創業家出身者が経営トップを務める上場会社では、実質的な権限が一人に集中しやすく、強力なリーダーシップを発揮しやすい反面、ガバナンスが形骸化しやすいという懸念もある。この点を問われているのが、東証プライム市場に上場する・・・
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創業家出身者が経営トップを務める上場会社では、実質的な権限が一人に集中しやすく、強力なリーダーシップを発揮しやすい反面、ガバナンスが形骸化しやすいという懸念もある。この点を問われているのが、東証プライム市場に上場する・・・
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創業家出身者が経営トップを務める上場会社では、実質的な権限が一人に集中しやすく、強力なリーダーシップを発揮しやすい反面、ガバナンスが形骸化しやすいという懸念もある。この点を問われているのが、東証プライム市場に上場する堀場製作所だ。
同社は、創業者の堀場雅夫氏が京都帝国大学理学部在学中の1945年10月17日に設立した堀場無線研究所を前身とし、1953年1月に株式会社として発足した「学生ベンチャー」の草分け的存在としても知られる。
その後、同社は「おもしろおかしく」というユニークな社是のもと発展を遂げ、計測・制御分野のコア技術を基盤に、半導体、自動車、医療など多様な市場に「はかる」技術を提供する分析・計測機器の総合メーカーとしての地位を築いた。創業者の長男である代表取締役会長の堀場厚氏は43年以上にわたり同社の取締役を務める中で、「選択と集中が常に正しいとは限らない」と公言し、事業の多角化を推進してきた。
同社の2024年12月期の有価証券報告書(*)のセグメント情報では、同社の事業を「自動車」「環境・プロセス」「医用」「半導体」「科学」の5つに区分したうえで、各セグメントの売上高、利益、資産が開示されている。当フォーラムが2024年12月期の有価証券報告書からそれらの情報を抽出し、さらにセグメント利益をベースに売上高利益率およびセグメント別ROAを試算した結果を並べたのが下表である(全社資産の一部は各セグメントに配分されていないため、各セグメントの資産の単純合計は連結総資産と一致しない。したがって、下表の右下も「-」としている)。
売上高利益率 : 売上高に占める利益の割合を示す指標。数値が高いほど収益性が高く、稼ぐ力が強いことを意味する。
ROA : Return On Assets = 総資産利益率(利益/総資産)。ROAは利益を総資産で除して求めるため、分母である総資産の増加はROAの低下をもたらす。
| 項目 | 自動車 | 環境・ プロセス | 医用 | 半導体 | 科学 | 連結財務諸表計上額 |
| 外部顧客への売上高(A) | 93,498 | 28,194 | 33,706 | 120,466 | 41,503 | 317,369 |
| セグメント利益(B) | 1,493 | 1,835 | △150 | 44,178 | 982 | 48,340 |
| セグメント資産(C) | 112,900 | 23,964 | 30,420 | 115,514 | 35,199 | 481,616 |
| 売上高利益率(B/A) | 1.6% | 6.5% | -0.4% | 36.7% | 2.4% | 15.2% |
| ROA(C/A) | 1.3% | 7.7% | -0.5% | 38.2% | 2.8% | - |
上表の売上高利益率、ROAを見れば分かるとおり、半導体事業が突出した収益力を示す一方、他の4事業の収益性は大きく見劣りしている。
こうした状況に異議を唱えているのが、香港に本社を置くアクティビストファンド、オアシス・マネジメント・カンパニー・リミテッド(以下、オアシス)だ。オアシスはファンドを通じて同社株式の9.90%を保有している。
オアシスは、堀場製作所の株価が低迷(*)している理由として、同社にコングロマリット・ディスカウントが生じていることを挙げたうえで、半導体事業以外の事業から撤退し、資金を収益力の高い半導体事業に集中させることでコングロマリット・ディスカウントが解消され、企業価値は向上するはずだと主張している。また、「『選択と集中』への抵抗を公言してきた堀場会長の下、構造的に低成長・低収益に陥っている複数の事業が多大な資本と経営資源を消費し続けている」「高収益の半導体事業の価値が慢性的な赤字事業群によって覆い隠されている」として、事業ポートフォリオの見直しを強く求めている(オアシスのプレスリリースはこちら。より詳細なキャンペーン資料「堀場製作所を守るために」はこちら)。
