2024/08/02 “統合報告書の法定開示化”も 経産省の懇談会で、戦略報告を含む一体化された法定開示書類の作成に多くの支持(会員限定)

2024年7月23日付ニュース「伊藤レポートから10年、今後のコーポレートガバナンスの論点は?」では、経済産業省が2024年4月30日に設置した「持続的な企業価値向上に関する懇談会」が公表(6月26日)した「座長としての中間報告」についてお伝えしたところだが、同省は同日にもう一つ重要な「懇談会」を立ち上げている。それが「企業情報開示のあり方に関する懇談会」(以下、情報開示懇談会)であり、こちらも「課題と今後の方向性」と題する中間報告を2024年6月25日に公表している。

情報開示懇談会は「企業価値の向上に資する情報開示を行っていくためには、どのような開示体系に基づき、どのような情報開示を行うことが望ましいのかについて議論を行う」ことを目的としており、中間報告は計4回の会合での議論を踏まえたものとなっている。中間報告では冒頭、主な開示書類に対して会合で出された意見をまとめている(4ページ~)。ポイントは下表のとおり。

有価証券報告書 ・比較可能性・信頼性・網羅性が保証された書類であり、まとまった情報を出す書類としては最も有益かつ必要不可欠
・「法令遵守のための書類」「最小限の情報を記載するもの」といった固定観念が強く、企業価値を伝達するには使いづらい
コーポレート・
ガバナンス報告書
・適時性があり、委員会の設置状況といったコーポレート・ガバナンスにかかる詳細情報をタイムリーに確認できる
・定型の表現や文章が多く、別の開示物へのリンクが張られているだけのこともあり、投資家にとって優先順位が低い
統合報告書 ・日本の企業報告の発展に貢献してきたという事実について評価する見解、有効に活用していくべきとの意見が多い
・作成は義務ではないが標準的なプラクティスとして浸透し、情報量も年々増え続けており、企業の負担の大きさを懸念

上記意見を踏まえ中間報告では、「企業情報開示の体系に関する課題」として、①開示書類間の記載内容の重複、②有価証券報告書と統合報告書の使い分け、③各報告書の一本化の3つを挙げている。中間報告の内容を要約すれば、制度開示書類(有価証券報告書、事業報告・計算書類等、コーポレート・ガバナンス報告書)における情報の重複が企業と投資家双方の負担となっている(①)、任意開示書類である統合報告書は定性情報や将来情報を伝えるツールとして活用されている(②)、ついては制度開示書類の一本化さらには統合報告書の統合を検討すべき(③)、ということなる。これを受け中間報告は、情報開示の「グランドデザイン」として、2つのイメージを提示している(8ページ~)。

イメージ案1:法定開示と任意開示の役割分担
741501
イメージ案2:二層構造の開示体系
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イメージ案1では法定開示書類については集約する一方、統合報告書が担う役割に引き続き期待している。これに対しイメージ案2では、統合報告書による開示情報も法定開示に含めるとしている。イメージ案2の「戦略報告」とは英国の年次報告書における要求事項であり、戦略やビジネスモデル、サステナビリティ情報など統合報告書の記載事項と同様と考えてよい。この「戦略報告」について中間報告は、「記載項目や様式を詳細に定めるのではなく、大まかな要素のみの規定に留め、その内容や様式については企業の裁量に任せる」ことを想定している。

注目されるのは、中間報告における「一つの法定開示書類により多くの情報を盛り込む体系であるイメージ案2を目指すべきとする意見が比較的多く挙げられた」との記述だ(14ページの「① 目指すべき開示体系」冒頭)。中間報告では「作成者における負担を考慮した際の実現可能性」を懸念する意見も併記されているが(同「② イメージ案2の課題」冒頭)、「一つの法定開示書類により多くの情報を盛り込む」モデルが多数の支持を得ているという事実のインパクトは大きい。この事実を踏まえると、プライム市場上場企業であれば「負担」は重くても義務付けすべきとの方向性も考えられる。プライム市場上場企業は、英文開示の範囲拡大や有価証券報告書の総会前開示、保証を伴うサステナビリティ開示の厳格化などとともに、戦略報告を含む“一体化された法定開示書類の作成”が将来的に求められることも想定しておくべきだろう。

2024/08/01 【2024年8月の課題】自社の株主総会における各議案の賛成率分析

2024年8月の課題

2024年6月の総会シーズンも終わり、臨時報告書(議案ごとの賛成率)も出揃いました。東証プライム市場上場企業全体では、定款変更議案や取締役選任議案の平均賛成率が上昇した一方で、監査役選任議案や剰余金処分議案では低下が確認されました。こうした動きも踏まえて、自社の株主総会における各議案の賛成率を分析してみてください。

(ご参考)主要議案の平均賛成率
・剰余金処分議案:97.95%(前年比▲0.05p)
・定款変更議案 :98.04%(前年比+0.35p)
・取締役選任議案:95.07%(前年比+0.29p)
・監査役選任議案:94.80%(前年比▲0.31p)
※対象は2024年6月に開催された東証プライム市場上場企業の株主総会における会社提案議案

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2024/07/31 2024年7月度チェックテスト

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【問題1】

DOEとは株価純資産倍率のことである。


正しい
間違い
【問題2】

東証が2023年3月にプライム市場およびスタンダード市場の上場会社に要請した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について未対応の企業も少なくない中、未対応企業の取締役の選任議案に反対する機関投資家も現れ始めている。


