測し、業務効率を向上させるのに活用している(同社HPより)。
ビッグデータの活用は、企業の競争力を左右するほど重要であるとの認識は浸透しつつある一方、日本における最大の問題点は、従来の手法を超えた新たな分析と解析のできる専門家(「データ・サイエンティスト」や「データ・アナリスト」とも呼ばれる)が、米国や中国などの先行する諸外国に比べ圧倒的に不足してることにある。アメリカでは、ビッグデータの分析をするデータ・サイエンティスト養成講座が大学などで立ち上がり始めているようだが、物理学の博士号所有者など高スペックな人材のみが対象となっており、逆に、こうした人材でなければビックデータの分析は困難だとされる。ちなみに、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス自身は、出版業・書籍販売業の経験がないソフトウェア・エンジニアである。
日本企業の効率化や競争力の確保のためビッグデータの活用は不可避だが、同時に、ランダムかつ膨大なデータから“隠れた意味”を解釈し、現実的な解決策を作り上げることのできる人材の育成が急務と言える。
2014/03/06 (新用語・難解用語)ビッグデータ
ビッグデータの定義は、データの内容や利用法などの観点から様々な説があるが、簡潔に言えば、従来のデータベースインフラでは量的にも質的にも処理しきれないほど「大量かつ多様なデータ」および「その分析と活用」とされている。
身近な例を挙げると、「データ」としては、インターネット上で日々膨大に更新され増え続けるfacebook、twitterなどのソーシャルメディアの更新内容があり、「分析・活用法」としては、予測分析手法を利用したアマゾンの「レコメンド機能」などがある。
多種あるビッグデータに共通する特徴として、単にデータ量が膨大というだけでなく、ユーザーの書き込みのように、情報にリアルタイム性があり、かつ非定型的で多様性を持っているという点が挙げられる。
最近まで量的、内容的に保管・活用しきれなかったこうした“雑多な”データにいち早く注目し、最新の分析手法を用いて解析・活用することで競争優位性を確保して急成長をとげたのが上記アマゾンである。マッキンゼー・アンド・カンパニーの分析によれば、アマゾンの2011年売上高の35%はレコメンド機能による「おすすめ商品」であったという。また、googleや世界最大のオークションサイトeBayなどの大手IT企業では数十ペタバイト(1ペタバイト=1,024テラ(兆)バイト、2012年時点)のデータを保管・分析しているとされる。
このようにビッグデータは、顧客のニーズを分析・察知することで的確な商品やサービスを提供し売上に貢献するだけでなく、例えば東芝では、工場の設備やオフィス機器からリアルタイムデータを収集・集計(ミリ秒単位であがってくるデータを秒単位で集計)したり、そのデータを即時解析処理することで異常を検知・予測し、業務効率を向上させるのに活用している(同社HPより)。
ビッグデータの活用は、企業の競争力を左右するほど重要であるとの認識は浸透しつつある一方、日本における最大の問題点は、・・・
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2014/03/05 “過失責任化”でも消えない有価証券報告書虚偽記載の損害賠償リスク
有価証券報告書に虚偽の情報が記載されていた場合、この情報に基づき株式を取得した株主は会社に対して損害賠償請求を行うことが金商法で認められているが、現行法上、株主は「虚偽記載があること」さえ立証すれば、会社に故意又は過失があることを立証する必要はない(金商法21 条の2)。つまり、会社にとっては、たとえ「無過失」であっても損害賠償請求に応じなければならない点、大きなリスクがある。
「無過失責任」の規定は、ライブドアによる有価証券報告書の虚偽記載事件等を受け平成16年に設けられたが、昨年6月から開始された金融庁の金融審議会「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキンググループ」でこの規定のあり方が議論された結果、近く「過失責任」へと改正される。
この改正は、経済界からの強い要望で議論の俎上に載せられたものであり、「過失責任」化は上場会社にとっての悲願と言える。というのも、ライブドア事件を受け「無過失責任」の規定が設けられた後、金商法などへの違反者に対し罰金を課す課徴金制度や内部統制制度が導入され、虚偽記載の防止のための各種制度はもう十分に整備されているからだ。しかも、米国やEUでは、虚偽記載の損害賠償責任は、会社に「疑罔(ぎもう=欺くこと)の意図」ないしは「故意または重過失」があった場合(例えば会社ぐるみで詐欺を行った場合)のみに責任を問うという考え方をとっている。
このような国内外の状況からようやく我が国でも「過失責任」化の方向が打ち出されたわけだが、金融庁の示した法案を見ると、実際のところは、上場会社に引き続き重い責任を課すことには変わりないと言えそうだ。