EV/EBITDA : EV(Enterprise Value=企業価値。株式時価総額+純有利子負債)をEBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization=利息・税金・減価償却前利益。営業利益+減価償却費+利息費用+税金により算出する。現金支出を伴わない減価償却費の影響を排除し真のキャッシュフローを把握するとともに、利息や税金の影響を排除し純粋な営業活動の収益力を把握する)で割った倍率のこと。企業がキャッシュを生み出す力を基に企業価値を評価するための指標であり、M&A(企業の買収・合併)や企業価値評価の際に広く用いられている。EV/EBITDAが高いほど、企業の収益力が高いと評価される。
さらにオアシスは、会長主導で実施された主要な買収案件は「減損処理や継続的な赤字を招いてきた」にもかかわらず、M&Aの失敗に関する十分な説明責任が果たされていないことも問題視。それでもなお堀場会長が43年以上にわたり経営トップの地位を維持してきた背景には、縁故主義的な要素や、「創業家である堀場家の影響力を固定化し、独立した監督機能を制限するガバナンス構造」があると分析している。
オアシスが「堀場家は同社株式の約4.2%しか保有していないにもかかわらず、世代を超えて主要な経営幹部ポストに就き続けている。取締役会も創業家の支持者で固められているように見受けられる」と指摘するように、実際、2025年3月には長男の堀場弾氏が取締役に就任し、創業家による経営関与が世代交代を通じて維持される構図が一段と鮮明になった。
こうした現状を変えるためオアシスは、堀場製作所の「本源的価値の実現」には「半導体事業を優先し、その他事業に対して規律あるポートフォリオ管理を実行できる新たなリーダーシップが必要」とし、その第一歩として定時株主総会において堀場会長の取締役再任議案に反対することを株主に呼び掛けている。また、堀場製作所の取締役会のスキル構成についても、利益の大半を生み出す半導体事業の重要性が十分に反映されていないとして問題視している。
堀場製作所の定時株主総会は今週土曜日、2026年3月21日(土)に開催される。「おもしろおかしく」の社是のもと、「選択と集中」に異を唱え多角化路線を推進してきた満78歳の堀場会長が取締役に再選されるのか。あるいは、資本の論理に基づき、赤字事業から撤退して「選択と集中」を図ることを求めるアクティビストの主張に賛同が集まるのか。株主の判断が注目される。
2026年3月3日のニュース『CGコード第三次改訂案、原則数は83から28に大幅減も「序文」および「解釈指針」を踏まえた対応必要に』でお伝えしたとおり、コーポレートガバナンス・コード(CGコード)は第三次改訂によって原則数が大幅に減少する見通しとなっている。上場会社は、再編・整理された各原則について「コンプライ・オア・エクスプレイン」の判断を求められることになるが、それとともに、「コンプライ・アンド・エクスプレイン」にも対応する必要がある。・・・
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2026年3月3日のニュース『CGコード第三次改訂案、原則数は83から28に大幅減も「序文」および「解釈指針」を踏まえた対応必要に』でお伝えしたとおり、コーポレートガバナンス・コード(CGコード)は第三次改訂によって原則数が大幅に減少する見通しとなっている。上場会社は、再編・整理された各原則について「コンプライ・オア・エクスプレイン」の判断を求められることになるが、それとともに、「コンプライ・アンド・エクスプレイン」にも対応する必要がある。
コーポレートガバナンス報告書(CG報告書)の記載要領は、下記のとおり、「コンプライ・アンド・エクスプレイン」、すなわちコンプライしていても「特定の事項を開示すべき」原則(いわゆる開示原則)を定めている。現行CGコードにおける開示原則は以下の14原則となっている。これら各原則の文章中には、いずれも「・・・開示すべきである」旨が明記されており、コンプライするには特定事項の開示が必須となる。