正しい
間違い
【問題3】

株主提案を受けた企業を時価総額別に集計すると、時価総額100億超~1,000億のレンジに属する企業がもっとも多い。

正しい
間違い
【問題4】

経済産業省のCGS研究会で参考資料とされた「社外取締役の現状について(アンケート調査の結果概要)」によると、上場会社の社外取締役の1か月あたりの活動時間(取締役会の出席時間を除く)は「5時間以下」が3割を超えていることが分かった。


正しい
間違い
【問題5】

ISSBは「気候変動」の“次”に作るべき基準のテーマとして「人権」を最優先するとしている。


正しい
間違い
【問題6】

上場会社は、役員の人数につき法律・定款で定められている最低数ぎりぎりとするのが望ましい。


正しい
間違い
【問題7】

上場会社の株主総会において「取締役による株主との面談対応」を定款で義務付ける旨のアクティビストによる株主提案の議案が可決されたことはない。


正しい
間違い
【問題8】

上場会社における「CEOの任期制」と「PBR」の間には相関関係が認められる。


正しい
間違い
【問題9】

近い内に日本でも施行が予定されているストックオプション・プールは、導入後に資金調達する際にも、新株予約権の枠が可視化されているため、出資者にとっても希薄化(ダイリューション)の見込みを立てやすいというメリットがある。


正しい
間違い
【問題10】

仕事と介護の両立困難に関連する企業の経済損失は、従業員3,000名の製造業を前提とすると、1社あたり6億円を超えると試算されている。


正しい
間違い

2024/07/31 2024年7月度チェックテスト第10問解答画面(不正解)

不正解です。
仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン-入門編-」には、仕事と介護の両立困難に関連する企業(従業員3,000名の製造業を前提)の1社あたりの経済損失額は6億2415万円になるといった試算結果が紹介されています(問題文は正しいです)。

こちらの記事で再確認!
2024年7月30日 【役員会 Good&Bad発言集】介護問題とビジネスリスク(会員限定)

2024/07/31 2024年7月度チェックテスト第10問解答画面(正解)

正解です。
仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン-入門編-」には、仕事と介護の両立困難に関連する企業(従業員3,000名の製造業を前提)の1社あたりの経済損失額は6億2415万円になるといった試算結果が紹介されています(問題文は正しいです)。

こちらの記事で再確認!
2024年7月30日 【役員会 Good&Bad発言集】介護問題とビジネスリスク(会員限定)

2024/07/31 2024年7月度チェックテスト第9問解答画面(不正解)

不正解です。
ストックオプション・プール(スタートアップが株主総会で新株予約権の権利行使価額や権利行使期間を定めずに“枠”だけ決議しておき、具体的な権利行使価額や権利行使期間の決定、割り当ては後から機動的に行えるようにする仕組み)の実現に向けた動きが加速しています。ストックオプション・プールを導入しておけば、問題文のとおり、導入後に資金調達する際にも、新株予約権の枠が可視化されているため、出資者にとっても希薄化(ダイリューション)の見込みを立てやすいというメリットがあります(問題文は正しいです)。

こちらの記事で再確認!
2024年7月25日 ストックオプション・プール導入で、CVCの投資先から「法人」としてストックオプションの付与を受けることも可能に(会員限定)

2024/07/31 2024年7月度チェックテスト第9問解答画面(正解)

正解です。
ストックオプション・プール(スタートアップが株主総会で新株予約権の権利行使価額や権利行使期間を定めずに“枠”だけ決議しておき、具体的な権利行使価額や権利行使期間の決定、割り当ては後から機動的に行えるようにする仕組み)の実現に向けた動きが加速しています。ストックオプション・プールを導入しておけば、問題文のとおり、導入後に資金調達する際にも、新株予約権の枠が可視化されているため、出資者にとっても希薄化(ダイリューション)の見込みを立てやすいというメリットがあります(問題文は正しいです)。

こちらの記事で再確認!
2024年7月25日 ストックオプション・プール導入で、CVCの投資先から「法人」としてストックオプションの付与を受けることも可能に(会員限定)

2024/07/31 2024年7月度チェックテスト第8問解答画面(不正解)

不正解です。
経済産業省の調査によると、問題文のとおり、CEOに任期制を採用している上場会社より任期制を採用していない上場会社の方がPBRが高いことが分かりました(問題文は正しいです)。

こちらの記事で再確認!
2024年7月12日 CEOの任期制とPBRの関係(会員限定)

2024/07/31 2024年7月度チェックテスト第8問解答画面(正解)

正解です。
経済産業省の調査によると、問題文のとおり、CEOに任期制を採用している上場会社より任期制を採用していない上場会社の方がPBRが高いことが分かりました(問題文は正しいです)。

こちらの記事で再確認!
2024年7月12日 CEOの任期制とPBRの関係(会員限定)

2024/07/31 2024年7月度チェックテスト第7問解答画面(不正解)

不正解です。
GLOBAL ESG STRATEGYが2024年3月決算会社の上場会社2社の株主総会で初めて「取締役による株主との面談対応」を定款で義務付ける旨の議案を株主提案しましたが、いずれの会社でも否決されました(問題文は正しいです)。

こちらの記事で再確認!
2024年7月10日 株主との面談対応を取締役の義務とする株主提案の顛末(会員限定)