具体的には、「軽微な過失」も含めてあらゆる過失について責任を問うとしているうえ、立証責任を会社に転換し、さらに損害賠償責任の原告適格を株式の「取得者」のみならず「処分者(有価証券報告書が公衆縦覧に供されている間に、株式を売却した者)」にまで拡大しようとしており、上場会社からは、「ほとんど無過失責任と変わらない」との不満の声が聞こえる。また、損害賠償責任の原告適格(訴訟の原告となれる資格)を株式の「処分者」にまで広げたことで、訴訟が濫発される危険も拭えない。上場会社としては、これまで通り厳格な内部統制を働かせて、虚偽記載を事前に防止するほかないだろう。
本改正をきっかけに、欧米並みの損害賠償責任制度となるよう一層の規制緩和が待たれるところだ。
2014/03/04 食品偽装表示問題きっかけに、すべてのBtoC取引対象に課徴金制度導入へ
昨秋、各地で食品の偽装表示問題が相次いだが、今後、一連の事件をきっかっけに法改正が実施され、食品業界以外のみならず、BtoC取引を行うすべての企業が対応を迫られることになりそうなので要注意だ。
現在、広告やメニューといった消費者に対する表示は、「景品表示法」により規制されており、同法は、製品・サービスが実際のものより著しく優良であると誤認される表示を「優良誤認」として禁止している(景品表示法4条1項1号)。例えば昨秋に問題となったケースでは、実際にはバナメイエビを使用しているにもかかわらず「芝エビ」と表示をしていたことが優良誤認に該当するとされた。
問題発覚後、消費者庁は百貨店や旅館・ホテルの関係団体に対して景品表示法の考え方および違反事例の周知を行ったものの、政府部内からは「一連の事件は経営体質や商慣行に原因があり、景品表示法の改正による抜本的な対策が必要」との声が上がっていた。
改正が見込まれる内容として注目されるのは次の2点だ。
まず、「課徴金」の導入である。現在、景品表示法の違反に対しては、行政が違反行為の差し止め命令を出し、それに従わない場合に罰金を課す「間接罰」が設けられている。課徴金の導入は、より抑止効果を高めるために、景品表示法違反に直接罰金をかけようというものである。
もう一つは、役員クラスの表示責任者の設置義務付けである。現場の判断だけではなく、役員を表示問題のトップとする社内のチェック体制の整備が違反の抑止には不可欠との判断に基づくものだ。
ただ、このうち課徴金の導入については、企業の広告・表示活動に直接的に影響を及ぼすことが考えられ、それゆえ対象を明確にする必要があることから、法改正にはもうしばらく時間を要しそうだ。
これに対し、早期に着手が可能な「役員クラスの表示責任者の設置義務付け」は3月11日に改正法が閣議決定されており、近いうちに法改正が行われる見込みだ。企業としては、自社においてどのように表示が決められているか、「社内チェック体制」を早い時期に確認しておく必要があるだろう。
2014/03/03 スチュワードシップ・コード、企業にとっての“リスク”と今後の方向性
金融庁は2月26日、責任ある機関投資家の諸原則、いわゆる“日本版スチュワードシップ・コード”を公表した(「スチュワードシップ・コード」については、こちらを参照)。
これは、安倍政権が「企業の持続的な成長を促す観点から、幅広い機関投資家が企業との建設的な対話を行い、適切に受託者責任を果たすため」に導入するよう求めていたことを受けたもの。「日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」により昨年8月に素案がまとめられ、12月のパブリック・コメントを経て、今回の公表となった。
機関投資家(スチュワード)による投資先企業への関与を促し、その結果として企業価値を向上させるとともに、投資家によるコーポレートガバナンスの体制を確立することを目的とするスチュワードシップ・コードは、元々は英国が世界的な金融危機へ対策として2010年7月に導入したものであり、今回公表された日本版も英国版をモデルにしている。
このため日本版は基本的には英国版と同様だが、英国版が定めるいわゆる「集団的エンゲージメント(複数の投資家が共同歩調をとって企業に経営改善などを働きかけること)」については、日本版では言及されていない。
日本版スチュワードシップ・コードは、以下の7つの原則から構成される。
1 資産運用などの基本方針作成と公表
2 利益相反に関する方針策定
3 投資先企業への状況の把握
4 投資先企業との建設的な「目的を持った対話」と問題の改善への努力
5 議決権行使の方針や結果公表に関する方針の策定
6 議決権行使結果など顧客や受益者への定期報告
7 投資先企業への深い理解とスチュワードシップ活動を適切に行う実力の保持
各原則は指針も含めて1ページに収まる量であり、機関投資家の企業への関与方法が細かく定められた英国版とは異なっている。