| ・ プライム市場又はスタンダード市場の上場会社は、特定の事項を開示すべきとする原則に基づき開示を行う場合には、その内容を本欄に記載してください。 【特定の事項を開示すべきとする原則】 原則1-4(政策保有株式)、 原則1-7(関連当事者間の取引)、補充原則2-4①(中核人材の登用等における多様性の確保)、原則2-6(企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮)、原則3-1(情報開示の充実)、補充原則3-1③(サステナビリティについての取組み)、補充原則4-1①(経営陣に対する委任の範囲)、原則4-9(独立社外取締役の独立性判断基準及び資質)、補充原則4-10①(指名委員会・報酬委員会の権限・役割等)、補充原則4-11①(取締役会の多様性に関する考え方等)、補充原則4-11② (取締役・監査役の兼任状況)、補充原則4-11③ (取締役会の実効性評価)、補充原則4-14② (取締役・監査役に対するトレーニングの方針)、原則5-1 (株主との建設的な対話に関する方針) |
第三次CGコード改訂後、どの原則が「開示原則」となるのかは、上場会社各社のCGコード対応に大きな影響を与える。そこで当フォーラムが、コーポレートガバナンス・コードの改訂に関する有識者会議の第2回会合において公表されたCGコード改訂案の中で「開示すべき」旨が明記されている原則を調べたところ、下表の9原則が確認された。開示原則の数は14から5つ減ることになる。
| 原則 | 開示すべき事項 | 備考 |
| 1-1 | ● 株主との建設的な対話を促進するための体制整備・取組みに関する方針 | 現5-1と同じ |
| 1-4 | ● 政策保有株式の縮減に関する方針・考え方など、政策保有に関する方針 ● 個別の政策保有株式について保有の適否を検証した内容 ● 政策保有株式に係る議決権の行使について、適切な対応を確保するための具体的な基準 |
現1-4のまま |
| 2-2 | ● 女性・外国人・中途採用者の中核人材への登用等における多様性の確保についての考え方と自主的かつ測定可能な目標、その状況 ● 多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針、その実施状況 |
現2-4①を格上げ |
| 2-3 | ● 運用に当たる適切な資質を持った人材の計画的な登用・配置などの人事面や運営面における取組みの内容 | 現2-6を並び替え |
| 3-1 | ● 会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画 ● CGに関する基本的な考え方と基本方針 ● 経営陣・取締役の報酬を決定する方針と手続 ● 経営陣の選解任と取締役・監査役候補の指名を行う方針と手続 ● 経営陣、取締役・監査役候補の個々の選解任・指名の説明 |
現3-1のまま |
| 4-3 | ● 関連当事者との間で行う取引について、取引の重要性やその性質に応じた適切な手続の枠組み | 現1-7と同じ |
| 4-6 | ● 指名委員会・報酬委員会の構成の独立性に関する考え方・権限・役割等(プライム特則) | 現4-10①を格上げ |
| 4-12 | ● 経営環境や事業特性等に応じた適切な形で取締役の有するスキル等の組み合わせ ● 取締役会全体の実効性について、その結果の概要 |
現4-11①③を格上げ |
| 4-14 | ● 個々の取締役・監査役に適合したトレーニングの方針 | 現4-14②を格上げ |
開示原則の数は大幅に減るものの、よく見ると実質的な内容に大きな変化はないことが分かる。改訂案の4-12は、現行CGコードの4-11①と4-11③の内容をまとめたものだ。また、改訂案の4-10の本文は「独立性判断基準を策定すべき」との記述にとどまっているが、解釈指針には「これを開示すべき」と明記されている。高品質なコンプライを目指すのであれば、開示することが望ましいだろう。
結局のところ、現行CGコードの開示14原則の中で、第三次改訂によりカットされる見込みなのは、補充原則3-1③(サステナビリティについての取組み)、原則4-1①(経営陣に対する委任の範囲の概要)、補充原則4-11②(取締役・監査役が他の上場会社の役員を兼任する場合の兼任状況)の3つにすぎない。しかも、このうち3-1③における開示事項(サステナビリティ、人的資本など)は、有価証券報告書で別途、詳細な開示が求められる。上場会社は、今回の第三次改訂によりCGコードへの対応コストや開示負担の軽減が大幅に進むわけではないということを認識しておく必要があろう。
日経エネルギーNext(2026年3月11日公開)の記事「3.11から15年、原発事故後の東電に足りなかったもの」に、当フォーラム代表取締役・首席研究員である藤島裕三のコメントが掲載されました。
東京電力のガバナンスや信頼回復の取り組みについて、「地元を含めたステークホルダーの信頼を獲得するためには『頑張ってます』『やってます』と言うだけでは足りません。経営トップが意思を持って不正を防ぐ仕組みを構築し、それを有価証券報告書などに明記して外部から確認できるようにする必要があります」としたうえで、同社の2025年3月期の有価証券報告書について「リスク管理や内部監査の記載が十分とはいえず、他のエネルギー会社と比較しても物足りません」と指摘しています。
また、社外取締役の役割に関して「いくら立派な社外取締役がいても、ガバナンスが向上するとは限らない」と仕組みの重要さに言及。さらに、実質国有化されている同社の構造的リスクについても、「東電はいわゆる上場子会社と同じ位置づけにあります。支配的な株主がいる上場子会社の経営陣は大株主の意向に沿いがちで、少数株主やステークホルダーの利益が害されるリスクがあります」としたうえで、「例えば、国が再稼働を急ぎたいと考えた場合、子会社はステークホルダー(地元住民や需要家)の利益よりもスピードを優先してしまう可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
2026年3月11日(水)に放送されたBSテレ東の報道番組「日経ニュース ネクスト」において、東日本大震災から15年を迎えた東京電力の原発再稼働と信頼回復に関する特集が組まれ、当フォーラム代表取締役・首席研究員である藤島裕三のインタビューが放送されました。
番組内では、東京電力の信頼回復に時間を要している背景について「様々な取り組みはしているものの、ステークホルダーに対する説明が不足していたのではないか」と指摘したうえで、リスク管理に関して具体的な説明が伴わないと、信頼を損なう連鎖になり得ることに言及し、「会社としてこれだけ努力をしているというプロセスを見せることが、ステークホルダーに対しては重要である」と、信頼回復に向けた具体的な説明責任の必要性を強調しました。
BSテレ東:日経ニュース ネクスト(公式サイト)
コロナ禍を機に注目を集めたバーチャルオンリー株主総会は、会場設営の負担を抑えられ、遠方の株主も参加しやすいなどの利点がある一方で、「株主の発言機会が実質的に狭まるのではないか」といった懸念から、投資家の間では実施に慎重な声も根強い。・・・
バーチャルオンリー株主総会 : リアル株主総会を開催せず、全出席者が遠隔地からインターネット等で参加する株主総会。日本の会社法では、株主総会を招集するには、開催する「場所」を定めることを求めていることから(会社法298条1項1号)、実現は困難とされていたが、2021年6月19日より施行された改正産業競争力強化法において上場会社に限り会社法の特例として「場所の定めのない株主総会」の開催が可能となった。
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コロナ禍を機に注目を集めたバーチャルオンリー株主総会は、会場設営の負担を抑えられ、遠方の株主も参加しやすいなどの利点がある一方で、「株主の発言機会が実質的に狭まるのではないか」といった懸念から、投資家の間では実施に慎重な声も根強い。
バーチャルオンリー株主総会 : リアル株主総会を開催せず、全出席者が遠隔地からインターネット等で参加する株主総会。日本の会社法では、株主総会を招集するには、開催する「場所」を定めることを求めていることから(会社法298条1項1号)、実現は困難とされていたが、2021年6月19日より施行された改正産業競争力強化法において上場会社に限り会社法の特例として「場所の定めのない株主総会」の開催が可能となった。
周知のとおり、会社法上は「場所」の定めのない株主総会を招集することは認められていない(298条1項1号)。このため、バーチャルオンリー株主総会を開催するには、産業競争力強化法に基づき、経済産業大臣および法務大臣の確認を受けることが条件とされているが、法務省の法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会(以下、部会)で進められている会社法見直しの議論では、バーチャルオンリー株主総会に関する規律を会社法に設け、経済産業大臣および法務大臣の確認を経ることなく、バーチャルオンリー株主総会を開催できるようにする方向で検討が行われている。要するに、バーチャルオンリー株主総会を「特例として認められる仕組み」から、「会社法上認められる正式な選択肢」に“格上げ”しようという流れだ。
産業競争力強化法 : 企業の事業再編やデジタル化などを後押しするための法律。