ただ、細かな定めとなっていないことが、逆に企業にリスクをもたらす可能性がある。例えば「スチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべき」(原則3)、「「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図る」(原則4)といった抽象的な言い回しについては、明確性を欠く分、これらの文言を盾に機関投資家がどのような要求を突き付けてくるのか分からないという点、企業は警戒する必要がある。かつて“物言う株主”による企業買収のリスクに直面した経営陣などからは、日本版スチュワードシップ・コードに対する不満の声も聞こえてくる。
また、今回の日本版スチュワードシップ・コードとりまとめで焦点となったのが、議決権行使結果の「個別開示」だ。例えば取締役選任議案であれば、現状の規制(投資信託協会など)では「投資先企業○社における取締役選任議案の○%に反対」までの公表で済む。これが個別開示になると、「○○株式会社の取締役選任議案のうち、○○氏に反対」まで明らかにしなければならない。役員にとっては名指しで不信任票の多さを指摘されることになるため、上場会社サイドからの強い抵抗が予想されていた。
この点、「議決権の行使と行使結果の公表」(原則4)に関する指針では、「機関投資家は、議決権の行使結果を、議案の主な種類ごとに整理・集計して公表すべきである」とするにとどまっており、個別開示にまでは踏み込んでいない。議案別の結果開示であれば、投資信託協会並びに日本投資顧問業協会の協会員である運用機関、および一部の公的年金基金において既に実施されており、日本版スチュワードシップ・コードによってこれに企業年金基金と保険会社が加わるに過ぎない。さらに、日本版スチュワードシップ・コードの指針では、「前記の集計公表に代わる他の方法により議決権の行使結果を公表する方が、自らのスチュワードシップ活動全体についてより的確な理解を得られると考えられる場合には、その理由を説明しつつ、当該他の方法により議決権行使結果の公表を行うことも考えられる」という“逃げ道”も用意されている。
日本版スチュワードシップ・コードが個別開示に踏み込まなかったことに対しては、「個別開示を通じて上場企業のガバナンスを高める好機を逃した」との批判も起きている。「何としても年内に案をまとめる」という“政治的圧力”が仇になった面もあろう。一方、英国では自主規制(スチュワードシップ・コード)により68%の機関投資家が個別開示を実施、米国に至ってはSEC規制によってすべての投資信託に関わる議決権行使が個別開示の対象となっている。個別開示の議論は、日本でも引き続き重要なテーマになるだろう。
もっとも、集団的エンゲージメントや個別開示についての言及は見送られたとはいえ、スチュワードシップ・コードの導入により、上場会社と機関投資家の関係に変化がもたらされるのは間違いない。機関投資家はこれまで以上に投資先である上場会社への関与を求められ、また上場会社側としても、企業価値向上の観点から見た自社の経営戦略の正当性などについて、株主への説明責任を一層求められることになりそうだ。
2014/03/03 【議案】役員退職慰労金を廃止したい(会員限定)
ガバナンス上の問題を抱えやすい役員退職慰労金
大手精密電子機器メーカーの元会長に13億円、大手総合家電メーカー退任取締役4名に対する総額18億円――――近年、株主総会が終了する毎年6月末付近になると、巨額の役員退職慰労金支給に関するメディアの報道が目に付きます。
2010年3月からスタートした新たな役員報酬の開示ルールにより、有価証券報告書では、従来からの役員報酬の総額の開示に加え、1億円以上の報酬を受け取る役員は、報酬金額の内訳(基本報酬、賞与、退職慰労金)を、氏名とともに開示しなければならなくなりました。
このように、「1億円以上」か否かの判定対象になる報酬には、基本報酬や賞与だけでなく、「役員退職慰労金」も含まれます。役員退職慰労金は本来毎期支払われるべき役員報酬を“後払い”しているに過ぎないため、これも判定対象の報酬に加えるのが合理的というわけです。
具体的には、会計上、役員退職慰労金の算定方法などについて定めた「役員退職慰労金規程」に基づき各期の発生額を見積もったうえで計上される「役員退職慰労引当金繰入額」に基本報酬や賞与を加えた金額をもって、「1億円以上」かどうかを判断することになります。また、会社への貢献度が高かったとして、役員の退職時に引当金計上額を大きく上回る額の役員退職慰労金の支給があった場合(後述する「功労加算金」などの支給があった場合)には、その上回った額は支給があった期に一括して費用化されますので、「1億円以上」という基準にひっかかりやすくなります。