こうした中、バーチャルオンリー株主総会をめぐる新たな会社法のルールの概要がこのほど明らかになった。最大のポイントは、バーチャルオンリー株主総会を実施するための要件として、「株主総会の場所を定めないことができる」旨を定款で定めることを求めるという点。3月18日にも取りまとめる「会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しに関する中間試案」に明記する。定款に規定することを求めるのは、バーチャルオンリー株主総会は株主にとっては対面でのやり取りの機会が失われる側面もあるなど、必ずしもすべての株主の意向に沿うとは限らない以上、その実施を会社が一方的に決めるのではなく、株主総会の特別決議による定款変更を通じて株主の判断を経るべき、との考え方に基づいている。
特別決議 : 議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その出席株主の議決権の3分の2以上の多数による決議。例えば定款変更、事業譲渡、株式の募集、取締役会の途中解任などにはこの特別決議が必要である。
一方で、機関投資家などが定款変更に反対した場合、事実上、バーチャルオンリー株主総会を開催することが難しくなるため、部会内には、定款の定めを必須とすべきではないという意見もある。ただ、定款の定めを不要とすれば、会社の意向のみでバーチャルオンリー株主総会の開催を進めることへの歯止めが効かなくなるため、仮に定款要件を外すのであれば、一定割合以上の議決権を持つ株主に対し、「場所の定めのある株主総会」の開催請求権を認める旨を定款で定めることを検討する必要があるとされた。
バーチャルオンリー株主総会を巡るもう一つの大きな論点が、通信障害への対応である。バーチャルオンリー株主総会では、通信回線への接続不良やシステム障害によって、株主が議決権を行使できなかったり、質問の機会を失ったりするリスクがある。そこで、いわゆるセーフハーバー・ルール(免責規定)を設ける。具体的には、会社が合理的に必要と認められる範囲で通信障害対策を講じていたのであれば、障害が発生したというだけで直ちに株主総会決議の取消しにつながらないものとする。会社として必要な準備をしていたにもかかわらず、予期せぬトラブルが起きただけで決議全体が覆り得るとなれば、会社は安心してバーチャルオンリー株主総会を採用できないからだ。通信障害が原因で決議の進め方が法令や定款に定められた総会運営のルールに違反した場合でも、それが「決議取消事由」に該当することとなるのは、①会社の故意または重大な過失によって通信障害が生じたこと、②その違反が決議結果に影響を及ぼすものであること、の2つの条件を満たす場合に限られる。
セーフハーバー・ルール : 予測困難な責任を回避するために企業の行動が委縮することがないよう、違法ないし違反にならない範囲を明確化すること。セーフハーバーとは「安全な港」という意味であり、セーフハーバー・ルールという言葉は、船が安全な港にいる限り海難を避けられることに由来する。
このほか、会社にはバーチャルオンリー株主総会の議事に関する通信記録などの保存義務を課す。これは、後になって、通信障害があったのか否か、それに対して会社がどう対応したのか、どの程度株主の権利行使に影響があったのかといった点が争われた場合、記録が残っていなければ検証できないため。逆に言えば、記録を残しておくことは、会社にとっても自らの対応の妥当性を示す材料になる。また、通信記録等を保存することで、株主による濫用的な質問や妨害的な行為に対し一定程度の抑止力が働くと考えられることから、会社法には、議事進行に関する妨害防止策は特段規定しない方向だ。
2026年 3月11日(水)より下記のWEBセミナーの配信を開始いたしました。
| テーマ | 講師 |
| 野村アセットマネジメントの議決権行使 | 野村アセットマネジメント 責任投資調査部シニアESGスペシャリスト 平野 成明(ひらの なりあき)様 |
| セミナーの内容 | 本セミナーでは、国内トップクラスの運用会社である野村アセットマネジメントの責任投資調査部でシニアESGスペシャリストを務める平野成明 様をお招きし、同社の議決権行使の考え方と最新動向について解説していただきます。 野村アセットマネジメントでは、「運用における責任投資の基本方針」に基づき、投資先企業の「望ましい経営のあり方」を定め、その実現に向けてエンゲージメントと議決権行使を通じた働きかけを行っています。本セミナーの前半では、責任投資の基本的な考え方として、環境・社会課題への取組み、資本の効率的な活用、コーポレートガバナンス機能の発揮、情報開示と投資家との対話といった観点から、投資先企業に期待する「望ましい経営のあり方」について解説していただきます。また、モニタリング・ボードの考え方や独立社外取締役の役割、企業買収局面におけるガバナンスのあり方など、近年の重要な論点についても解説していただきます。 後半では、2025年11月に改定された議決権行使基準も踏まえ、野村アセットマネジメントの議決権行使の特徴や判断プロセスについて解説していただきます。同社では、取締役会の監督機能を重視する「モニタリング・ボード基準」や、TOPIX100企業により高い水準の経営を求める「ロールモデル基準」などを通じて、企業に対しガバナンスや価値創造の取組みの高度化を促しています。エンゲージメントの結果が議決権行使にどのように反映されるのか、また取締役選任や資本政策、株主提案などの議案に対する考え方についても、具体例を交えながら解説していただきます。さらに、各企業の株主総会議案に対する賛否結果やその理由についてもご紹介いただきます。 2026年の株主総会シーズンを前に、国内有数の運用会社が企業のガバナンスや経営の取組みに対してどのような視点を持っているのかを聞く貴重な機会となるでしょう。 |
| 講師のご紹介 |
平野 成明(ひらの なりあき)様 2010年野村證券入社、営業部門を経験後、2014年より野村アセットマネジメントに出向し国内株式のアナリスト業務に従事。その後、2019年に国内の公的年金に出向し、スチュワードシップ活動業務を担当。2021年より現職(野村アセットマネジメント 責任投資調査部シニアESGスペシャリスト)。 |
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<収録月>
2026年 3月
<収録時間>
41分40秒
<視聴環境>
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万が一、こちらのサンプル動画が再生されない場合、端末を管理するシステム管理者にお問い合わせください。
【WEBセミナー公開開始日】2026年 3月11日
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野村アセットマネジメントでは、「運用における責任投資の基本方針」に基づき、投資先企業の「望ましい経営のあり方」を定め、その実現に向けてエンゲージメントと議決権行使を通じた働きかけを行っています。本セミナーの前半では、責任投資の基本的な考え方として、環境・社会課題への取組み、資本の効率的な活用、コーポレートガバナンス機能の発揮、情報開示と投資家との対話といった観点から、投資先企業に期待する「望ましい経営のあり方」について解説していただきます。また、モニタリング・ボードの考え方や独立社外取締役の役割、企業買収局面におけるガバナンスのあり方など、近年の重要な論点についても解説していただきます。
後半では、2025年11月に改定された議決権行使基準も踏まえ、野村アセットマネジメントの議決権行使の特徴や判断プロセスについて解説していただきます。同社では、取締役会の監督機能を重視する「モニタリング・ボード基準」や、TOPIX100企業により高い水準の経営を求める「ロールモデル基準」などを通じて、企業に対しガバナンスや価値創造の取組みの高度化を促しています。エンゲージメントの結果が議決権行使にどのように反映されるのか、また取締役選任や資本政策、株主提案などの議案に対する考え方についても、具体例を交えながら解説していただきます。さらに、各企業の株主総会議案に対する賛否結果やその理由についてもご紹介いただきます。
2026年の株主総会シーズンを前に、国内有数の運用会社が企業のガバナンスや経営の取組みに対してどのような視点を持っているのかを聞く貴重な機会となるでしょう。
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平野 成明(ひらの なりあき)様 2010年野村證券入社、営業部門を経験後、2014年より野村アセットマネジメントに出向し国内株式のアナリスト業務に従事。その後、2019年に国内の公的年金に出向し、スチュワードシップ活動業務を担当。2021年より現職(野村アセットマネジメント 責任投資調査部シニアESGスペシャリスト)。 |
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