役員退職慰労金は、従業員部分の退職金が精算された後、役員在任中に積み上がっていくことになります。一般的には、「退任時の報酬月額×役員在任期間×最終役位係数(代表取締役、専務取締役、取締役、監査役など、役職に応じて1.5~3倍程度の範囲で定められていることが多い)」によって算定され、さらに、特に会社への貢献度が高かった役員に対しては「功労加算金」などの名目の金額が付加されることもあります。「功績」「貢献」など主観的な要素にも左右される役員退職慰労金は、どうしてその金額になったのかが詳しく説明されないことも多く、コーポレート・ガバナンス上の問題を抱えやすいと言えるでしょう。
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2014/03/03 【議案】役員退職慰労金を廃止したい
ガバナンス上の問題を抱えやすい役員退職慰労金
大手精密電子機器メーカーの元会長に13億円、大手総合家電メーカー退任取締役4名に対する総額18億円――――近年、株主総会が終了する毎年6月末付近になると、巨額の役員退職慰労金支給に関するメディアの報道が目に付きます。
2010年3月からスタートした新たな役員報酬の開示ルールにより、有価証券報告書では、従来からの役員報酬の総額の開示に加え、1億円以上の報酬を受け取る役員は、報酬金額の内訳(基本報酬、賞与、退職慰労金)を、氏名とともに開示しなければならなくなりました。
このように、「1億円以上」か否かの判定対象になる報酬には、基本報酬や賞与だけでなく、「役員退職慰労金」も含まれます。役員退職慰労金は本来毎期支払われるべき役員報酬を“後払い”しているに過ぎないため、これも判定対象の報酬に加えるのが合理的というわけです。
具体的には、会計上、役員退職慰労金の算定方法などについて定めた「役員退職慰労金規程」に基づき各期の発生額を見積もったうえで計上される「役員退職慰労引当金繰入額」に基本報酬や賞与を加えた金額をもって、「1億円以上」かどうかを判断することになります。また、会社への貢献度が高かったとして、役員の退職時に引当金計上額を大きく上回る額の役員退職慰労金の支給があった場合(後述する「功労加算金」などの支給があった場合)には、その上回った額は支給があった期に一括して費用化されますので、「1億円以上」という基準にひっかかりやすくなります。
役員退職慰労金は、従業員部分の退職金が精算された後、役員在任中に積み上がっていくことになります。一般的には、「退任時の報酬月額×役員在任期間×最終役位係数(代表取締役、専務取締役、取締役、監査役など、役職に応じて1.5~3倍程度の範囲で定められていることが多い)」によって算定され、さらに、特に会社への貢献度が高かった役員に対しては「功労加算金」などの名目の金額が付加されることもあります。「功績」「貢献」など主観的な要素にも左右される役員退職慰労金は、どうしてその金額になったのかが詳しく説明されないことも多く、コーポレート・ガバナンス上の問題を抱えやすいと言えるでしょう。
強まる役員退職慰労金の廃止トレンド
実は上場会社では、既に2000年初頭くらいから、役員退職慰労金を廃止し、後述する「株式報酬型ストックオプション」に切り替えるというトレンドがありました。現在では・・・
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2014/03/03 チェックリスト:役員退職慰労金を廃止したい(会員限定)
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| チェック事項 | 備考 | 対応未了 | 対応済 |
|---|---|---|---|
| 有価証券報告書で役員報酬の個別開示が必要となる「1億円以上」か否かの判定に際して、基本報酬や賞与に「役員退職慰労引当金繰入額」を加算しているか。 | |||
| 役員退職慰労金の算定基準は、合理的に説明し得るものとなっているか。 | |||
| 株主総会の役員退職慰労金支給の議案において、「支給額の総額」を開示することを検討したか。 | |||
| 株主総会の役員退職慰労金支給の議案において、「個人別の配分」を開示することを検討したか。 | |||
| 役員退職慰労金の打切支給をする場合、「個別の支給額もしくは総額」を開示することを検討したか。 | |||
| 廃止の対象となる将来の支給予定部分を、どのように役員に対して補填するかを検討したか。 | 基本報酬への上乗せ、年次賞与、インセンティブ報酬(業績連動型報酬)への振替えが考えられる。 | ||
| 役員退職慰労金を廃止する場合、役員の納得感を確保するための十分な配慮を行ったか。 |
ケーススタディ役員実務「役員退職慰労金を廃止したい(会員限定)」はこちら
2014/03/01 Webサイトをオープンしました。
上場会社役員ガバナンスフォーラムは本日からWebサイトをオープンしました。最新ニュースや新用語・難解用語辞典も本日から連日(平日のみ)掲載してまいります。
ケーススタディ役員実務など他のコンテンツとあわせ、上場会社の役員に必要な知識習得、情報収集にお役立てください。
